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七代目ちぃのブログ

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泡坂妻夫

2020.07.14
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カテゴリ:泡坂妻夫






奇術師としての面目躍如といったところか。
題名通りからくりが乱れとぶ内容で、隠し通路から自動人形まで出てきて、何でも有りの様相を呈す。
しかしそこは氏の事である。
最後の大仕掛けで極上の本格ミステリに仕上がっている。






最終更新日  2020.07.14 06:48:23
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2018.12.10
カテゴリ:泡坂妻夫
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著者らしい奇術と言葉遊び溢れる長編小説。
主人公の三流奇術師と一流奇術師の美人助手がショーに出演する為客船に訪れたところ、そこは回文だらけの不思議な空間だった。
果たして連続殺人事件が展開されるが、密室や衆人環視下での殺人、はたまた死体の入れ替わり等、サスペンスとトリックが横溢する。
事件の連続する動きの激しい序盤、東奔西走する中盤、過去の因縁が明らかになる終盤、そして訪れる種明かしと、読む手が止まらない。
登場人物も魅力的で、とても楽しい読書体験だった。
トリックは殆どが肩透かしな程簡単なもので、如何にも奇術的である。






最終更新日  2018.12.10 07:22:49
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2018.09.28
カテゴリ:泡坂妻夫
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ヨギガンジーものの短編集。
「心魂平の怪光<念力術>」の真相の衝撃、「ヨギ ガンジーの予言<予言術>」のトリックの切れ味もさることながら、ベストは論理の後方二回宙返りを決めた「王たちの恵み<心霊術>」とする。



「王たちの恵み<心霊術>」
とある新興ホテルの広間では市の文化倶楽部の定例会が行われていた。
その中で行われるガンジーの心霊術会。
ガンジーは暗闇の中ではあるが、蛍光塗料と拘束テープによって衆人環視の下、見事心霊術を成功させる。
しかし会が終わり主催者が福祉事業の為の募金箱を開けると、なんと中身が空であった。
いつも大金が集まると言われる倶楽部の募金である。
しかも募金箱は四六時中監視下にあった。
亜愛一郎シリーズの奇妙な論理のような真相には驚かされる。
都筑道夫の論理のアクロバットのようでもある。

「隼の贄<遠隔殺人術>」
呪術による予告遠隔殺人。
予言書のトリックは面白味はあるものの感動とまではいかない。
被害者選定のトリックがより優れている。
あまりにも簡単なものであるものの、巧くミスディレクションが効いている。

「心魂平の怪光<念力術>」
奇想天外とはこの事で、意外にも意外過ぎる真相が用意されている作品だ。
ある山村に鼠を買い取りたいという男が現れた。
村人が大量に飼育、増殖させてさあ売り時かという頃、男は突如として姿を消してしまった。
しかも男が住んでいたプレハブには女子大生の屍体が残されていた。
それから暫くして別の山村ではUFO騒ぎが起こっていた。
その山村には廃れた神社があったが、近頃新しい神主が来てお稲荷様の供物に鼠が大量に必要だと言って、村人に鼠の飼育、増殖をさせているという。
ガンジーの解き明かす真相は、一体他に誰が見破れるものか。

「ヨギ ガンジーの予言<予言術>」
予言の目的は解り易いものの、その方法までは解らなかった。
但し、ヒントはあからさまではあった。
そのトリックはあまりにも単純なもので、その明快さも良い。
ガンジーの推理もその発端が鮮やかである。

「帰りた銀杏<枯木術>」
トリックは大したものではない。
問題はホワイダニットであるが、これがかなり現実離れした壮大なものである。
撮り鉄が撮影の為に桜の樹を無断で伐採した事件を思い出した。

「釈尊と悪魔<読心術>」
見目麗しい美青年俳優の人気沸騰する大衆演劇一座に臨時出演するガンジーと不動丸。
美青年霧丸は野良犬を叩き殺したり、女と情事に耽ったりと少し危険な人物。
そこへ警察が疾走した家出少女の捜査でやってきて、霧丸が関わっていないかと疑うが、霧丸は一貫して怪しい態度をとる。
意外な事実が次々と出てきて、最後に明かされるホワイダニットは見事なもの。

「蘭と幽霊<分身術>」
蘭栽培の温室で起こる怪現象。
消える鉢、出現する幽霊。
幽霊のトリックは面白いものの凄味を感じる程のものではない。
しかし蘭消失のトリックは裏をかく見事なもの。






最終更新日  2018.09.28 08:23:33
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2018.08.25
カテゴリ:泡坂妻夫
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同心にして文人である夢裡庵が活躍する短編集の上下巻。
夢裡庵の捕物帳と言っても、夢裡庵は本当に捕物をするだけである。
探偵役は毎回代わり、前の話で探偵役を務めた者が次の話ではワトソン役を務め、今度は新しい登場人物が探偵役を務めるという構成となっている。
ミステリ作家でありながら奇術師にして紋章絵師でもあった氏の特徴が色濃く出た作品だ。



