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七代目ちぃのブログ

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上橋菜穂子

2020.03.19
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カテゴリ:上橋菜穂子






ここ数年代表作「守り人」シリーズの映像化や新作の発表により再評価、再出版が盛んとなっている著者の処女作。
長らく絶版となっていた作品だが、昨今の盛り上がりにより復刻されたようだ。
大凡三十年前の作品とあって、氏としては恥ずかしさもあるようだが、それが信じられない程の読書体験となった。
文庫本で約三百四十頁という分量で、且つ発表時に添削を受け原稿用紙にして百四十枚を削ったとは思えない程に豊かな内容。
先住民の歴史、実情、印象を悉く変え殺戮してしまう強力な移民を描いたこの作品は、SFファンタジーであり乍ら、現代人が如何にして現代を築いたのかを見事に描いている。
氏の作品はいつもどれも愛に溢れている。
しかし同様に、いつもどれも傷に塗れている。
読後は痛みを伴う感動が揺蕩うのだ。
読後感はまるで違うがジョージ・オーウェルの作品が思い起こされた。
正しく過去の上に成り立っていたいと、そう思った。






最終更新日  2020.03.19 06:30:15
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2017.10.07
カテゴリ:上橋菜穂子
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天才上橋菜穂子の非シリーズ作品。
愛と死の物語。
これまで読んだ「獣の奏者」や「守り人」シリーズとは違い、どこか薄ぼんやりとした雰囲気を持つ、しかしこれまで同様強靭な物語。
氏の作品は、大きな組織的な意思よりも小さな個人的な意思の方が力を持つ事があると、いつも教えてくれる。
個人は豊かだ。
しかしそれがいつも良い形を作るとは限らない。
それでも最後には必ず個人的な意思によって救われると信じたい。
大切な気持ちを忘れない為の作家。
人も獣も立場も関係無く、ただ優しく豊かに在りたい。






最終更新日  2017.10.07 07:38:03
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2017.09.23
カテゴリ:上橋菜穂子
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日本を代表するファンタジー小説である守り人シリーズの作品集。
中編である表題作と、短編の「十五の我には」が収録されている。

人は尊厳とどう向き合うべきか、そんな事を読んだ。
上橋菜穂子は人生や機微を書かせたら本当に素晴らしい。
人や人生ってなんて情けなくて暖かくいんだろう。






最終更新日  2017.09.23 06:57:32
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2017.09.16
カテゴリ:上橋菜穂子
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「守り人」シリーズの隙間を埋める短編集。
バルサとタンダの幼少の記憶、そして老いた人々の豊かで切ない終末が描かれている傑作だ。
人の機微とは何という名状し難いものだろう。
それを上橋菜穂子は見事に描いている。

「ラフラ<賭事師>」では動機を描かない事で動機を強く想像させる。
何故老ラフラは最後にああいった行動に出たのか。
読後、老ラフラの想いを想像する時間までを含めてこの作品だ。
自分は正しく慮る事が出来ただろうか。

バルサが初めて人を殺す事になる表題作は白眉で、生涯を隊商の護衛に捧げた男の選んだ最後が同情を誘う。
盗人にも五分の魂とは。






最終更新日  2017.09.16 14:40:51
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2017.08.10
カテゴリ:上橋菜穂子
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三巻合わせて約千頁が全く長く感じなかった。
日本のトールキン上橋菜穂子の代表シリーズ「守り人」はここで本編を完結させる。
後は掌編や短編の作品集があるだけだ。
本当に濃密なシリーズだった。
一作を挙げるなら第二作目の「闇の守り人」だが、これはやはり全作読む事に価値がある。
成長や変化を描いているからだ。
しかし同時に頑なな想いも描かれており、人はそう簡単に変わらないものという事実と、人は変わらずにはいられないという相反する二つの事実が再確認される。






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この最終巻でもまたもや登場人物達に無情な試練が立ちはだかる。
バルサもチャグムも、タンダにトロガイも、さらにはチャグムと反目する帝も市井の人々もが、辛い現実に直面するのだ。
皆が悲劇に直向きに対峙する。
チャグムとバルサの再会の場面、タンダが戦地に赴く場面、バルサがタンダの腐った腕を切り落とす場面、トロガイが命を賭して呪術を使う場面、チャグムと帝の対峙する場面、穏やかで家庭的な最終場、思わず呼吸が深くなる。





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物語が息をしている。
稀代の物語作家である上橋菜穂子は壮大な奥行きを描く。
刊行は終わっても物語は終わらないのだ。
守り人の皆は永遠に生き続ける。
私は「守り人達の守り人」だ。






最終更新日  2017.08.10 06:57:33
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2017.05.27
カテゴリ:上橋菜穂子
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「守り人」シリーズ六作目。
女用心棒バルサが主人公の物語だが、四作目「虚空の旅人」と今作の「蒼路の旅人」では皇太子チャグムの物語となっている。
といっても番外編という事ではなく、シリーズの行方を決定付ける重要な作品だ。
「守り人」はバルサやチャグムを始め登場人物達を掘り下げる人間を描いた物語だったが、「旅人」は歴史小説や大河ドラマのような国家の行く末が描かれた物語で、今作ではいよいよファンタジー色が薄れている。

それまで大きく思っていた自国は実は辺境の小国でしかなかったと知り、自国とは比べ物にならない程の大国から侵攻を受ける。
ただでさえ国内でも政争に巻き込まれているところに、それどころではない絶望の現実に押し潰されそうになるチャグム。
しかしバルサと旅をしたチャグムはただの少年ではない。
暖かさと、抗う事を知った少年なのだ。
幾多の人々の想いを背に、チャグムは蒼路を行く。

試練を屈服させろ、チャグム!






