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テーマ:日々自然観察(9813)
カテゴリ:昆虫(アブ、カ、ハエ)
背景がブロック塀とは何とも味気がないが、こればかりは何とも致し方ない。もっと綺麗な背景の場所に移ってくれれば良いのだが、逃げられては元も子もない(後述)。何卒御勘弁頂きたい。 なお、上の写真は、拡大すると背景から虫体が浮き上がって見えるので、その様にして御覧頂ければ幸いである。
ソモソモ、私はガガンボ(カガンボ、ガガンポ)は苦手でよく知らない。しかし、このホリカワクシヒゲガガンボだけは、幸いなことに、以前、双翅目の掲示板「一寸のハエにも五分の大和魂・改」に投稿があり、私も若干関与したので、それだと直ぐに分かった。 この種は手元の図鑑には載っていない。掲示板での投稿が無かったら、種名までは分からないところであった。
この個体、名前は「櫛鬚」だが、下の写真の通り、触角は数珠状で櫛状ではない。これは、この個体が雌だからで、クシヒゲガガンボ類の雄は、名前の通り、櫛状の触角を持つ。
実は、昨年の8月末に、同種雄の残骸を庭で見つけた。この辺りでは見たこともない鮮やかな模様のガガンボだったので、かなり酷く破損した個体ではあったが、一応撮影して置いた。下の写真がそれである。チャンと櫛状の触角をしている。
前述の掲示板での投稿に回答されたのは、九大名誉教授の三枝先生である。先生の御話では、ホリカワクシヒゲガガンボは暖地に多い種で、市街地などにも時々現われるとのこと。また、クシヒゲガガンボ類の多くは朽木に穿孔してこれを食べるが、本種の雌は、腹の先にある細く尖った産卵器で腐葉土中に産卵し、幼虫は腐葉土を食べて生長するそうである。
先生は飼育についても書かれている。「メスを採集すれば飼育は簡単で,腐葉土を十分に湿らせたのを厚くいれた容器にメスを放せば盛んに産卵し,幼虫は腐葉土を摂食して成長します。幼虫はかなり大型なので,多数を飼育する場合は頻繁に腐葉土を入れてやる必要があります。桜などの葉を乾燥させたものを細かく砕いて腐葉土にまぶしてもいいでしょう。羽化は蛹が地上に上半身を出して脱皮します。なかなか美しいガガンボですので,メスを採集したら飼育を試みられたらと思います」とのこと。飼育の詳細は、「川瀬勝枝・三枝豊平,1984.ホリカワクシヒゲガガンボの飼育記録。まくなぎ,(12):31-34.」を参照すれば分かるらしい。
一通り写真を撮ってから、背景が余りに無粋なので、何処か葉の上にでも誘導出来ないかと思い、一寸チョッカイを出してみた。慌てて逃げることはなく、緩やかに飛んで彼方此方移動したが、小さな木の葉や枝などは留まり難いらしく、やがて重なったモミジの葉上に留まって動かなくなった。しかし、撮影してみると、葉からのストロボ光の反射が強過ぎる(上の写真)。 其処でもう一度チョッカイを出した。すると・・・、あらら摩訶不思議、ガガンボの姿が消えてしまった。こんなに大型でしかも緩やかに飛ぶ虫が突如見えなくなるとは何とも理解し難いが、兎にも角にも、居なくなってしまった。蛾などはポトリと落ちて突如眠りに入ることがあるので、下の方も探してみたが、やはり見付からない。 ・・・と云う訳で、綺麗な背景の写真は遂に撮れなかった。飼育の方も、親が居なければ諦めるしかない。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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