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2018.04.03
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ミステリを偉大なものにした傑作群の、その内でも最上位に座を構える一冊。
数あるクリスティの代表作の中でも最も影響力を持った作品ではないか。
童謡による見立て殺人という発想自体はヴァン・ダインが先に「僧正殺人事件」によってその効果を知らしめていて、本作はその影響下で書かれているものの、どちらがより効果的であるかというとやはり軍配が上がるのは本作であろう。

圧倒的に小説が巧い。
先ず冒頭で十人の主要人物を全員紹介させておき乍ら、全く混乱させないのは見事としか言い様がない。
全員が全員、綺麗に印象付けられるのだ。
そして始まる絶海の孤島での日々。
マザーグースの童謡をなぞって連続する死、また死。
姿を見せない主催者U・N・オーエン氏、実は招待客の中に紛れているのではないか、誰が殺人鬼か、一人亦一人と容疑者が減っていく、同時に減っていくインディアンの人形・・・。
全編を尋常でないサスペンスが支配していて、且つ悪趣味にならない「程良さ」を兼ね備えている。
過不足の無い事は実に美しい。

中でも絶品は童謡の最後の句「小さな兵隊さんが一人、あとに残されたら 自分で首をくくって、そして、誰もいなくなった」の見立てである。
残された一人が自ら首を吊る為、抜群の演出が仕掛けられている。
ぞっとする美しさがそこにある。
ヴァン・ダインの影響を受けて書かれた物語だが、クリスティは類例の無い演出力で独自の頂きを創造した。

この作品が無ければ私が史上ベストミステリと信じる西村京太郎氏の「殺しの双曲線」も書かれなかったし、綾辻行人氏の「十角館の殺人」も書かれず新本格の流れは有ったとしても大きく形を変えたものとなったかもしれないのだ。
その影響力は推して知るべし、である。





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最終更新日  2018.04.03 01:53:11
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