最終更新日  2017.05.27 14:51:10
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2017.04.21
カテゴリ:上橋菜穂子
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守り人シリーズもいよいよ佳境に入る第五作目。
バルサとタンダは国家を揺るがす陰謀に巻き込まれていく。
序盤では折角二人が落ち着いてデートをしていたのに、またもや困難が襲い掛かる。
幾度目の別離か、しかしそれがまた再開の場面を盛り上げる。
やっと会えた二人にはペリクリーズ並の感動がある。

しかし物語は再開しただけでは終わらない。
上橋菜穂子はいつでも試練を与える。
それでもバルサは、ついこの間まで赤の他人であった子供達の為に命を賭ける。
シリーズをこれまで読んでいれば、この事が全く安く感じられない。
バルサには人を救う強烈な動機があるのだ。

バルサは国家の行く末等考慮しない。
一人の苦しんだ少女として、一人の苦しんでいる少女を救うのだ。
極々個人的な動機、これが良い。
目先の救いを求めれば良いのだ。
それは小さな流れがやがて大海となるように、いずれは大局的な救いをもたらす。

しかしいつも思うのは、誰よりもバルサに救われてほしいという事だ。






最終更新日  2017.04.21 07:52:00
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2017.03.12
カテゴリ:上橋菜穂子
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「精霊の守り人」から始まるバルサとチャグムの物語。
この作品はチャグム編というべき外伝的性格を持っているのだが、物語はこの作品をきっかけにこれから大河へとなっていく。

チャグムが南の島で国家の陰謀に翻弄される内容は、さながら歴史小説のようだ。
この作品でチャグムは初めて生の殺しを体験する事となる。
悪意と陰謀、尊厳の破壊が巡る中で、それでも気高く在ろうとする姿は切なく美しい。
バルサとの出会いが、想い出がそうさせるのだ。
人は身に余るものを手に入れようとせずにはいられない。
そうして誰もが幾らかは失っていく。
為政者とは賢君程辛い目に遭うのかもしれない。

幕が開ける。
著者は上橋菜穂子だ。
これからさらに登場人物達に試練を与えていくのだろう。
同時に気高さも。






最終更新日  2017.03.12 07:42:46
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2017.02.18
カテゴリ:上橋菜穂子
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「守り人」シリーズ第三作目。
離れ離れになったバルサ達とチャグムが再開するのがとても嬉しい。
老呪術師トロガイの娘時分のエピソードも可愛らしくて良かった。
そして何より、花守りとなってしまったタンダとバルサが闘う場面。
辛かった。
お互いにどう思っているかが解りながら、二人が傷付け合う場面を読む事のやるせなさ。

人は皆夢をみる。
現実に一定の幸せがあっても、それでも夢をみずにはいられない。
この作品ではそれが悲劇を起こすのだが、夢というのが如何に魅力に溢れているかが解る。
夢に誘われて現実を手放す。
それまで完全無欠のように描かれてきたトロガイまでもが夢に囚われる。
バルサが囚われる事の無かったのは、きっと前作「闇の守り人」があるからだろう。
シリーズとしての流れも美しい。
バルサも夢をみる。
しかしバルサは知っている。
自らの創った過去からなる手放せない現実の幸福を。

夢も現実も大切なものだ。






最終更新日  2017.02.18 05:15:38
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2017.02.04
カテゴリ:上橋菜穂子
大好きな人、上橋菜穂子。
「獣の奏者」を一気に読んでその魅力に取り憑かれて、その後恐らく最も有名な作品「精霊の守り人」を手に取った。
読み終えるとすぐに守り人シリーズを全巻買い揃えた。
これはその二作目。

主人公である女用心棒バルサが過去に片を付ける為の物語。
一作目は皇子チャグムの物語であり、バルサはそれを傍で支える役回りだった。
今作ははっきりとバルサの物語である。

これまで読んだ作品のような謎の解明によるミステリ的快感は乏しかったが、その分人間を描くという部分に於いては前作を上回っており、抜群に感動した。
四百頁も無い中によくこれだけ「想い」を詰め込んだものだと、読後頁の厚みを見つめて思った。

バルサの人生を滅茶苦茶にした非情な陰謀、そんな人生を支えたジグロの存在、大切なジグロの切ない最期、誤解されたジグロ、新たに動き出す陰謀・・・。
沢山の直向きな仲間と協力してバルサは進む。
バルサとジグロの想いが溶け合う時、物語は昇華する。

上橋菜穂子は本当に登場人物に試練を与える。
もしも自分が作品の登場人物なら、上橋菜穂子を世界一嫌う。
胸が締め付けられて締め付けられて、そうして漸く一つの救いが与えられる。
こんなにも心を登場人物達に寄り添わさせられたら、次を読まずにはいられない。
大事な大事な存在になってしまった。



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最終更新日  2017.02.04 06:19:15
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