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我が家の庭の生き物たち (都内の小さな庭で)

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昆虫(芋虫、毛虫)

2011.01.17
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 今日は、昨年の続きで、オオタガコガ(Helicoverpa armigera)の終齢(6齢)幼虫を紹介する。

 5齢幼虫から体長も急激に増加し、6齢では体を伸ばすと4cm位になる。食べる量も尋常ではない。



オオタバコガの幼虫(終齢:6齢)1


菊の花の上を歩くオオタバコガの終齢(6齢)幼虫

背中が凸凹しており全身を深度に入れるのに一苦労

(写真クリックで拡大表示)

(2010/10/21)

 5齢の初め頃まではコスモスの花を食べさせていたのだが、この頃から食べる量が著しく増加し、1株しかないコスモスの花は直ぐに無くなってしまった。仕方なく、新たに菊の花(1鉢100円を2鉢)を買ってきてそれを食べさせることにした。

 この幼虫を飼育し始めた当初は、食べる量が少ないので飼育箱に小さな花瓶を入れそれに花を挿して食べさせていたが、暫くしてからは、シャーレに移した。食べるのが速くなり、花だけを切って与えても、花が萎れる前に食べ尽くしてしまうからである。また、排泄物の量も食べる量に比例してスザマジイので、シャーレの方が清掃が楽である。


オオタバコガの幼虫(終齢:6齢)2


横から見た図.腹部第1節と第8節が盛り上がっている

(写真クリックで拡大表示)

(2010/10/21)

 今日の写真は、その餌にしている菊の花の上に芋虫を移して撮影している。下の写真の様に、直ぐに花に頭を突っ込んで食べ始めるので、頭部がチャンと見える写真を撮るのには結構苦労した。兎に角、食いしん坊なのである。


オオタバコガの幼虫(終齢:6齢)3


放って置くと直ぐに筒状花の部分に頭を突っ込んで食べ始める

右上はこの幼虫の「落とし物」.食べる量に比例するので

その量(出す頻度)もスザマジイ

(写真クリックで拡大表示)

(2010/10/21)

 どれ位食べるかというと、終齢(6齢)では、この写真に写っている菊の花を1日で5個くらい食べてしまう。最も好んで食べる部分は筒状花で、花弁が短いせいか花全体を食べてしまう。周辺の舌状花は、もし花が他にあれば、子房の辺りだけを食べて、花弁は食べない。要するに、蛋白質や脂質の多い子房や花粉などを真っ先に食べるのである。

 飼育に際しては、花の量が限られているので、出来るだけ花弁も食べさせる様に餌の量を少な目にしたが、これが自然条件下であれば、一番良いところだけ食べて次の花に移ってしまうであろうから、その被害は相当なものであろう。流石?大害虫だけある。


オオタバコガの幼虫(終齢:6齢)4


食事中のオオタバコガの終齢幼虫.頭部は隠れて見えない

(写真クリックで拡大表示)

(2010/10/21)

 前回書いた様に、最初に掲載した2齢幼虫は10月12日撮影、14日には既に4齢幼虫になっているのが認められ、3日後の17日には5齢(何時5齢に脱皮したかは不明)で、19日には6齢に脱皮するところを観察、21日に撮影(今日の写真)した後、23日には早々に土に潜ってしまった。2齢から前蛹化まで僅か11日(土に潜ってその日の内に前蛹化すると仮定)、6齢期が長く、2齢から6齢に脱皮するまではたったの7日である。2齢、3齢の各齢期はほぼ1日と推定されるので、初齢も1日とすると、幼虫期は僅か13日でしかない。

 一方、福井県農業試験場のHPの中にある「県内産オオタバコガの積算温度と農薬感受性」に拠ると、25度で飼育した場合、幼虫期はほぼ17~22日となっている(上記資料のデータを簡略化した日数)。この資料には餌として何を与えたのか書かれていないが、これと較べると、13日と云うのは著しく短期間である。これは、今回の飼育では花を餌として与え、幼虫はその蛋白質や脂質の含量が多い部分を主に食べていたからだと思われる。


オオタバコガの幼虫(終齢:6齢)5


オオタバコガ終齢幼虫の頭部.頭幅は2.6mm

(写真クリックで拡大表示)

(2010/10/21)

 今回も一応頭幅を測定してみた。上の写真をスケールと比較すると頭幅は2.6mm。これまで何回も引用した「大豆を加害するハスモンヨトウ及びオオタバコガ各幼虫の齢期を判定するための頭幅測定ゲージ」に掲載されているオオタバコガ幼虫の齢と頭幅との関係を示す一覧表に拠れば、2.6mmは6齢の頭幅最頻値であった(文字数制限の為、表の引用は省略した)。


オオタバコガの幼虫(終齢:6齢)6


斜め横から見たオオタバコガ終齢幼虫の頭部

口器は非常に複雑.単眼が6個見えるが

1個は少し離れて触角の下にある

(写真クリックで拡大表示)

(2010/10/21)

 食いしん坊の横顔を上に示した。ついでに頭部の構造に付いて説明しておこう。北隆館の古い「日本幼虫圖鑑」に拠れば、頭部の大半を占める一見複眼の様に見える部分が頭頂(Parietales)で、中には脳ではなく上顎(後述)を動かす筋肉が詰まっている。頭部下部やや左にある3節からなる先端が黒い突起が触角で、成虫とは異なりやや下を向いている。左右の頭頂に挟まれた三角形の部分が前頭、その下の幅広い一寸固そうな部分が頭楯、更にその下の白い丸まった板の様な構造が上唇である。その下に見える黒い部分が左右の上顎(大腮)でこれを使って食物を食い千切る。更にその下に触角を小さくした様な3節からなる1対の構造が見えるが、これは口器の一部で下顋鬚(保育社の「原色日本蛾類幼虫図鑑」では小腮鬚)であろう。その間(頭部中央下)に吐糸管や下唇鬚があるのだが、この写真では良く分からない。

 触角の右側に単眼が見える。右から1~4番目までは明瞭だが、5番目は少し左にずれて触角の下、6番目は4番目の下やや右側にあり色薄く少し不明瞭である(5番目と6番目は、研究者によっては、逆に6番目と5番目とされることもある)。



オオタバコガの幼虫(終齢:6齢)7


胸部と腹部第1節.細かい棘状の構造(顆粒)に被われている

(写真クリックで拡大表示)

(2010/10/21)

 ヤガ科(Noctuidae)タバコガ亜科(Heliothinae)の特徴とされる胴部表面の棘状構造(顆粒)は4齢から認められたが、終齢では実に見事に発達している。下の写真は上の写真の部分拡大である。是非、最大まで拡大して御覧頂きたい。


