市川憂人「ジェリーフィッシュは凍らない」
鮎川哲也賞受賞作。
「そして誰もいなくなった」のオマージュを近過去SFの設定でやった本格ミステリという事で、 ずっと読みたかったが漸く手に入れた。
新技術を搭載した飛行船を舞台にした事件はとても魅力的なものだった。
飛行船の技術描写は興味深く、舞台設定も謎も魅力的で、トリックは豊富で質が良く、探偵役の人物造形も楽しかった。
もしかしたら動機に不満を覚える読者もいるのかもしれないが、個人的にはありである。
そして徐々に明らかになる天才少女レベッカの不審死は、サスペンスを盛り上げる。
本格のど真ん中を色鮮やかにやってのけた著者に拍手を贈りたい。
楽しみなシリーズだ。