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カテゴリ:鮎川哲也
ベストは表題作。 「五つの時計」 緻密に練り上げられたアリバイ崩しの屈指の作品。 完全無欠に思われるアリバイを鬼貫警部が見事に解決する。 再読であるが、何度読んでも感服だ。 「白い密室」 星影龍三の雪密室への挑戦。 犯人が残した見えない足跡というのは素敵だ。 全登場人物中、犯人が最も踊らされているのも面白い点。 「早春に死す」 鉄道もののアリバイ崩し。 鉄壁のアリバイが崩れた時、構図がひっくり返る。 その様は都筑道夫の論理のアクロバットを思わせる。 「愛に朽ちなん」 再読。 現代では通用しないトリックではあるものの、抜群に優れたトリックだと思う。 箱の入れ替わりという不可能興味も魅力的だ。 「道化師の鑑」 バンドの花形、美人ヴォーカルがピエロの殺人鬼に殺される。 ピエロは逃走するもある地点で消失する。 何とも魅力的な設定だ。 名探偵星影龍三が快刀乱麻を断つ活躍で、見事に解決に導く。 「薔薇荘殺人事件」 最近ではすっかり使い古されたトリックが使われているが、丁寧に張り巡らされた伏線が明らかになるのは誠に爽快である。 しかし本作での白眉は著者によるものではない。 「二ノ宮心中」 トリックは地理に詳しくないと解らないが、そのトリックを成立させる為の手段は割合解り易いのではないか。 「悪魔はここに」 本格ミステリとしては詰めが甘く感じる。 クローズドサークル、現場にある物が逆さにされるという魅力的な謎、典型的なミステリの人物造形等はとても楽しめた。 「不完全犯罪」 倒叙もの。 ぞくぞくするような幕切れ。 トリックを弄する犯人は得てして余計な事をする。 「急行出雲」 鬼貫のアリバイものであるが、アリバイ崩しではない。 アリバイ「探し」だ。 この発想はサスペンスフルで抜群に面白かった。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2019.05.16 05:31:49
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