オオタバコガの幼虫(終齢:6齢)8


前の写真の部分拡大.右から胸部第2、3節と腹部第1節

細かい棘状の突起と微妙な色合いが印象的

(写真クリックで拡大表示)

(2010/10/21)

 この幼虫は写真を撮った2日後の10月23日には土に潜ってしまった。アゲハの幼虫では、蛹化する前の2日位は食事をせず、最後に「ビチ」をしてから蛹化する場所を探して半日くらいウロウロするものだが、オオタバコガの幼虫では全然違った。

 23日に余り食べなくなったのでどうしたのかと思っていたが、ビチもせず、動きもしない。蛹化が近いのだろうと思い、乾いた土と湿った土を半々にしてプラスティックの透明なコップ(百円ショップの品)に3~4cm程入れ、その上に虫体を置いてみた。

 驚いたことに、一歩も歩まず?、置かれたその儘の位置から直ぐに頭を下に向けて潜り始めた。30秒後には完全に土の中、何と言う早業!! 異常な程の成長の速さに加えて蛹化する時もグズグズせずに食べるのを止めてから殆ど待たずに土中に潜ってしまう。ほぼ1ヶ月で1世代を終えることが出来るのも、この様な早業の連続に因ると云うことが実感として良く分かった。


[追記]以前及び以降のオオタバコガ成長記録の一覧は、文字数制限の為此処には載せられないので、「蛹と成虫」の末尾を参照されたい。








最終更新日  2011.02.01 11:52:55
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2010.12.15


 今日は、前々回に引き続き、オオタバコガ(Helicoverpa armigera)の5齢幼虫を紹介する。撮影したのは10月17日の朝で、先日掲載の4齢の方は14日の夕方撮影だから、3日弱経っていることになる。



オオタバコガの幼虫(5齢)1


コスモスの花を食害するオオタバコガの5齢幼虫

中心にある筒状花の直径より長くなった

尚、この幼虫は6齢で終齢に達する

(写真クリックで拡大表示)

(2010/10/17)

 先ず、コスモスの花を含めた全体の写真を上に示す。4齢の時には全体写真の良いのがなかったので掲載しなかったが、4齢では筒状花部分の径よりもかなり小さかった。しかし、5齢では明らかに体長が径を上回ることが分かる(勿論、同じ花ではないので、筒状花部分の直径にはバラ付きがある)。


オオタバコガの幼虫(5齢)2


背面から見たオオタバコガの5齢幼虫.細かい皺の様な筋が増えて

大分オオタバコガの幼虫らしくなった

(写真クリックで拡大表示)

(2010/10/17)

 縦に走る細かい皺の様に見える筋が増えて、よりオオタガコガの幼虫らしくなった。体色が変化して緑色を強く帯びている(写真は強く圧縮してあり、また、写真の周囲が緑色なので、実際よりも赤味が濃くなる)。成長したオオタバコガ幼虫の色は、緑色の他、茶色、赤味の強いもの、全体に色が薄いもの、濃いもの等様々だが、緑系が一番多い様な気がする。


オオタバコガの幼虫(5齢)3


筒状花から無理矢理離されたオオタバコガの5齢幼虫

(写真クリックで拡大表示)

(2010/10/17)

 この幼虫、随分細長く見えるが、頭幅が腹幅より僅かに狭い程度なので、脱皮後余り時間が経っていないと思われる。しかし、脱皮直後と思われる4齢の写真と比較するとやや腹部の方が太くなっているから、脱皮後の経過時間は5齢の方が長いのであろう。

 この5齢は2日後の19日の朝に6齢に脱皮する。4齢と5齢は同じ個体である。・・・とすると、大きくなるにつれて齢期は長くなる様なので、4齢に2日、5齢に3日要したと考えるのが適切かと思われる。


オオタバコガの幼虫(5齢)4


オオタバコガ5齢幼虫の頭部.花粉だらけである

(写真クリックでピクセル等倍)

(2010/10/17)

 今回も頭幅を計って5齢幼虫であることを示しておく。上の写真は、頭部を等倍接写したものでる。写真だけ見ると4齢と大きさが余り変わらない様に見えるが、4齢と5齢の写真を撮った間の10月16日に、それまで使っていた100mmマクロが故障して、カメラ本体もレンズも変更した。新しいシステムの方がピクセル数が多く、ピクセル等倍にすれば横幅が1.2倍大きくなる。4齢の方はテレプラスで超接写、上の写真は通常の等倍接写で、何れもピクセル等倍である。

 頭幅をスケールと比較すると1.7mm。前回も転載した「大豆を加害するハスモンヨトウ及びオオタバコガ各幼虫の齢期を判定するための頭幅測定ゲージ」に掲載されている、オオタバコガ幼虫の齢と頭幅の関係は以下の通りである。


  幼虫の齢   頭幅最頻値(mm)  最小値-最大値
   1齢      0.25    0.2 - 0.3
   2齢      0.35    0.3 - 0.45
   3齢      0.60    0.55-0.75
   4齢      1.05    0.85-1.25
   5齢      1.70    1.3 - 2.0
   6齢      2.60    2.4 - 3.0


 頭幅1.7mmは、丁度5齢の頭幅最頻値であった。


オオタバコガの幼虫(5齢)5


オオタバコガ5齢幼虫の胸部.棘状の突起が無数にある

(写真クリックで拡大表示)

(2010/10/17)

 前回、保育社の「原色日本蛾類幼虫図鑑」に拠ると、オオタバコガの属すヤガ科(Noctuidae)タバコガ亜科(Heliothinae)の幼虫は、胴部の表皮に微細な顆粒を密布する、と書いた。この粒々、或いは、棘状突起は4齢では大した事は無かったが、5齢では上の写真の様にかなりリッパに発達している。6齢(終齢)では、体ももっと大きくなるので、もっと見応えがある。どうぞお楽しみに。

 ・・・しかし、我ながらもうオオタバコガの幼虫には少し飽きて来た。読者諸氏もウンザリされていると思われるが、この後更に「6齢(終齢)」、「蛹と成虫」の2回がある。しかし、6齢はかなり見映えがするし、少し違った観点からの話もあるので、どうか今暫く御辛抱の程、御願い申し上げる。


[追記]以下に、以前及び以降のオオタバコガ成長記録の一覧を示しておく。

    内容     掲載日       撮影日       備考
   2齢幼虫   2010/11/26   2010/10/12
   3齢幼虫   2010/12/01   2010/10/14   他とは別個体
   4齢幼虫   2010/12/11   2010/10/14
   6齢幼虫   2011/01/17   2010/10/21
   蛹と成虫   2011/01/31     -        2個体








