岡崎琢磨「珈琲店タレーランの事件簿」ネタバレ有り
個人経営の店の女従業員が探偵役という、昨今流行りの設定の連作集。
日常の謎ものである。
「事件は二度目の来店で」
一人称視点としてはアンフェアでないか。
「ビタースウィート・ブラック」
手掛かりは解り易いものの、プチ論理のアクロバット的な真相は良し。
「乳白色にハートを秘める」
最後の仕掛けの手掛かりが解り易いにも程がある。
違和感満点の文章は、もう少しそれとなく書けないものか。
そして、その仕掛けに特に意味が有るようには思えない。
「盤上チェイス」
謎解きが本格ミステリの観点からは評価出来ない。
「past , present , f ***** ?」
労力に対して動機が弱すぎないだろうか。
次話も読めば多少は納得出来るやもしれないが、それでもやはりバリスタは図々しい。
「Animals in the closed room」
バリスタが主人公の部屋を訪ねたいと言うのは、あまりに予測のつかない事ではないか。
ましてや前話からの繋がりを考えれば。
また、謎解きもおかしい。
猫がクローゼットを完全に開け閉め出来るのも、わざわざ衣類の中にまで潜り込んで眠るのもよく解らない。
人間用の睡眠薬で眠った子猫が途中で目覚めて暴れ、また昏睡する?
百歩譲ってぬいぐるみをズタズタにしたとして、包装はどう解釈するのか。
「また会えたなら、あなたの淹れた珈琲を」
派手な展開が面白い。
よく伏線を張っている。
但し、騙し方が強引ではないかと思う点もある。
出勤前とは言え制服のままは変だ。