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テーマ:虫!(821)
カテゴリ:昆虫(蠕虫)
写真の幼虫は、その後から見つかった幼虫の内の1頭である。その時は、色々な虫を飼育していてシャーレの不足を来していたので、2頭を一緒に飼育した。餌のアブラムシは充分与えてあったのだが、或る時、幼虫を探してみると1頭しか見当たらない。よ~く調べて見ると、皺クチャになったクロヒラタの幼虫が見つかった。何と、共食で1頭になってしまったのである。残った1頭が写真の幼虫だが、共食いの後、急に大きくなった。 この時、他にもヒラタアブ類の幼虫を飼っていたのだが、彼らは一緒にしても共食いなどしなかった。クロヒラタの幼虫は、かなり凶暴と言える。尚、ヒラタアブ類の幼虫が共食いをするのは珍しいことではないらしく、フタスジヒラタアブ(フタスジハナアブ)は共食いばかりでなく、鱗翅目の幼虫や蜘蛛まで補食するとのこと(昆虫写真家新開孝氏の「昆虫ある記」に拠る)。
此の連中の幼虫期は3齢しかないので、これは終齢=3齢幼虫である。体長は約8.0mm、体が柔らかいので縮んだ時と伸びた時ではかなりの差が出る。 見つけた時は、体長5~6mmで、体の白黒の縞がもっとハッキリしていた。しかし、大きくなるにつれ、次第に白い部分が黄褐色を帯びて来て、写真を撮った時点(2010/12/10)では縞模様がかなり不明瞭となってしまった。
横から見ると(2番目の写真)、白黒模様が体節ごとにあるらしいことが刺毛の分布から分かる。G. E. Rotheray著「Colour Guide to Hoverfly Larvae」(Dipterists Digest No.9、1993)に拠れば、ハナアブ科(ヒラタアブはハナアブ科Syrphidaeヒラタアブ亜科Syrphinaeに属す)の幼虫は、胸部は3節、腹部は8節なのだが、皺が多くて何処が体節の境目なのか良く分からない。 腹側には、芋虫毛虫の腹脚に似た構造が見える。同書に拠れば、一般にハナアブ科の幼虫は腹部の第1から第6節に歩行器官(locomotory organ)を持つとのこと。今まで撮影したヒラタアブの幼虫には写っていないが、隠れて見えなかっただけなのであろう。今度飼育する時は、一度ひっくり返して歩行器官を見てみよう。
先頭部を見てみると、黄褐色の眼、或いは、角の様なものが1対ある。これは前気門で、第1胸節(前胸)にある。マガイヒラタアブの幼虫では明確であった Antenno-maxillary organ(和名不詳.antennaは「触角」、maxillaは「小顎」乃至「上顎」の意だが、機能的には触角に相当するものであろう)は、中央部下側のやや黒っぽく見える部分にあると思われるが、上の2枚の写真からは何処にあるのか良く分からない。この辺りは頭部である。 口器は何処かというと、主要部は体の中に入っており、この黒っぽい部分の下側から出てくるものと思われる。この幼虫の捕食中の様子は、別の機会に詳しく紹介する予定である。
最後は、後気門の写真。後気門の形態は分類の指標になるので、3方向から撮ったが、全体に黒くて詳細はよく分からない。一番上はほぼ真上から、中央は斜め横、下は水平に近い真後ろから撮影している。尚、後気門の右に見える丸く黒いものは単なるゴミで、幼虫の付属器官ではない。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2012.01.11 10:53:33
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