|
カテゴリ:海外ミステリ
ミステリとSFで見事な才能を発揮した短編マエストロのミステリ作品集。 如何にもアメリカ的で良質な娯楽小説だ。 外れ無しで全作面白いが、「世界が終わった夜」「背後から声が」「キャスリーン、おまえの喉をもう一度」「後ろを見るな」は仕掛けに惚れ惚れする。 「むきにくい小さな林檎」「真っ白な嘘」「危ないやつら」は物語が抜群に良い。 中でもベストは「叫べ、沈黙よ」だ。 「笑う肉屋」 雪上の足跡の問題を扱った作品。 とんでもない動機による事件だが、巧く伏線が効いている。 「四人の盲人」 三発放たれた空砲の最後の一発で死亡した男。 自殺か他殺か。 意外な犯人。 「世界が終わった夜」 サスペンス。 ある人からすると喜劇でも、ある人からすると悲劇となる。 「メリーゴーラウンド」 偶然のハッピーエンドが印象的なミステリ。 「叫べ、沈黙よ」 シュレーディンガーの猫にも似た哲学的命題から書かれる掌編。 陰惨な傑作。 「アリスティードの鼻」 陽気なスパイコメディ。 「背後から声が」 無情で、救いの無い物語。 「闇の女」 常に部屋の灯りを点けない女の話。 「キャスリーン、おまえの喉をもう一度」 悲劇による記憶喪失で精神病院に隔離された男の話。 「町を求む」 本書中最も短い作品。 マフィア映画の冒頭か結末のようなもの。 「歴史上最も偉大な詩」 或る詩人の壮絶な半生が語られる。 最後の仕掛けは読めてしまうものの、読ませる。 「むきにくい小さな林檎」 ギャングもの。 徹頭徹尾、凄惨だ。 「出口はこちら」 単なる自殺の処理を行う刑事の話。 最後から五行目で物語がひっくり返る。 「真っ白な嘘」 過去に猟奇殺人があった家に越してきた夫婦。 疑心暗鬼を生じる状況がサスペンスフルに描かれる。 「危ないやつら」 緊張感溢れるユーモアスリラー。 「カイン」 死刑囚の身勝手な苦悩が描かれる。 そして最後に一捻り。 「ライリーの死」 やる気も無く能力も無い警官が採った英雄的行動。 だがその裏には・・・。 「後ろを見るな」 短編集という形式を巧みに利用した見事な仕掛けが施されている。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2021.03.07 05:59:37
コメント(0) | コメントを書く
[海外ミステリ] カテゴリの最新記事
|