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2018.12.07
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カテゴリ:国内ミステリ
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鮎川哲也賞受賞作の中でも特に評判の高い日常の謎の連作集。
児童養護施設を舞台とし、二年目の保育士を主人公、児童福祉司を探偵役にしている。
基本は独立した短編集であるが、最終話では全ての話が繋がり感動の結末へと至る。
各話が痛みと希望を伝えているが、ミステリとしては「第二話 滅びの指輪」が最も気に入っている。

「第一話 今は亡き星の光も」
周りに馴染まない問題児とされる少女にまつわる話。
偏見による穿った見方、大人の無理解が描かれるが、最後に「死んだ筈の先輩の幽霊の謎」が解かれると様相はがらりと変わる。

「第二話 滅びの指輪」
ドヤ街で生まれた戸籍も持たない少女。
万引きで捕まり施設に入れられたが、それからは品行方正で地味に過ごしてきた。
退所まで僅かとなる高校三年生となった折、少女は高額の資金を要する専門学校への進学を希望する。
アルバイトと倹約で貯めた預金があるというが、それにしてとその額は多過ぎた。
その真相は悲惨な過去からくる意外なトリックによるものだった。
児童福祉司による見事な推理が見られる。

「第三話 血文字の短冊」
二人の姉弟の話。
父親はいるが、男手一つでは育てられず、施設に預けられている。
毎週末は父親が迎えに来て自宅で過ごす事になっているが、このところ姉の沙羅の様子がおかしい。
元々元気だったのが塞ぎがちになり、話を聞くと父親が電話で「私は沙羅が嫌いだ」と言っているのを聞いてしまったという。
主人公には父親はとてもそんな風には見えないが、その裏には偶然が重なった誤解があった。
よく出来た叙述トリック。

「第四話 夏期転住」
一夏の幻の少女の物語。
山荘での夏期転住を楽しむ子供達の中に一人の少女がいた。
少女は誰かに追われていて、行き止まりの非常階段まで行き、突然消えた。
しかも誰もが口を揃えてそんな少女はいなかったと言う。
「幻の女」や「バルカン超特急」を思わせる魅力的な謎。
これも一部叙述トリックが使われているが、主題である消失の謎は比較的解り易かった。
しかし物語、謎、トリック共によく練られた一編だ。

「第五話 裏庭」
大人の勝手な意見に振り回され、それに目一杯犯行する青春の一編。
宙に浮く少女の謎と、謎めいた施設間恋愛。
宙に浮く方は工夫は見られるものの大したトリックではないが、施設間恋愛の方は良かった。
見抜けないではないが、見事なホワイダニットだ。

「第六話 暗闇の天使」
女の子が六人で通ると、居ない筈の七人目が囁くという怪異が噂されるトンネル。
その真相は極めて簡単なものであり、意外なものだった。
可能性を潰していって最後に残ったものが、どんなにありそうにないものでも真実であるというのを地で行っている。

「第七話 七つの海を照らす星」
掉尾を飾る一編は、これまでの六編が収束する。
隠されていた意外な事実が明らかになり、辛さも不条理も全て飲み込み感動へと至る。
著者に関する遊び心もあり、実に憎い。
社会の闇を照らし、希望の星となる一冊に仕上げている。





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最終更新日  2018.12.07 08:51:08
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