最終更新日  2011.02.01 12:19:17
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2010.12.11


 今日は、前々回の「オオタバコガの幼虫(3齢)」に引き続いて、その4齢幼虫を紹介する。

 体長は約9.5mm、3齢の写真では約9mmであったから大差なく、脱皮後間もないものと思われる。尚、今日の4齢幼虫は、前々回掲載の3齢幼虫とは別個体で、3齢と同じ日に撮影したものである。



オオタバコガの幼虫(4齢)1


オオタバコガの4齢幼虫.脱皮直後らしく頭と胴の幅がほぼ同じ

3齢とは異なり、オオタガコガの幼虫らしくなった

(写真クリックで拡大表示)

(2010/10/14)

 上の写真に示した姿を見た途端に、オオタバコガ(Helicoverpa armigera)の幼虫だと思った。理由は我ながら良く分からないが、多分、この横から見た形と、何となく表皮がザラザラした感じがしたからだと思う。3齢までは、表皮はすべすべして光沢があったが、この4齢にはそれがない。


オオタバコガの幼虫(4齢)2


上から見たオオタバコガの4齢幼虫.花弁が邪魔して少し斜めに

なっている.花弁を避けるのが面倒だったらしい

(写真クリックで拡大表示)

(2010/10/14)

 この個体は、3齢幼虫のところで書いた様に、最初に掲載した2齢幼虫(10月12日撮影)が成長したものと思われる。僅か2日半で2齢が4齢になるとは信じがたいが、この個体は3日後の17日には5齢(何時5齢に脱皮したかは不明)で、19日には6齢に脱皮し、23日には土に潜ってしまった。2齢から前蛹化まで僅か11日、6齢期が長く、2齢から6齢に脱皮するまではたったの7日である。若齢ほど齢期が短い様なので、3齢位までは1齢を1日で終わるとしてもおかしくはない。


オオタバコガの幼虫(4齢)3


上の状態を横から見た図.かなり体が伸びている

(写真クリックで拡大表示)

(2010/10/14)

 この4齢幼虫、3齢とは随分外見が異なる。3齢までは赤っぽい色をしていたのが、濃い焦げ茶色(もう少し緑がかっていた様な気がするが、白いコスモスの花を白になる様に現像するとこう云う色になる。赤味がかるか緑を帯びるかは非常に微妙で、極く僅かの調整で色が違ってしまう)になっているし、硬皮板や頭部の黒っぽい部分が殆どなくなり、頭部には褐色の斑がやや筋状に残っているだけである。

 その他に、表皮の構造に大きな違いが生じている。


オオタバコガの幼虫(4齢)4


オオタバコガ4齢幼虫の胴部.テレプラスで超接写したもの

背中やその他の表皮に突起状の構造が認められる

(写真クリックでピクセル等倍)

(2010/10/14)

 最初の方で、何となく表皮がザラザラした感じがすると書いた。保育社の「原色日本蛾類幼虫図鑑」に拠ると、オオタバコガの属すタバコガ亜科(Heliothinae)の幼虫は、胴部の表皮に微細な顆粒を密布する、とある。

 胴部を超接写した写真を上に示した。露出不足を増感しているのとピクセル等倍なので酷い写真だが、背中に白い棘状の突起が認められ、他の部分にも、写真自体のザラツキで見難いが、突起状の構造があるのが分かる。これが故に、ザラザラした感じがするのである。

 この細かい突起は3齢幼虫には見られないもので、終齢になると見事に発達する(大きくなるので撮り易いせいもある)。


オオタバコガの幼虫(4齢)5


テレプラスで超接写したオオタバコガの頭部.頭幅は1.1mm

(写真クリックでピクセル等倍)

(2010/10/14)

 尚、始めから4齢幼虫と書いているが、一応、その根拠を示しておく必要があろう。上の写真は、頭部をテレプラスで超接写したもので、スケールと比較すると頭幅は1.1mm。先日紹介した「大豆を加害するハスモンヨトウ及びオオタバコガ各幼虫の齢期を判定するための頭幅測定ゲージ」に掲載されている、齢と頭幅の一覧表を以下に転載する。


  幼虫の齢   頭幅最頻値(mm)  最小値-最大値
   1齢      0.25    0.2 - 0.3
   2齢      0.35    0.3 - 0.45
   3齢      0.60    0.55-0.75
   4齢      1.05    0.85-1.25
   5齢      1.70    1.3 - 2.0
   6齢      2.60    2.4 - 3.0


 頭幅1.1mmは4齢の範囲にあることが分かる。頭と胴体の幅に大きな違いがないのは、脱皮して間もないからであろう。3齢では体長9mm、この4齢では9.5mmと大差ないが、頭幅は3齢では0.72~0.73mmだったから、4齢は3齢よりかなり大きくなっていると言える。


[追記]以下に、以前及び以降のオオタバコガ成長記録の一覧を示しておく。

    内容     掲載日       撮影日       備考
   2齢幼虫   2010/11/26   2010/10/12
   3齢幼虫   2010/12/01   2010/10/14   他とは別個体
   5齢幼虫   2010/12/15   2010/10/17
   6齢幼虫   2011/01/17   2010/10/21
   蛹と成虫   2011/01/31     -        2個体








最終更新日  2011.02.01 12:17:36
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2010.12.01


 今日は、前々回に引き続いて、オオタバコガ(Helicoverpa armigera)の幼虫を紹介する。

 先日の2齢幼虫は10月12日撮影、今日のは3齢幼虫で、僅か2日後の14日である。12日にはコスモスの花に1頭しか居なかった筈の幼虫が、14日には3頭に増えていた(何れも別々の花上)。しかも、その内の1頭は大きくて色も濃く、姿も少し異なって別種ではないかと思われた。

 その色の濃い大きい個体を拡大してみると、これはどうもオオタバコガの幼虫らしい。12日に撮影した個体が成長してこの色の濃い個体となり、他の2頭は新たに後から孵化した様に見える。しかし、たった2日でそれ程急激に成長するものだろうか。しかも、その色の濃い幼虫は4齢らしい。

 一寸考え難い成長速度である。しかし、コスモスの花弁(舌状花)の上に落ちている黒い糞は遠目にもハッキリ分かるほど明瞭で、糞の落ちていた花は12日には1個のみで、其処に居た幼虫は1頭だけであったのは確かである。



オオタバコガの幼虫(3齢)1


コスモスの花とそれを食害するオオタバコガの3齢幼虫

2齢幼虫との大きさの違いを示す為に原画全体を示す

虫だけを撮る為に撮影したので、構図が宜しくない

2齢よりもずっと大きいことが分かるであろう

(写真クリックで拡大表示)

