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2009.11.23
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 11月ももう20日代に入ってしまった。今年もそろそろ終わりである。

 今日は「北米原産シオンの1種(紫花)」に居た芋虫を紹介する。見付けたのは今月の上旬であったが、ヤガ科キンウワバ亜科(Plusiinae)の幼虫であることまでは分かっても、この連中は羽化させないと種までは落ちないので、飼育して羽化するのを待っていたのである。羽化した成虫を調べると、エゾギクキンウワバ(Ctenoplusia albostriata)であった。



エゾギクキンウワバの幼虫(終齢)1

エゾギクキンウワバの終齢幼虫.頭の方へ行くにつれ体高が低くなる

(写真クリックで拡大表示)

(2009/11/01)

 終齢幼虫で体長は3cm程度。腹部の第7~8節辺りで体高が一番高く、前方に行くにつれて段々低くなる。しかし、背面から見ると体の幅は殆ど一定である(下)。


エゾギクキンウワバの幼虫(終齢)2


同一個体.背側から見ると体の幅は殆ど一定

(写真クリックで拡大表示)

(2009/11/01)

 鱗翅目(蝶、蛾)の幼虫の多くは、第3~6腹節に1対ずつ、全部で4対の腹脚を持つ(尾脚を除く)。しかし、ヤガ科の中にはこのキンウワバ亜科やコヤガ科、アオイガ科(例えばフタトガリコヤガ)の幼虫の様に、第3~4腹節の腹脚が退化して2対しか持たない連中も居る。

 この様な脚を持っているので、歩き方は尺取虫的になる。なお、尺取虫(シャクガ科)の場合は、更に第5腹節の腹脚も退化して、腹脚は第6腹節の1対だけである(例えば、ヨモギエダシャクの幼虫)。


エゾギクキンウワバの幼虫(終齢)4


エゾギクキンウワバ終齢幼虫の腹脚.2対しかない

(写真クリックで拡大表示)

(2009/11/01)

 頭は、腹部後半の太さに比してかなり小さい。尺取虫的な体勢に加えて、胸脚を放してこの小さな頭をかなり忙しく振り回すことがあり、その様な場合には、何かヒラタアブ類の幼虫を思わせる様な動きになる。


エゾギクキンウワバの幼虫(終齢)3


エゾギクキンウワバ終齢幼虫の頭部と胸部.頭は小さい

(写真クリックで拡大表示)

(2009/11/01)

 下は別個体で、蛹化間近である。最初の個体は蛹化するまであと数日を要したが、それに較べ随分と太っている。

 このエゾギクキンウワバの幼虫は、専ら花序の中にある小さな葉(1種の苞?)か舌状花の花弁を食べ、下位にある大きな葉は食べない様である。食べているのを見たことがないし、また、食痕も見当たらない。


エゾギクキンウワバの幼虫(終齢)5


別個体.前蛹になる1日前で上の個体に比して随分太っている

(写真クリックで拡大表示)

(2009/11/16)

 この幼虫の種類を調べるのに、先ず北隆館の古い幼虫圖鑑を参照した。これにはミツモンキンウワバの幼虫が載っていて、これが写真の幼虫に良く似ているのだが、「頭部の側面に黒線が走る」と書かれている。御覧の様に、このエゾギクキンウワバの終齢幼虫にはその様な黒線はない。全くの無紋でコントラストに乏しい。


エゾギクキンウワバの幼虫(終齢)6


休憩中の幼虫.顔を上げて休む

(写真クリックで拡大表示)

(2009/11/01)

 普通、幼虫が休んでいるときは頭を下向きにすることが多いので、中々顔が見えない。しかし、この幼虫は顎を上げた様な格好で休憩する。顔の写真は非常に撮り易い。こう云うのも一寸珍しいと思う。


エゾギクキンウワバの幼虫(終齢)7


正面から見たエゾギクキンウワバ終齢幼虫の顔
(写真クリックで拡大表示)

(2009/11/01)

 「シオンの1種」には合計3頭の幼虫が居た。実は、残念ながら此処に示した写真(下から3番目を除く)の個体は繭を作った後、蛹化せずに死亡してしまった。寄生されていたのではなく、何らかの病気で死んだ様である。エゾギクキンウワバと同定したのは、此処に示していない別の個体である。だから、この幼虫がエゾギクキンウワバであるという確証はないのだが、同じ場所に同じ齢の近縁種の芋虫が居る可能性は極めて低いと思うし、学術論文ではないのだから、まァ、エゾギクキンウワバの幼虫としておく。

 エゾギクキンウワバの幼虫は、葉の間に極く薄い繭を作ってその中で蛹化する。写真の枚数が多くなるので、蛹や成虫についてはまた次の機会に譲ることにしよう。







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最終更新日  2009.11.23 11:01:14
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