|
カテゴリ:上橋菜穂子
大好きな人、上橋菜穂子。
「獣の奏者」を一気に読んでその魅力に取り憑かれて、その後恐らく最も有名な作品「精霊の守り人」を手に取った。 読み終えるとすぐに守り人シリーズを全巻買い揃えた。 これはその二作目。 主人公である女用心棒バルサが過去に片を付ける為の物語。 一作目は皇子チャグムの物語であり、バルサはそれを傍で支える役回りだった。 今作ははっきりとバルサの物語である。 これまで読んだ作品のような謎の解明によるミステリ的快感は乏しかったが、その分人間を描くという部分に於いては前作を上回っており、抜群に感動した。 四百頁も無い中によくこれだけ「想い」を詰め込んだものだと、読後頁の厚みを見つめて思った。 バルサの人生を滅茶苦茶にした非情な陰謀、そんな人生を支えたジグロの存在、大切なジグロの切ない最期、誤解されたジグロ、新たに動き出す陰謀・・・。 沢山の直向きな仲間と協力してバルサは進む。 バルサとジグロの想いが溶け合う時、物語は昇華する。 上橋菜穂子は本当に登場人物に試練を与える。 もしも自分が作品の登場人物なら、上橋菜穂子を世界一嫌う。 胸が締め付けられて締め付けられて、そうして漸く一つの救いが与えられる。 こんなにも心を登場人物達に寄り添わさせられたら、次を読まずにはいられない。 大事な大事な存在になってしまった。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2017.02.04 06:19:15
コメント(0) | コメントを書く
[上橋菜穂子] カテゴリの最新記事
|