(2010/10/14)

 何れにせよ、先日紹介した2齢幼虫や、それとよく似た今日の3齢幼虫が、外見の著しく異なるオオタバコガの4齢幼虫(次回に掲載予定)に姿を変えるものか、それぞれ個体を分けて飼育してみることにした。


オオタバコガの幼虫(3齢)2


上の写真と同一個体.体長約9mm

2齢とよく似ているが硬皮板と

頭の色がかなり薄くなっている

(写真クリックで拡大表示)

(2010/10/14)

 今日の幼虫は2頭だが、何れも体長は約9mm、先日のは5mmで2齢であった。今日の個体が3齢であると判断したのは、先日紹介した、福岡県のHPの下にぶら下がっている「大豆を加害するハスモンヨトウ及びオオタバコガ各幼虫の齢期を判定するための頭幅測定ゲージ」に掲載されている齢と頭幅の一覧表による。以下に再度、転載する。


  幼虫の齢   頭幅最頻値(mm)  最小値-最大値
   1齢      0.25    0.2 - 0.3
   2齢      0.35    0.3 - 0.45
   3齢      0.60    0.55-0.75
   4齢      1.05    0.85-1.25
   5齢      1.70    1.3 - 2.0
   6齢      2.60    2.4 - 3.0



オオタバコガの幼虫(3齢)3


同一個体.横から見た図.腹節第6節の腹脚が

見えないのは、歩いている最中を撮影した為

(写真クリックで拡大表示)

(2010/10/14)

 頭幅の測定は、等倍で撮影した2番目の写真と、テレプラスでもっと拡大した5番目の写真をスケールと比較することで行った。何れも頭が少し斜めになっているが、頭幅は前者では約0.73mm、後者では0.72mmであった(有効数字は1桁半位)。

 表と比較すると、少し大きめだが、3齢幼虫であることが分かる。

 2齢幼虫と較べると、大きさの違いばかりでなく、2齢では真っ黒であった頭と前胸(胸部第1節)背面の硬皮板の部分が薄くなり、また、お尻の硬皮板(肛上板)の紋も薄くなって不明瞭になっている。


オオタバコガの幼虫(3齢)4


オオタバコガの3齢幼虫.上とは別個体

少し太っているが、体長はほぼ同じ

(写真クリックで拡大表示)

(2010/10/14)

 しかし、この3齢幼虫、何処かで見た記憶がある。よく考えてみると、2年前に新しく買って来た「北米原産シオンの1種」の花に付いていた幼虫である(最後の写真)。従って、これも恐らく「我が家の庭の生き物」ではなく、花と一緒にやって来た「お客様」だが、前にも書いた様にオオタバコガはこの辺りでは極く普通種なので、敢えてよしとして掲載することにした。

 このシオンの1種を買って来た園芸店は、今回のコスモスの花を買ったのと同じ店だったと思う。余り農薬を使っていないのか、或いは、これらのオオタバコガが薬剤耐性を獲得しているのかは不明であるが、「お客様」を招くには良い店かも知れない。尤も、毎回オオタバコガでは困るが・・・。


オオタバコガの幼虫(3齢)5


テレプラスで超接写したオオタバコガ3齢幼虫の頭部

(写真クリックで拡大表示)

(2010/10/14)

 下の写真の個体、その前に示した今年のものと比較して、全体の姿や模様ばかりでなく、頭や前胸の硬皮板の形、硬皮板に生えている毛の位置まで全て一致する。オオタバコガの3齢幼虫だったのだ。撮影当時、「ノメイガの幼虫?」として掲載しようとも思ったが、全く別の若齢幼虫かも知れないと考えて掲載しなかったのは幸いであった。


オオタバコガの幼虫(3齢)6


一昨年に購入した「北米原産シオンの1種」に居た蛾の幼虫

今まで正体不明であったが、オオタバコガの

3齢幼虫であることが判明した。

(写真クリックで拡大表示)

(2008/10/05)

 次は4齢幼虫である。2齢と3齢では余り変化はなかったが、4齢になると劇的?に変容する。どう変化するかは、次に掲載する時のお楽しみ。


[追記]以下に、以前及び以降のオオタバコガ成長記録の一覧を示しておく。

    内容     掲載日       撮影日      備考
   2齢幼虫   2010/11/26   2010/10/12
   4齢幼虫   2010/12/11   2010/10/14
   5齢幼虫   2010/12/15   2010/10/17
   6齢幼虫   2011/01/17   2010/10/21
   蛹と成虫   2011/01/31     -       2個体









最終更新日  2011.02.01 12:14:41
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2010.11.26


 十月中旬のことである。虫集め用に100円!で買ってきたコスモスの花弁(舌状花)の上に小さな黒い粒々が落ちているのを見つけた。芋虫か毛虫の落とし物に違いない。

 早速、筒状花の周りや花の下側を調べてみた。しかし、何も居ない。其処で、今度は花弁が重なっている部分を調べたところ、その合間に小さな赤っぽい色をした芋虫が居るのを見つけた。

 この芋虫(毛が少し生えているので芋虫と言うべきか、毛虫と言うべきか判断に苦しむ)、多分、買って来たコスモスの何処かに卵が付いていたと思われる。従って、「我が家の庭の生き物たち」ではなく「お客様」だが、後で分かる通り、此の成虫である蛾はこの辺りには普通なので、まァ、我が家の庭の生き物に準ずると云うところで掲載することにした。



オオタバコガの幼虫(2齢)1


コスモスの花に居たオオタバコガの2齢幼虫.体長5mm

小ささを御理解頂く為に原画全体(等倍接写)を示した

(写真クリックで拡大表示)

(2010/10/12)

 体長は、見た時はもっと大きいと思ったのだが、写真から計測すると丁度5.0mm、拡大してみると、何やらノメイガの幼虫に似ている。しかし、全く別のグループの若齢幼虫の可能性もある。そこで、今後どうなるか分からないが、そのまま暫く様子を見ることにした。


オオタバコガの幼虫(2齢)2


花弁の重なった部分に隠れていたオオタバコガの2齢幼虫

とてもオオタバコガの幼虫には見えない

胸背の黒い部分は前胸硬皮板であろう

(写真クリックでピクセル等倍)

(2010/10/12)

 その後、2齢を加えた後に姿が変わり、漸く正体が分かった。オオタバコガ(Helicoverpa armigera)の幼虫であった。しかし、まァ、成虫になるまで育て、正しくオオタバコガであることを確認してからWeblogに載せる方が無難であろう。

