|
テーマ:日々自然観察(9859)
カテゴリ:昆虫(蛾)
右の翅が切れた様になっている。羽化するときに何か障害物があって、翅が折り畳まれたのかと思ったが、写真を拡大してみると、スッパリと刃物で切った様な格好。余り掲載するに相応しくないが、今頃はチャドクガの羽化の季節であり、読者諸氏に注意を喚起する意味もあろうかと思い載せることにした。 以前、チャドクガの雌を紹介した。この時はすっかり忘れていたのだが、チャドクガの雄は雌とは少し違った姿をしている。雌よりも小型(雄:開張25mm前後、雌:30mm前後)で、一般に、雌は全体的に黄色が強いのに対し、雄では翅の大部分と胸部は濃い焦げ茶色をしており、翅の輪郭と頭や脚だけが黄色である。しかし、色々なサイトを拝見すると、黄色同士や焦げ茶色同士で交尾している写真もあり、かなり色の変化があるらしい。この様な色では良く分からない場合でも、常に一方は小型である。これが雄である。
正面や横からの写真も撮ろうと思ったが、位置が高くて手が届かない。そこで、鋏を持って来て留まっている枝の根元を切ったら、そのショックで蛾は逃げてしまった。 久しぶりにチャドクガの雄を見た。すると、記憶の構造と言うものは面白いもので、一昨年にやはり雄の写真を撮ったことがあるのを思い出した。上の写真である。
同じ個体を斜め前から撮った写真を上に示す。毛深くて複眼の在処が分かり難いが、触角の付根の下にある黒っぽいのが複眼である。鱗翅目(蛾、蝶)の成虫は頭頂の複眼寄りに2個1対の単眼を持つ。一見1対の眼の様に見えるのは、その単眼かとも思ったが、どうやら触角の基部らしい[追記参照のこと]。 翅から多くの紐状の構造が出ているが、これは鱗片であり、毒針毛ではない。成虫自体には毒針毛はない。幼虫が繭に付けた毒針毛を羽化時に付けて来るだけである。飛んでいる間にかなり脱落するのではないかと思われる。 上の写真を撮った直ぐ後、この個体は飛んで逃げた。しかし、些か不器用なヤツで、逃げるときに私の顔に激突した。ドクガが顔に当たったのだから、これはかなりマズかったのではないかと思うが、その後どうしたか余り記憶にない。多分、大したことはなかったのだと思う。 [追記]当初、チャドクガ顔写真の一見眼の様に見える部分は単眼かも知れないと思いその様に書いたが、蛾に詳しいAcleris氏より、チャドクガの単眼は退化しており、眼のように見えるのは触角基部の膜質部であろう、とのコメントを賜った。氏は実際に御手持ちのチャドクガ標本の毛を削って調べられたとのこと。御手数をかけ眞に恐縮千万。 氏の御意見に従い、本文を訂正した。Acleris氏には貴重な情報を賜り、此処に厚く御礼申し上げる。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
[昆虫(蛾)] カテゴリの最新記事
えっ!?
アーチャーンさんの「顔」に激突?? うっ!と思わず叫びたくなる状況。 「その後」の記憶が、のようで何事もなかったようで それは良かったですが、、 私は葉についたふかふかの「卵」シート?に逢っただけですが 母は椿についた幼虫にかぶれました。 以来、母は椿の葉に怪しいものが見えたら 「アー○ジェット」をしゅーっとかけてますね。 使用目的が違うかと思うと、それでもいいようで。 しかし…蛾の触覚はドクガであっても この造形は凄いと思います。 この形状で何かの情報をキャッチしてるんですね。 (2009.07.07 13:40:30)
いかにも毒々しい毛がたくさん生えていますがこれが毒毛ではないのですね。私は干していた布団の上を毒蛾が這ったらしく、しらずにそこで寝てひどい目にあったことがあります。それ以来気をつけていたのですが、発生がとまらないので庭植えの椿の木はすべて切り倒しました。
(2009.07.07 15:28:47)
我が家のチャドクガは、もっと綺麗な黄色でした。
椿やサザンカに幼虫が沢山付いていたので、小さな枝ごと切り取って死刑にしましたが、ちょっと油断するとすぐまた発生しますね。 (2009.07.07 16:19:53)
翅から伸びている鱗片のカタチが 飾り羽のようで面白いです。でも 毒蛾のイラガの毒には、とても危険な痛さがありました。毒がある蛾で毒針毛を 周りにまき散らすのかと思うと 怖いですね。
水で洗い流すと良いでしょうか。 (2009.07.07 16:25:52)
我が家は椿、さざんか類はないので実物はみておりませんが1枚目の写真、刃物で切ったような・・妙に気になります。
先日スイカズラに発生したアオバハゴロモの白いワタがついた枝をバッサリ切りました。 虫も1匹なら可愛いけど集団は嫌ですね。 ハエトリグモとササグモの写真見ていただき、ありがとうございました。サイトも見てきました。 (2009.07.07 16:51:26)
