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我が家の庭の生き物たち (都内の小さな庭で)

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2009.09.16
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 今日も前回に引き続き鱗翅目(蝶、蛾)の幼虫である。玄関近くのスレートの上をヒョコヒョコ歩いていた。しかし、些かキッカイな幼虫、一見甲殻類のシャコを思わせる外観である。体長は45mm位。一体これ何者?

 何処かで見た覚えがある・・・、ヒョッとしてシャチホコガの幼虫ではないのか? 早速調べてみるとやはりシャチホコガ(Stauropus fagi persimilis:シャチホコガ科)の終齢幼虫であった。コナラの樹の下に居たので、これまでは恐らくコナラの葉を食べていたのであろう。



シャチホコガの終齢幼虫1


シャチホコガの終齢幼虫.色が薄くなっている.体長は約45mm

(写真クリックで拡大表示)

(2009/09/01)

 シャチホコガの幼虫は、その名にある様に、脅かすと頭部胸部と尾部を反り返らせて、シャチホコの様な形になる。非常に奇妙なとても蛾の幼虫とは思えない格好である。色も普通はもっと濃い。

 そう言う姿ばかり見て来たので、この人肌に近い薄い色をした虫がシャチホコガの幼虫とは一寸思えなかった。歩き方も一寸変わっており、お尻をピョコピョコ跳ね上げる様にして歩く。

 蛾の幼虫は蛹化する直前に色が変わることが多い。赤味が強くなるのが普通だと思うが、このシャチホコガの場合は逆に色が薄くなるらしい。


シャチホコガの終齢幼虫2

尾脚が角状の構造になり、歩くときは、お尻をピョコピョコ

跳ね上げながら歩く.写真はお尻を下げたところ

(写真クリックで拡大表示)

(2009/09/01)

 スレートの上ではストロボの光が反射するし、やはり一寸無粋なので、庭に置いてある天然石の上に移して撮影した。

 鱗翅目の幼虫は、多くの場合、胸部に各1対の短い胸脚(全部で3対)と第3~6腹節に各一対の吸盤状の腹脚(全部で4対)、更に第10腹節にも吸盤状の尾脚が1対ある。一部のヤガ科やシャクガ科では前方の腹脚が退化して1~3対になる。

 このシャチホコガの場合は、胸脚が成虫の脚の様に非常に長くなり、尾脚は内側に曲がった1対の角状の構造に変化している。腹脚も普通の幼虫の様に柔らかくはなく、馬や驢馬の蹄を思わせる外観をしている(最後の写真)。


シャチホコガの終齢幼虫3


今度はお尻を跳ね上げたところ

(写真クリックで拡大表示)

(2009/09/01)

 鱗翅目の幼虫が枝などにしがみ付く時に最も強力なのは尾脚で、腹脚、胸脚の順に弱くなる。この最も強力な尾脚がしがみ付く機能の無い角に変化してしまっているせいか、シャチホコガの幼虫は物にしがみ付く力が弱い様である。腹脚も余り強力そうには見えないし、胸脚も長すぎてしがみ付くには不向きであろう。

 そのせいか、撮影中に何度か落下した。


シャチホコガの終齢幼虫の尾部


シャチホコガ終齢幼虫の尾部.尾脚が角状の構造に変化している

(写真クリックで拡大表示)

(2009/09/01)

 シャチホコガの幼虫は頭部を隠す前胸の襞が無いし、頭を少し上向きにして歩くので、頭部の写真を撮るには都合が良い。以前、「ナミアゲハの幼虫」で頭部の構造を説明したが、今日はもう一度お復習い。

 頭部の大半を占める左右に分かれたヘルメットみたいな部分を頭頂と言う。人間ならば脳の位置だが、鱗翅目幼虫の場合、中身の大半は大腮を動かすための筋肉である。その左右の間にある中心線を中縫線、中央にある三角形の内、光を反射している内側の部分を前頭、その周囲の頭頂との間にある細い部分が副前頭で、これと頭頂との間にある溝を副前頭縫線と呼ぶ。この縫線は、脱皮する際にこの線に沿って割れが入るので、脱皮裂線とも呼ばれる。前頭の下にある略5角形の部分が頭楯、その下から飛び出している2葉に分かれた構造が上唇で、葉を食べるときには、葉の縁をこの中に挟む様にして食べる。その裏側に隠れている色の濃い部分が大腮で、これで葉っぱを噛み砕く。頭頂の左右の下端近くにある黒っぽい粒々は単眼である。写真では一部が隠れていて3個ずつしか見えないが、本当は6対ある。成虫には複眼があるが、幼虫には単眼しかない。なお、左右の頭頂の下から伸びている基部を紙の筒で被われた様な構造は触覚である。


シャチホコガの終齢幼虫の頭部


シャチホコガ終齢幼虫の頭部.本文参照のこと

(写真クリックで拡大表示)

(2009/09/01)

 斜め横から見ると下の写真の如し。少し見え難いが単眼が片側に6個あるのが分かるであろう。

 シャチホコガの胸脚は異常に長い(前脚=第1胸脚は余り長くない)が、その構造は普通の鱗翅目幼虫と変わるところはない。幼虫の胸脚は成虫の脚と基本的に同じ構造をしており、根元の方から、胸部との境が良く分からない基節、環状の転節、腿節、脛節、付節からなる。成虫の付節は5節だが、幼虫の場合は1節のみである。付節の先端に黒くて小さな爪が見える。なお、頭部の右に見える黒い輪郭をした環状の構造は気門で、胸部では前胸のみに1対、腹部では第1~8腹節に各1対ずつある。


シャチホコガの終齢幼虫の頭部と前胸


シャチホコガ終齢幼虫の頭部と前胸(第1胸節)

第1胸脚は余り長くない.先端に爪が見える

(写真クリックで拡大表示)

(2009/09/01)

 最後に腹脚の写真を載せることにした。何とも妙な腹脚である。普通は細かい爪(鉤爪)の付いた柔らかい吸盤状のものだが、このシャチホコガの場合は馬の蹄の様な形をしており、何となく、不器用な感じのする代物である。

 胴体の方に見える楕円形の環状構造は、上に述べた腹節の気門である。


シャチホコガの終齢幼虫の腹脚


シャチホコガ終齢幼虫の腹脚.驢馬の蹄を思わせる

(写真クリックで拡大表示)

(2009/09/01)

 この幼虫、色変わりしている様だし、地面を歩いていたところを見ると、蛹になる場所を探しているものと思われる。保育社の蛾類幼虫図鑑を見ると、「老熟すると地上に降り、うすい繭を作って蛹化する」とあるので、タッパーに土と枯れ草を敷き、その中に入れてみた。しかし、土や草の中に潜る気配は全く無く、何時までも歩き回っている。其処でInternetで調べてみると、「幼虫図鑑」に蛹の写真があり、その説明に「桜の葉2枚を,上手に糸で合わせた中で,蛹化しています。自然の状態だと,葉も枯れないので,非常に見つかりにくいと思いました」とある。樹上で蛹化するのかも知れない。

 早速、土と枯れ草を棄て、コナラの新しい葉を摘んでタッパーに詰め、その中に入れてみた。暫くジッとしていたが、やがて姿が見えなくなった。耳を澄ませても、歩き回るカサカサと言う音は聞こえない。どうやら、葉の間に入って繭を紡いでいるらしい。一先ず、安心した。








最終更新日  2009.09.16 17:44:18
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