 蛹化するまでは非常に成長が早かったのだが、その後は変化無し、中々羽化しない(年内に羽化させる為に長日条件で飼育した.オオタバコガは「悪者度」に非常に高い害虫なので保護する必要はない)。しかし、数日前、漸く1頭が羽化した。やはりオオタバコガであった。


オオタバコガの幼虫(2齢)3


正背面から。上の位置から方向転換している

お尻の方の硬皮板(肛上板)は濃い茶褐色

(写真クリックでピクセル等倍)

(2010/10/12)

 さて、オオタバコガの幼虫であることは明らかになったが、今日の写真の幼虫は果たして何齢なのだろうか。オオタバコガはヤガ科(Noctuidae)タバコガ亜科(Heliothinae)に属すが、ヨトウガに近い。このヨトウガ類は、アゲハなどとは異なり、幼虫期が6齢の種類が多い(アゲハ類でも生育条件によっては6齢以上になることがあるとのこと)。調べてみると、オオタバコガは5齢乃至6齢と一定していないらしい。

 卵は小さくて直径0.4mm程度と云うから、少なくとも初齢ではないだろう。其処で文献を探すことと相成る。

 意外と簡単に、福岡県のHPの下にぶら下がっている「大豆を加害するハスモンヨトウ及びオオタバコガ各幼虫の齢期を判定するための頭幅測定ゲージ」と云うファイルが見付かった。


オオタバコガの幼虫(2齢)4


横から見たオオタバコガ2齢幼虫.最初の写真の部分拡大

後脚は4対(ヤガ科には4対以下の種がかなりある)

(写真クリックでピクセル等倍)

(2010/10/12)

 この文献のデータを使うと、頭幅を計ることによってオオタバコガ幼虫の齢が推定出来る。出典は、「Van den Berg,H. and Cock,M.J.W.(1993)」となっており、文献名は記されていない。この両者によって1993年に出版された論文は数報あり、その何れに載っていたデータかは不詳である。

 それは兎も角、オオタバコガの頭幅と齢の関係は以下の様になっている。


  幼虫の齢   頭幅最頻値(mm)  最小値-最大値
   1齢      0.25    0.2 - 0.3
   2齢      0.35    0.3 - 0.45
   3齢      0.60    0.55-0.75
   4齢      1.05    0.85-1.25
   5齢      1.70    1.3 - 2.0
   6齢      2.60    2.4 - 3.0



オオタバコガの幼虫(2齢)5


正面から見ても小さ過ぎて頭部の詳細は不詳

(写真クリックでピクセル等倍)

(2010/10/12)

 上の写真から頭幅を測定すると、0.43mm。上の表に拠れば、少し大きめだが、2齢と云うことになる。

 これから暫くは、このオオタバコガの幼虫の各齢を紹介することになろう。オオタバコガは「大害虫」として名高いから、各齢の詳細を掲載することは農業関係の人にも多少は役立つかも知れない。


[追記]この幼虫は無事成虫にまで成長した。以下に、以降の記録の一覧を示しておく。

    内容     掲載日       撮影日       備考
   3齢幼虫   2010/12/01   2010/10/14   他とは別個体
   4齢幼虫   2010/12/11   2010/10/14
   5齢幼虫   2010/12/15   2010/10/17
   6齢幼虫   2011/01/17   2010/10/21
   蛹と成虫   2011/01/31     -        2個体









最終更新日  2011.02.01 12:12:51
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2010.06.07


 2週間程前の事である。庭に自生しているミツバに1cm位の黒っぽい芋虫が1頭付いて居るのに気が付いた。紛う事なきキアゲハ(Papilio machaon)の幼虫、恐らく2齢であろう。

 2~3年前、やはりミツバに数頭のキアゲハの幼虫が付いた。しかし、終齢になった途端、1~2日で全てが姿を消してしまった。アシナガバチに肉団子にされてしまったらしい。



キアゲハの幼虫(4齢)1


ミツバに付いたキアゲハの4齢幼虫

終齢の様な輪模様ではなく格子模様

(写真クリックで拡大表示)

(2010/06/06)

 だから、本来ならば飼育して、2齢から成虫になる迄を追うのだが、今回は一寸理由があり、飼育もしなかったし、若齢幼虫の写真も撮らなかった。

 何となれば、明日、また南方に出撃しなければならないからである。やはりアゲハの幼虫は終齢(通常5齢)が見事であり、若齢幼虫の写真だけでは、どうにも物足りない。それで、出発の直前まで写真を撮らなかったのである。


キアゲハの幼虫(4齢)2


終齢とは異なり黄色ではなく白い部分がある

(写真クリックで拡大表示)

(2010/06/06)

 キアゲハの成虫は、近縁のナミアゲハとよく似ている。しかし、4齢や終齢幼虫は、ナミアゲハとは随分違っている(ナミアゲハの終齢幼虫は此方)し、他のアゲハチョウ属(Papilio)とも異なっている(例えば、クロアゲハの4齢終齢)。

 また、他のアゲハチョウ属の幼虫はミカン科植物を餌とするが、キアゲハの幼虫だけは、ニンジン、パセリ、ミツバ等のセリ科植物を食草とする。この点でも、一寸異色である。


キアゲハの幼虫(4齢)3


寝ているキアゲハの4齢幼虫.終齢に見られる副前頭がない

左の頭頂にゴミが付いている

(写真クリックで拡大表示)

(2010/06/06)

 キアゲハの終齢幼虫は、もう一つのWeblogで掲載したことがある。これは黄色と黒の輪模様をしている。しかし、4齢幼虫は、御覧の通り、格子模様に近く、また白い部分が相当ある。尤も、4齢幼虫の色合いにはかなりの変異があり、もっと黒い部分の多い個体も見られる。

 しかし、3齢以下の若齢幼虫は、他のアゲハチョウ属と同じく、鳥の糞状である。

 また、4、5齢幼虫は他のアゲハチョウ属の幼虫とはかなり違っては居るが、この4齢幼虫を拡大してみると、クロアゲハの若齢幼虫に見られたのと同じ様な剛毛の生えた突起があり、その分布パターンも同じである。やはり、血は争えない、と云うことであろう。


キアゲハの幼虫(4齢)4


クロアゲハの幼虫同様、剛毛の生えた突起が目立つ

(写真クリックで拡大表示)

(2010/06/06)

 この幼虫君、始め見つけた時はアシナガバチなどが屡々遊弋している場所にいたので、ハチの入って来ない内庭に生えているミツバに移した。・・・すると、最初の場所では葉を食べていたのに、此方ではあまり葉を食べないで、花と花穂ばかり食べている。ナミアゲハやクロアゲハも、サンショの花や柑橘類の花を食べることがあるのだろうか?