前の家に住んでいたとき、初めての初夏にチャドクガの幼虫が大発生しました。よくしらないで、幼虫がついている枝を切って処分したら、次の日の午後になって体中が腫れあがり、熱まででてきました。
以来チャドクガは苦手です。 これが’あの’チャドクガなんですね。 成虫になったらぶつかっても大丈夫なんでしょうか? (2009.07.07 19:50:27)
snowrun29さん
>えっ!? >アーチャーンさんの「顔」に激突?? >うっ!と思わず叫びたくなる状況。 >「その後」の記憶が、のようで何事もなかったようで >それは良かったですが、、 ----- 成虫は一般に大したことはありません。 >私は葉についたふかふかの「卵」シート?に逢っただけですが >母は椿についた幼虫にかぶれました。 > >以来、母は椿の葉に怪しいものが見えたら >「アー○ジェット」をしゅーっとかけてますね。 >使用目的が違うかと思うと、それでもいいようで。 ----- 家庭用の殺虫剤は合成ピレスロイド系で昆虫に対しては神経毒として働きます。昆虫ならば種類が違っても効果は余り違わないと思います。 >しかし…蛾の触覚はドクガであっても >この造形は凄いと思います。 >この形状で何かの情報をキャッチしてるんですね。 ----- 蛾の雄の触角には見事なものが沢山あります。性フェロモンの感知は触角で行われているそうです。 (2009.07.08 06:40:39)
ヤスフロンティアさん
>いかにも毒々しい毛がたくさん生えていますがこれが毒毛ではないのですね。 ----- 毒針毛は極く小さいものだと思います。一度、幼虫の毛をキチンと撮って見たいと思っているのですが、幸か不幸か最近は幼虫を見ないので未だに撮っていません。 >私は干していた布団の上を毒蛾が這ったらしく、しらずにそこで寝てひどい目にあったことがあります。 ----- 幼虫や脱皮殻から毒針毛が飛んでくる場合も有ります。 >それ以来気をつけていたのですが、発生がとまらないので庭植えの椿の木はすべて切り倒しました。 ----- 園芸店でも、最近はチャドクガを嫌う人が多い為、ツバキやサザンカは余り売れない様です。貴重な品種が失われなければよいのですが・・・。 (2009.07.08 06:45:51)
Mitch29さん
>我が家のチャドクガは、もっと綺麗な黄色でした。 ----- 雌の個体だと思います。 >椿やサザンカに幼虫が沢山付いていたので、小さな枝ごと切り取って死刑にしましたが、ちょっと油断するとすぐまた発生しますね。 ----- 昔は何も形容の付かない「ドクガ」が沢山居てその被害が酷かったのですが、最近は全く見ません。チャドクガも減る時があるかも知れません。 (2009.07.08 06:48:53)
るる555さん
>翅から伸びている鱗片のカタチが 飾り羽のようで面白いです。 ----- 蛾には良くある鱗片の形状です。 >でも 毒蛾のイラガの毒には、とても危険な痛さがありました。毒がある蛾で毒針毛を 周りにまき散らすのかと思うと 怖いですね。 >水で洗い流すと良いでしょうか。 ----- 石鹸で洗い流すと良いと言われています。なお、チャドクガの毒針毛は、何も形容の付かない「ドクガ」の毒針毛と較べると、大した威力はありません。 (2009.07.08 06:51:56)
ukon6624さん
>我が家は椿、さざんか類はないので実物はみておりませんが1枚目の写真、刃物で切ったような・・妙に気になります。 >先日スイカズラに発生したアオバハゴロモの白いワタがついた枝をバッサリ切りました。 >虫も1匹なら可愛いけど集団は嫌ですね。 ----- 集団になりゴチャゴチャしているとブキミに感ずるのは何故でしょう。面白い現象ですが、心理学方面で研究されていると言う話は聞いたことがありません。 (2009.07.08 06:54:03)
クーン43さん
>前の家に住んでいたとき、初めての初夏にチャドクガの幼虫が大発生しました。よくしらないで、幼虫がついている枝を切って処分したら、次の日の午後になって体中が腫れあがり、熱まででてきました。 >以来チャドクガは苦手です。 ----- 高校生の頃、何も形容の付かない「ドクガ」を飼育したことがあります。チャドクガよりも圧倒的に強力ですが、次第に慣れて来るようです。 >これが’あの’チャドクガなんですね。 >成虫になったらぶつかっても大丈夫なんでしょうか? ----- 成虫は羽化の時に繭にある毒針毛を付けてくるだけなので大したことは有りません。中学~高校時代、チャドクガの成虫を普通にネットで採集して標本にしていましたが、何ともありませんでした。 (2009.07.08 06:58:22)
すごいアップのチャドクガ!! 画面の向こうだし、大丈夫とは思っていても、ドキドキします(>_<) でも、落ち着いてよくみると、すごい造形ですね。写真の威力に感謝です!!
