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テーマ:日々自然観察(9833)
カテゴリ:昆虫(芋虫、毛虫)
タケノホソクロバ(Artona martini)の終齢幼虫、マダラガ科クロマダラ亜科に属し、タケや我が家で最も嫌われているササなどを専門に食べる毛虫である。普通の芋虫毛虫とは異なり、食べ方は非常に規則的、写真の様に葉を裁断する感じで、直線的な食痕を残す。体長は2cm強。
害草として名高いヤブガラシ、ドクダミ、ヒルガオよりももっと根絶の難しいササを食べてくれるのだから、大発生でもしてくれれば有難いのだが、残念ながら1頭しか見つからなかった。蝶と異なり、蛾は1個所に多数の卵を産むことが多い。このタケノホソクロバも同様で、若齢中は集団で生活するとのことだが、この幼虫が居た場所以外のササに食痕が全く見つからないところを見ると、タマゴバチにでもやられてしまったのかも知れない。
このタケノホソクロバの毛虫、以前紹介したウメスカシクロバ(同じマダラガ科クロマダラ亜科に属すが別属)の幼虫同様、毒針毛を持ち、触ると結構ヒドイらしい。大発生されると些かマズイことになるかも知れないが、ウメスカシクロバの幼虫は2年前までは我が家のツルバラで毎年大発生していた(一昨年に即効性農薬と残留性農薬の混合液をバケツに8杯噴霧して根絶させた)のだが、発疹が出るなどの被害は皆無であったところを見ると、このタケノホソクロバ幼虫の毒針毛も直接触らない限りは問題ないのかも知れない。
毛虫と言うのは、慣れないと何方が頭か尻尾か分かり難いことがある。吸盤の様な脚があるのが後、爪状の脚があるのが前である。鱗翅目(蝶、蛾)の頭部は、以前「ナミアゲハの幼虫」で紹介した様な構造になっているが、このタケノホソクロバの幼虫は前胸(第1胸節)が襞の様になって頭部を被っており、頭部が良く見えない(マダラガ科幼虫の特徴)。
しかし、時折周囲を眺め渡す様に頭を持ち上げることがある。それでも頭頂は殆ど見えない。何とか頭部を撮れないだろうかと色々やっている内に毛虫君を2回スレートの上に落としてしまった。写真を撮っている時には気が付かなかったのだが、後から見てみると、最前部(中胸:第2胸節)の長い毛が2本折れている。一見しなやかそうでも、結構脆いものらしい。 上の写真は、毛が折れてから撮ったものである。折れている毛を見ると黒い毛の中心部が白くなっているのが分かる(写真をクリックして拡大表示され度)。毛虫の毛の細微構造がどうなっているのか、興味のあるところである。
かなり長い時間、歩き回る毛虫君の頭を撮ろうとしたのだが、一番良く口器が見えたのが上の写真。しかし、鱗翅目幼虫の口器と言うのは非常に複雑な構造をしており、この程度の写真では何処かどうなっているのか良く分からない。動き回る体長2cm程度の毛虫の口器を高精度で撮影するのは、やはり殆ど不可能に近い。 かつて別のサイトに、セスジスズメ終齢幼虫の口器の写真を掲載したことがある。体長8~9cmもある大型の芋虫なので、口器もその分大きい。鱗翅目幼虫の口器に関心のある向きは此方をどうぞ。
撮影を終わり、データをコムピュータに移して撮った写真を一通り見てみた。すると、どうも肉眼で見た感じとは少しずれている様に思えて来た。其処でもう1枚背面斜めからの写真を撮り直し。これが一番目で見た感じに近い。 教訓! 細部にばかりに気を取られると、全体を撮り逃す。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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