キアゲハの幼虫(4齢)5


第1胸節(頭の直ぐ後)にある丸い穴は気門

(写真クリックで拡大表示)

(2010/06/06)

 それでは、明日(平成22年6月8日)、例年の如く南方へ出撃する。飯田洋二郎中将麾下の第15軍が展開した領域である。拙Weblogの更新を楽しみにされている読者諸氏には大変申訳無いが、2~3ヶ月の休みとなる。こればかりは何とも致し方ない。

 尚、留守中に余計な書き込みを沢山されると後が厄介なので、明日早朝よりコメント欄とBBS(掲示板)の書き込みを禁止とする。御用のある諸氏は、御面倒でも「Home」の左下にある「メッセージを送る」から書き込みをされる様御願い申し上げる。








最終更新日  2010.06.07 08:54:18
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2010.05.24


 今日は3年前に撮った芋虫の写真を出すことにする。キバラモクメキリガ(Xylena formosa)の4齢幼虫である。

 今まで何故掲載しなかったかと云うと、キチンと背側からも撮った写真も無いし、頭部の拡大写真もなく、また、全体の枚数も少ないので、もう一度我が家の庭に出現したら撮り直そうと思っていたからである。

 しかし、その後3年待ったが、全く現れない。画像倉庫に寝かせておいても仕方ないし、写真を拡大してみると、この芋虫、結構綺麗、敢えて紹介することにした次第である。



キバラモクメキリガの幼虫(4齢)1


ホトトギスに居たキバラモクメキリガの4齢幼虫

(写真クリックで拡大表示)

(2007/04/19)

 「みんなで作る日本産蛾類図鑑」に拠ると、食草はバラ科、マメ科、ケシ科、タデ科、キク科、ナス科、ラン科、ブナ科、モクレン科と、非常に広範囲に亘る。

 我が家ではホトトギスに付いていたので、最初遠くから食痕を見つけた時にはルリタテハの幼虫かと思った。しかし、近くに寄ってみると、居るのは緑色の芋虫であった。

 キバラモクメキリガはヤガ科(Noctuidae)ヨトウガ亜科(Hadeninae)に属す。ヨトウガと言えば農業害虫としてその名が知られているが、「キバラモクメキリガ 駆除」で検索しても有意なヒットは殆どない。この幼虫は、問題になる程の「悪者」ではないらしい。


キバラモクメキリガの幼虫(4齢)2


毛は少なく、透き通る様で、中々美形である

(写真クリックで拡大表示)

(2007/04/19)

 4齢幼虫は、御覧の通り特に目立った斑紋もなく、肉眼的にはモンシロチョウの幼虫をもう少し太めにしたと云う感じで、何処にでも居そうな芋虫(モンシロの幼虫は拡大すると細かい毛が沢山見えて、この幼虫とはかなり雰囲気が違う)。写真の枚数が少ないのは、どうせ種類は調べても分からないだろうと思って、真面目に撮らなかったからである。

 しかし、その後5齢に達した時、極めて特徴的な姿へと変わり、それで漸くキバラモクメであることが分かった。


キバラモクメキリガの幼虫(4齢)3


隣の葉に移ろうとするキバラモクメキリガの4齢幼虫

(写真クリックで拡大表示)

(2007/04/19)

 このWeblogでは、幼虫は原則として各齢ごとに掲載することにしている。今回は写真が少なかったので5齢と一緒にしようかとも思ったが、5齢の写真が多いので、やはり原則通り4齢は4齢だけで紹介することにした。些か物足りないが、何卒御容赦被下度候。








最終更新日  2010.05.24 11:05:15
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2009.11.23


 11月ももう20日代に入ってしまった。今年もそろそろ終わりである。

 今日は「北米原産シオンの1種(紫花)」に居た芋虫を紹介する。見付けたのは今月の上旬であったが、ヤガ科キンウワバ亜科(Plusiinae)の幼虫であることまでは分かっても、この連中は羽化させないと種までは落ちないので、飼育して羽化するのを待っていたのである。羽化した成虫を調べると、エゾギクキンウワバ(Ctenoplusia albostriata)であった。



エゾギクキンウワバの幼虫(終齢)1

エゾギクキンウワバの終齢幼虫.頭の方へ行くにつれ体高が低くなる

(写真クリックで拡大表示)

(2009/11/01)

 終齢幼虫で体長は3cm程度。腹部の第7~8節辺りで体高が一番高く、前方に行くにつれて段々低くなる。しかし、背面から見ると体の幅は殆ど一定である(下)。


エゾギクキンウワバの幼虫(終齢)2


同一個体.背側から見ると体の幅は殆ど一定

(写真クリックで拡大表示)

(2009/11/01)

 鱗翅目(蝶、蛾)の幼虫の多くは、第3~6腹節に1対ずつ、全部で4対の腹脚を持つ(尾脚を除く)。しかし、ヤガ科の中にはこのキンウワバ亜科やコヤガ科、アオイガ科(例えばフタトガリコヤガ)の幼虫の様に、第3~4腹節の腹脚が退化して2対しか持たない連中も居る。

 この様な脚を持っているので、歩き方は尺取虫的になる。なお、尺取虫(シャクガ科)の場合は、更に第5腹節の腹脚も退化して、腹脚は第6腹節の1対だけである(例えば、ヨモギエダシャクの幼虫)。


エゾギクキンウワバの幼虫(終齢)4


エゾギクキンウワバ終齢幼虫の腹脚.2対しかない

(写真クリックで拡大表示)

(2009/11/01)

 頭は、腹部後半の太さに比してかなり小さい。尺取虫的な体勢に加えて、胸脚を放してこの小さな頭をかなり忙しく振り回すことがあり、その様な場合には、何かヒラタアブ類の幼虫を思わせる様な動きになる。


エゾギクキンウワバの幼虫(終齢)3


エゾギクキンウワバ終齢幼虫の頭部と胸部.頭は小さい

(写真クリックで拡大表示)

(2009/11/01)

 下は別個体で、蛹化間近である。最初の個体は蛹化するまであと数日を要したが、それに較べ随分と太っている。

 このエゾギクキンウワバの幼虫は、専ら花序の中にある小さな葉(1種の苞?)か舌状花の花弁を食べ、下位にある大きな葉は食べない様である。食べているのを見たことがないし、また、食痕も見当たらない。


エゾギクキンウワバの幼虫(終齢)5


別個体.前蛹になる1日前で上の個体に比して随分太っている

(写真クリックで拡大表示)

(2009/11/16)

 この幼虫の種類を調べるのに、先ず北隆館の古い幼虫圖鑑を参照した。これにはミツモンキンウワバの幼虫が載っていて、これが写真の幼虫に良く似ているのだが、「頭部の側面に黒線が走る」と書かれている。御覧の様に、このエゾギクキンウワバの終齢幼虫にはその様な黒線はない。全くの無紋でコントラストに乏しい。