鳥寄せにツバキを1本植えましたが、幸いまだチャドクガの被害にはあったことがありません。がっかりだったのは、このツバキが八重の花粉の出ない品種で、鳥も来ないことですT_T 春先の真っ赤な花色は有り難いのですが、今年は思い切って、花後かなりばっさり剪定しました。 (2009.07.08 12:11:38)
lemidoriさん
>すごいアップのチャドクガ!! 画面の向こうだし、大丈夫とは思っていても、ドキドキします(>_<) でも、落ち着いてよくみると、すごい造形ですね。写真の威力に感謝です!! ----- 多くの蛾は正面から撮ると中々魅力的です(例えば、http://plaza.rakuten.co.jp/Wolffia/diary/200705100000/)。特に雄の場合は触角が羽毛状になっていたりして、更に素晴らしい。 >鳥寄せにツバキを1本植えましたが、幸いまだチャドクガの被害にはあったことがありません。がっかりだったのは、このツバキが八重の花粉の出ない品種で、鳥も来ないことですT_T ----- 我が家の辺りでは、白いツバキはみなヒヨドリに食べられてしまいますが、赤い花は食べないようです。メジロが来るのは、花蜜が目当てだと思います。 (2009.07.08 16:21:17)
なんですと~っ???
アーチャーンさん、そんな危険な目に遭われていたのですね^^; その後の記憶がない・・・って、 まさか、毒のせいで、一時的に記憶が飛んでいるのではないでしょうね^^; ・・・って、 すみません。冗談でした^^; ご無事と知って、安心したあまり、つい・・・^^; >そのショックで蛾は逃げてしまった。 アーチャーンさん、この部分、 申し訳ありませんが、大笑いしちゃいました*^^* パソコンに向かって、大笑いするのは、 あたしにはとても珍しいことなのです^^; ショックで逃げてしまった・・・ひゃっはっはっはっはっ・・・ひぃ~っ^^; 蛾の触角を見るのが、あたしは好きです。 アンテナを思わせるデザインだな、と、 しげしげと眺めてしまいます*^^* (2009.07.08 21:34:22)
夢のはしさん
>なんですと~っ??? >アーチャーンさん、そんな危険な目に遭われていたのですね^^; ----- 毒蛾には馴れているので、大して危険なこととは思っていません。 >>そのショックで蛾は逃げてしまった。 > >アーチャーンさん、この部分、 >申し訳ありませんが、大笑いしちゃいました*^^* >パソコンに向かって、大笑いするのは、 >あたしにはとても珍しいことなのです^^; > >ショックで逃げてしまった・・・ひゃっはっはっはっはっ・・・ひぃ~っ^^; ----- 妙なところを面白がる方ですね。 >蛾の触角を見るのが、あたしは好きです。 >アンテナを思わせるデザインだな、と、 >しげしげと眺めてしまいます*^^* ----- 雄の蛾の触角は一度超接写をしてみたい被写体の一つです。 (2009.07.09 08:49:26)
アーチャーンさん、コンニチワ。
いもむしうんちのAclerisです。 ゴメンナサイ。単眼が気になったので。 蛾類の単眼は普通、触角の後方の複眼に沿うようにあり、退化してみられない種もあります。 お写真の単眼かも?とされている部分は、触角の付け根の関節の膜質部ではないかと思います。 (触角を後方に倒しているために膜質部が見えているのでは。) 念のため、手持ちの標本を調べてみました。 頭部の鱗粉を除去してみたのですが、単眼は見あたらず、どうもチャドクガでは退化しているようです。 細かいこと言ってすみませんでした。では。 (2009.07.09 18:38:04)
Acleris@会社さん
>アーチャーンさん、コンニチワ。 >いもむしうんちのAclerisです。 >ゴメンナサイ。単眼が気になったので。 ----- お久しぶりです・・・と言っても時々サイトを拝見して居りますが・・・。 >蛾類の単眼は普通、触角の後方の複眼に沿うようにあり、退化してみられない種もあります。 >お写真の単眼かも?とされている部分は、触角の付け根の関節の膜質部ではないかと思います。 >(触角を後方に倒しているために膜質部が見えているのでは。) ----- 鱗翅目成虫の単眼は、普通はこの写真ならば、触角基部裏側の見えないところにあるはずですが、種類によっては多少位置がずれることもあるかも知れないと思ったのですが・・・。 >念のため、手持ちの標本を調べてみました。 >頭部の鱗粉を除去してみたのですが、単眼は見あたらず、どうもチャドクガでは退化しているようです。 ----- お手持ちの標本を削られたとのこと、恐縮です。早速訂正を入れておきます。 貴重な情報、有難う御座いました。 (2009.07.10 08:44:03) |