2018/07/26(木)04:39
霧舎巧「ドッペルゲンガー宮《あかずの扉》研究会流氷館へ」
霧舎巧。
勿論以前から名前は知っていたのだが、遅ればせながら初めてその著作を手に取った。
処女作である。
約六百頁を一晩で一気読みという、遅読の私としては異例の速さで読んだ。
読み易いのは勿論だが、謎も魅力的で展開も良く興味が持続したのが一番の理由だ。
館ものというのもストライクゾーンど真ん中だった。
事件が起こってから、多くの謎と推理が生まれる。
大量殺人ものであるから展開も派手であるし、一つ一つ真相が明らかになる度に巧妙な伏線に驚く。
とにかく膨大で、あれもこれも伏線といった感じだ。
白眉はミスディレクションで、手掛かりという手掛かりが悉く犯人による誤導であるのには酩酊感すら覚える。
一体どこまで続くのかと。
頁数も事件の数も手掛かりの数も展開の数も豊富で、さらにキャラ萌え要素も備え、何とも贅沢な一作。
とても楽しい読書体験でしたとさ。