エゾギクキンウワバの幼虫(終齢)6


休憩中の幼虫.顔を上げて休む

(写真クリックで拡大表示)

(2009/11/01)

 普通、幼虫が休んでいるときは頭を下向きにすることが多いので、中々顔が見えない。しかし、この幼虫は顎を上げた様な格好で休憩する。顔の写真は非常に撮り易い。こう云うのも一寸珍しいと思う。


エゾギクキンウワバの幼虫(終齢)7


正面から見たエゾギクキンウワバ終齢幼虫の顔
(写真クリックで拡大表示)

(2009/11/01)

 「シオンの1種」には合計3頭の幼虫が居た。実は、残念ながら此処に示した写真(下から3番目を除く)の個体は繭を作った後、蛹化せずに死亡してしまった。寄生されていたのではなく、何らかの病気で死んだ様である。エゾギクキンウワバと同定したのは、此処に示していない別の個体である。だから、この幼虫がエゾギクキンウワバであるという確証はないのだが、同じ場所に同じ齢の近縁種の芋虫が居る可能性は極めて低いと思うし、学術論文ではないのだから、まァ、エゾギクキンウワバの幼虫としておく。

 エゾギクキンウワバの幼虫は、葉の間に極く薄い繭を作ってその中で蛹化する。写真の枚数が多くなるので、蛹や成虫についてはまた次の機会に譲ることにしよう。








最終更新日  2009.11.23 11:01:14
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2009.10.09


 今日はまたクロアゲハ(Papilio protenor)の幼虫を紹介する。2齢4齢に引き続き、兪々終齢幼虫の登場である。先日、ルリタテハの終齢幼虫を掲載したが、やはり終齢幼虫は貫禄があり、また種特有の斑紋などが色々出て来るので、どうしても写真の枚数が増えてしまう。

 先ずは、脱皮したての余り冴えないところから。



クロアゲハの終齢幼虫1


脱皮したばかりのクロアゲハの終齢幼虫.まだ黄緑色だがやがて

濃い緑色になる.体長は3cm強で、生長しきった

4齢幼虫よりもむしろ小さい

(写真クリックで拡大表示)

(2009/09/15)

 軸の折れた葉っぱの上で脱皮したので写真が撮り難く、手の上で撮影した。体長は3cm強、生長しきった4齢幼虫よりも少し縮んで小さくなっている。脱皮する前に暫く御飯を食べなかったからであろう。

 色は薄く黄緑色で、体はまだ皺クチャ、その内色も濃くなり、皺も生長に連れて伸びて行く。


クロアゲハの終齢幼虫2


生長したクロアゲハの終齢幼虫.体を伸ばしているので体長は

約6.5cm.ナミアゲハとは異なり、体色は濃い緑色

(写真クリックで拡大表示)

(2009/09/20)

 次は充分に生長した終齢幼虫。体を伸ばしているので、ジッとしている時より体長はかなり長く約6.5cm。5頭を個体識別せずに一緒に飼育したので良く分からないが、最初に示した個体とは違うのではないかと思う。しかし、背部の模様等は基本的に変わるところはない。



クロアゲハの終齢幼虫3


ジッとしているクロアゲハの終齢幼虫.蛹化が近い

第3胸節と第1腹節の膨らみが顕著

(写真クリックで拡大表示)

(2009/09/22)

 クロアゲハの終齢幼虫は、ナミアゲハとは幾つかの点で外見が異なる。

 先ず全体的な体の色が違う。ナミアゲハの終齢幼虫は黄緑色だが、クロアゲハはもっと濃い緑色をしている。また、第3胸節と第1腹節の膨らみがナミアゲハよりも顕著である。

 模様も随分違う。ナミアゲハでは、第3胸節の一見眼の様な紋の間に2重の輪を連ねた形の模様があるが、この輪がクロアゲハでは形が崩れ、また、その両端が切れた様な格好になっている。もっと目立つのは、クロアゲハでは、その第1腹節後縁、第4~5腹節、第6腹節、第8~9腹節に輪郭の白い不規則な模様を持つ茶色の帯があることである。これらはナミアゲハではその白い前縁と、模様のない色の濃い黒っぽい、或いは、時に殆ど他の部分と区別が付かない色のもっと単純な帯になっている。


クロアゲハの終齢幼虫4


横から見たクロアゲハの終齢幼虫

(写真クリックで拡大表示)

(2009/09/22)



クロアゲハの終齢幼虫5


別個体.この個体はもう最後の排泄をして蛹化直前

その前の状態より縮んで短くなっている

(写真クリックで拡大表示)

(2009/09/22)

 横から見ると、第1胸節~第2腹節までの腹側と胸脚は淡褐色をしている。この部分はナミアゲハの終齢幼虫では何れも体色と同じ黄緑色である。また、ナミアゲハの腹部側面下部には、黒い縁取りの明瞭な白斑があるが、クロアゲハの終齢幼虫にはその様なものは認められない。なお、気門の色は何方も同じで淡褐色である。


クロアゲハの終齢幼虫6


正面から見たクロアゲハの終齢幼虫(蛹化直前)

一番下の少し小さな茶色の部分が本当の頭部

第1胸節が頭に覆い被さっている

(写真クリックで拡大表示)

(2009/09/22)

 頭の色もナミアゲハとは異なる。クロアゲハの頭部は、上の写真で示す通り、胸部~第2腹節腹面や胸脚と同じ淡褐色をしているが、ナミアゲハではこの部分もやはり黄緑色である。


クロアゲハの終齢幼虫7


頭部を出したクロアゲハの終齢幼虫

頭部は縫合線を除いて単褐色であり

副頭楯に接する頭頂部が黒くない

(写真クリックで拡大表示)

(2009/09/22)

 頭部は縫合線が白い他は一様な淡褐色をしている。ナミアゲハの終齢幼虫では、頭頂の副頭楯に接した部分が筋状に黒くなっているが、クロアゲハではその様な筋は認められない。

 また、上唇を含めた口器はナミアゲハでは青灰色をしているのに対し、クロアゲハでは上の写真の通り、頭部の他の部分と同じく一様に淡褐色である。


クロアゲハの終齢幼虫8


頭部と第1~3胸節の拡大.頭頂側面に単眼が見える

(写真クリックで拡大表示)

(2009/09/22)

