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2017.10.03
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敬愛心酔するSF作家アルフレッド・エルトン・ヴァン・ヴォートの代表作。
ヴァン・ヴォートなのに読み易いぞ!

幾つかの短編を組み合わせて長編にするという独特のやり方で書かれた物語は、広大な宇宙を探検するというもの。
今作は四つの短編が合わさって出来ている。
起承転結の乱発とも言える著者特有の構成もはまって、それぞれが非常にサスペンスフルで迫力がある。

第一部を担当する短編は著者のSF処女作「Black Destroyer」黒い破壊者だ。
荒廃した惑星を彷徨う猫型生命体ケアルとの死闘が描かれる。
ケアルは高度の知性を備えた怪物である。
弱く、捕らえられたフリをして宇宙船に潜入する。
この作品の面白いのは、敵である化け物にしか見えない生命体の視点でも描かれている点だ。
それによって敵が単なるモンスター以上の存在になっている。
SFホラーの感もある本作だが、ケアルちょっと愛おしい。

第二部は「War of Nerves」神経戦だ。
短編としては書かれた時期が最も後となる。
幻影を用いて精神攻撃をしてくるリーム人との戦いだ。
この第二部には他とは全く違う読後感を覚える。
あまりにも恐ろしい攻撃に晒されるので必死に戦う主人公達だが、ここだけ相手の動機がほかの部と全く毛色が違うのだ。
これによって本作は、ただの敵との遭遇の羅列にならず、内容に幅を持ちより豊かになっている。

第三部は「Discord in Scarlet」緋色の不協和音だ。
宇宙空間で生息可能なイクストルとの戦い。
イクストルはまさに化け物で、有機生命体にして宇宙を漂うは、壁を擦り抜けるは、捕らえた人間に卵を産み付けるは、それはもう恐ろしい。
戦いの凄惨さは作品中で最高だ。
第一部で物語の方向を示し、第二部で幅を持たし、第三部で最も強烈な戦いを描く。

第四部は「M33 in Andromeda」アンドロメダのM33星雲だ。
宇宙船内で人間同士の戦いとなる。
科学的探求の為一丸となるべき時に感情的権力闘争が起こってしまうのだ。
様々な戦いを描いた本作の中で最も愚かな戦いと言えるだろう。
そして人間達が漸く一枚岩となって相対するのは、これまでで一番規模の大きな敵、無定形生物アナビス。
最後の最大の敵は、最も幼い存在であった。
悲しいアナビス。

人間達は、数々の試練を乗り越え新しい宇宙へと冒険の旅を続ける。
人間文明の縮図を船に乗せ、始まり無き夜を突き進む。

抜群の構成だ。
何て色鮮やかなのだろう。
凡百の作家なら一部一部をそれぞれ長編にしてしまう。
それが一つの、たかだか三百五十頁程の中に詰め込まれているのだから凄い。

しかも魅力はそれだけではない。
総合科学と周期学説という、ハインラインのタンスターフルにも比肩する豊かな発想。
この二つが物語にどれだけ彩りを与えているか。
嗚呼、科学はこんなにも浪漫に溢れている。

ヴァン・ヴォート、愛してる。





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最終更新日  2017.10.03 07:37:41
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