2019/08/14(水)07:59
横溝正史「丹夫人の化粧台 横溝正史怪奇探偵小説傑作選」
氏の戦前の短編を集めた作品。
傑作選と銘打ってはいるが、やはりベストは同じく角川文庫から出されている「鬼火」だろう。
こちらは幾分軽かった。
しかしながら流石戦前の横溝文学の趣は好きだ。
最初の二作「山名耕作の不思議な生活」「川越雄作の不思議な旅館」などは最も軽い作品であるが、その謎を湛えた雰囲気は心地良かった。
「誘蛾燈」なんかも妖しい雰囲気と結末が良い。
「髑髏鬼」はまさに戦前のスリラーで、愉しい一編だ。
ベストを選ぶなら「青い外套を着た女」だろうか。
謎とロマンス、活劇味に明るい結末が愉しかった。