 頭部から胸部にかけた部分を上に示す。殆ど全身黄緑色をしたナミアゲハの終齢幼虫と較べると、随分色合いが異なっているのがお分かり頂けるであろう。

 最後に一見眼の様に見える模様(眼状紋)を等倍接写してみた。2頭の眼状紋を撮影したが、互いによく似ている。ナミアゲハの眼状紋と比較すると、先ず、ナミアゲハのものよりも少し大きい(比率)。更に、黒い部分の輪郭がハッキリしており、黒斑全体にわたってかなり細かい縦皺があるのが分かる(下)。ナミアゲハではこの黒斑の輪郭はあまり明瞭でなく、また、皺の様なものは認められなかった。黒斑には、これを斜めによぎる裂け目状の構造があり、この裂け目はクロアゲハでは淡褐色をしているが、ナミアゲハの場合は潤んだ様な白い色をしていた。

 また、この黒斑の上に縁取りのある白い斑が2つと青色の斑が1つある(北隆館の日本幼虫圖鑑には「3小白紋」とある)。これは、或いは、漫画などで黒目に光が反射している様な白い斑を書き込むのと同じ効果をあげているのかも知れない。ナミアゲハではかなり離れたところに白斑が1つあるに過ぎず、この様な効果は無いであろう。


クロアゲハの終齢幼虫9


第3胸節の一見眼の様に見える模様.黒い部分に縦の皺が認められる

(写真クリックで拡大表示)

(2009/09/22)



クロアゲハの終齢幼虫10


別個体.基本的にその前の個体と同じ模様をしている

(写真クリックで拡大表示)

(2009/09/22)

 クロアゲハとナミアゲハの各終齢幼虫の間には、一見して色や形に違いがあるのが分かるが、詳細に検討すると思ったよりも随分多くの点で異なっていた。この手の比較を他のアゲハチョウ(Papilio)属(キアゲハを除く)にも拡げてみたら面白いのではないだろうか。しかし、この辺り(東京都世田谷区西部)には他にカラスアゲハとナガサキアゲハが居るだけで、しかも繁華街に近い我が家ではこれらの幼虫すら容易には得られない。精々食草を育てて気長に御到来を待つこととしよう。








最終更新日  2009.10.10 07:29:17
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2009.10.06


 今日はルリタテハ(Kaniska canace)の終齢幼虫を紹介する。漸くのお出ましである。

 幼虫も終齢になると貫禄が出て来る。また、4齢以下とは形態や色が変わることも多い。アゲハの幼虫では4齢以下の「鳥の糞」型から目玉模様のある緑色に変わるし、このルリタテハの場合も4齢以下の黄と黒の2色刷から、赤、黄白、黒の3色刷に変わる。体長は45mm程度。



ルリタテハの終齢幼虫1


ルリタテハの終齢幼虫.体を丸めて休すむのは若齢と同じ

赤、黄白、黒の3色になっている.左下が頭

(写真クリックで拡大表示)

(2009/09/10)

 色は変わっても、葉裏で体をU(C、J)字型に曲げて休む習性は同じである。何とも奇妙な習性で、どの様な利点があるのか良く分からないが、個体によって体を曲げる方向が決まっているかも知れない。印を付けて調べてみれば分かることだが、メンドーなので「実験」はしなかった。


ルリタテハの終齢幼虫2


ストロボの光に反応して動き始めた.左下が頭

(写真クリックで拡大表示)

(2009/09/10)

 4齢以下では基部を除いて黒かった肉棘が、終齢幼虫では、大部分黄白色に変わる。しかし、先の方は黒いままである。また、若齢ではかなり柔らかかった棘が、終齢では皮膚の弱い所に当たれば傷みを感じる程度に固くなっている。棘の先には剛毛が生えているので、その剛毛が太くなって容易に曲がらなくなるのであろう。

 この棘状突起は第1胸節には無く、第2胸節から第10腹節にかけて存在する。各節に於ける本数は、写真からは良く分からないが、北隆館の古い「日本幼虫圖鑑」に拠ると、アカタテハ等とおなじで、第2~3胸節では各4本、第1~8腹節では各7本、第9~10節には各2本有るのとのこと。


ルリタテハの終齢幼虫3


何時も丸まっているので、こう言う真っ直ぐな写真は少ない

棘状突起は第2胸節から第10腹節にある

(写真クリックで拡大表示)

(2009/09/10)

 胴体の色は、4齢幼虫では黒と黄であったが、終齢ではこの黄色い部分が鮮やかな赤となる。遠目には余りよく分からないが、拡大してみると、赤、黄白、黒の3色が、中々塩梅良く配置されている。


ルリタテハの終齢幼虫4


終齢幼虫の頭部.長い剛毛が沢山生えている

(写真クリックで拡大表示)

(2009/09/10)



ルリタテハの終齢幼虫5


御食事中の終齢幼虫.上唇の溝に葉の端を入れて食べる

(写真クリックで拡大表示)

(2009/09/10)

 終齢幼虫の期間は4齢以下よりも長く、食欲も甚だ旺盛で、5頭(全7頭の内、1頭だけ生長が速くて先に蛹になってしまい、また、遅いのが1頭居た)も居ると1日数回ホトトギス(1本の茎に4~5枚葉が付いている)を与える必要があった。しかし、余りに速く食べ尽くしてしまうので、花瓶に挿す必要は無く、その点では楽であった。

 ルリタテハの終齢幼虫の魅力は、何と言ってもその棘状突起にあると思う。そこで、等倍で接写した棘の写真を数枚並べることにした。棘の各先端に剛毛が生えているのが良く分かる。また、基部に近い黄白色の部分には微毛が無数に生えているのが見える。この様な微毛は4齢幼虫には無かった様に思うが、4齢では等倍接写をしていないので、分解能が低くて見えなかっただけなのかも知れない。


ルリタテハの終齢幼虫6


ルリタテハ終齢幼虫の棘状突起.先端に剛毛が1本ずつ生えている

(写真クリックで拡大表示)

(2009/09/10)



ルリタテハの終齢幼虫7


ルリタテハ終齢幼虫の棘状突起(その2)
(写真クリックで拡大表示)

(2009/09/10)



ルリタテハの終齢幼虫8


ルリタテハ終齢幼虫の棘状突起(その3)
(写真クリックで拡大表示)

(2009/09/10)

 さて、この次は兪々蛹化と羽化である。しかし、まだ写真の調整が全然出来ていない。掲載まで今少しお待ち願いたい。


[追記]これらの幼虫は全て無事成虫に羽化した。以前、以降の記録は下記の通り。


   内   容     掲載日
  卵と初齢幼虫    8月29日
  2~3齢幼虫    9月 8日
  4齢幼虫      9月18日
  前蛹、蛹と成虫  10月19日








最終更新日  2010.12.04 11:04:08
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