ツゲノメイガ
本当はWeblogの原稿を書いている閑など無いのだが、前回の更新から2週間も経ってしまったので、簡単な記事を載せることにした。 前回紹介したスイセンハナアブと同じ日に撮影したツゲノメイガ(Glyphodes perspectalis)である。「柘植之螟蛾」ではなく「柘植・野螟蛾」で、現在はツトガ科(Crambidae)ノメイガ亜科(Pyraustinae)に属す。以前は、例えば手元にある保育社の古い蛾類図鑑(昭和32年発行)では、メイガ科ノメイガ亜科の所属となっている。柿の木の葉裏に留まったツゲノメイガ(写真クリックで拡大表示)(2011/05/20) 庭を歩いていたら、足許からモンシロチョウ位の大きな白っぽい蛾が飛びだした。しかし、直ぐに近くにある草の葉裏に逃げ込んでしまい、姿は良く分からない。近づくとまた飛んで逃げる。何回か、追いかけっこをした結果、少し高く飛んでカキの木の葉裏に留まった。これなら姿が良く見える。 開張5cm位あるかなり大きな蛾である。白地で黒枠と云う模様から、ヨツボシノメイガ(ヨツホシノメイガ)や、お尻の先をクネクネさせるので有名なワタヘリクロノメイガ等と近縁の「アレ」であることが直ぐに分かった。真上にいる虫を撮るのはシンドイ.翅の左の部分はボケている(写真クリックで拡大表示)(2011/05/20) 早速図鑑を開いてみると、ツゲノメイガであった。しかし、この古い図鑑では、上記の2種の他に、ミツシロモンノメイガ、クワノメイガ等、何れも同じDiaphania所属となっているが、「みんなで作る日本産蛾類図鑑」に拠ると、ツゲノメイガとミツシロモンノメイガはGlyphodes属、ヨツボシノメイガはTalanga属、クワノメイガはGlyphodes属で、Diaphania属に属すのはワタヘリクロノメイガ1種のみとなっていた。 まァ、昭和32年の図鑑だから、現在の状況と大いに違っていても些かもおかしくはない。真上なので、今度は体を180度回転させて撮影前の写真よりもストロボの反射がより強く画像処理で誤魔化した為、色調がヘン良くない写真の例として載せた(写真クリックで拡大表示)(2011/05/20) こう云う純白に近い部分を持つ蛾は、自然光で撮らないと、白い部分の反射が強く露出過度になるし、構造色が出て本来の色と違ってしまう。しかし、頭上のカキの木の葉裏では、逆光で自然光での撮影は難しい。仕方なく、ストロボを焚いた。 その結果として、構造色で白い部分が青っぽくなったり、黒の筈が赤味を帯びた金色になっている所が随分ある。また、露出過剰で白飛びした部分を画像処理で誤魔化しているので、かなり変な色調になっている。特に最後の写真など、翅の後縁が妙に霞んでいるが、これは白飛びしている部分の明度を画像処理で無理矢理下げた副作用である。同様に、腹部胸部に見える淡い模様も、本来は存在しない人工産物(artifact)で、本当は全体に真っ白である。 今日の拡大写真は、何れも焦点が翅全体に合っていない。何しろ、カメラを真上に向けて撮らなければならないので、撮る方としては実にシンドイ。それに、余り体を反り返らせると、脊柱管狭窄症に非常に良くないのである。