上巻では、「小判祭」がミステリとしては最も良く出来ていると思う。
「新道の女」は上巻中最も美しい物語だ。
ミステリとしての質と物語性で間を取って「芸者の首」を上巻のベストとしたい。

「びいどろの筆」
ある絵師が、絵に書いた武者に矢を射られて殺された。
何と言ってもこの謎が良い。
真相は拍子抜けの感もあるが、推理の過程は良かった。

「経師屋橋之助」
ある生世話物の講釈の中の殺人場面そっくりに殺された屍体が発見された。
犯人は何故講釈になぞらえて殺したのか。
心理分析が面白い。

「南蛮うどん」
遊女にぞっこんの若旦那が、衆人環視の中毒を盛られて殺された。
若旦那は南蛮伝来の秘術として火の付いた蝋燭を食べていた。
しかし蝋燭を食べたくらいで人は死にはしない。
江戸を舞台とした作品でなければ説得力を持たないトリック。

「泥棒番付」
江戸の街に非公式の飲食店番付が広まる。
そして大した事のない店が繁盛しだす。
しかし翌日には決まって押し込みに入られるという、コミカルな展開。
手掛かりが難し過ぎるが為になった。

「砂子四千両」
オランダ人より錬金術を教わった男が江戸に着た。
男は砂を金に変えると言う。
勿論詐欺であるが、このトリックと読者への手掛かりが面白い。

「芸者の首」
この手のホワイダニットは他にも例があるが、中でもこれが最も好印象である。
男と女の気持ちが凄まじい。

「虎の女」
消える刺青。
専門知識のいるトリック。
彫り物の描写が興味深い。

「もひとつ観音」
物凄い殺害方法だ。
物語としても面白く、謎も魅力的だったが、真相が暴かれた瞬間評価基準を見失った。
伏線もあるにしても凄いな、これ。

「小判祭」
江戸の祭が活き活きと描かれている。
活気の良い祭が舞台となっているので、終始明るい雰囲気である。
特に結末は悲惨であり乍らも楽しい。
そして何と言っても意外な犯人設定。
ホワイダニットが豪快だ。
論理も秀逸。

「新道の女」
江戸の悲恋。
潔い死というものがある。
仕掛けは読者にも見破れるようなものだが、何せ物語が優れている。
悲恋ではあるが、二人は幸福であったのかもしれない。



下巻。
ミステリとしては「からくり富」の論理が最も面白かったが、如何せん「夢裡庵の逃走」が全ての印象を持って行く。
ベストはミステリの枠を越えて「夢裡庵の逃走」とする。

「猿曳駒」
同日に死んだ夫婦。
夫は病死、妻は撲殺された水死体となって揚がった。
夫の死の真相は胸に迫るものがある。

「手相拝見」
トリックを楽しむ作品ではない。
小品。

「天正かるた」
元旦、道端に女の指が転がっていた。
そして揚がる女の水死体。
真相は切ない。

「からくり富」
富籤で百両当てた男のいかさまを見破る話。
男が当たり札を持っていた事を疑うのが論理的で良い。

「風車」
人情話。
通常有り得ない場所に据えた灸の問題はおかしかったが、真相を知ってみるとそれも必死さ故の滑稽味であった。

「飛奴」
見世物小屋に逃げ込んだ夜盗の捕縛から隠された意外な事実へと繋がる展開が見事。

「金魚狂言」
出店で買った毒饅頭を口にして猫、金魚、隠居が死んだ。
饅頭の製造元を調べるも、そこに疑わしい点は無い。
真相は意外なもので、面白かった。
金魚狂言とは良く言ったものである。

「仙台花押」
花火大会の夜、下着一枚の女の屍体が渡し舟に乗っていた。
夢裡庵が調べていると、女の屍体は何者かに奪われた。
舟による追走劇が繰り広げられるが、そのフーダニットが泣かせる。

「一天地六」
骰子を題材にした作品。
大道芸のからくり、主の事件共に面白かった。
大道芸の方は単純な奇術で、事件の方は謎解きの要素は薄いものの楽しい捕物と人情味が良い。

「向い天狗」
情勢不安定なる幕末の頃、江戸では娘の髪切り魔が横行していた。
同じ頃、大火が起こり火事場泥棒の出現等さらに街は乱れていく。
全ての事実が繋がる時、意外な事実が明かされる。

「夢裡庵の逃走」
シリーズ完結。
幕府は倒れ将軍は江戸を捨てるも、古風な夢裡庵は新政府軍との戦に身を置く。
江戸の武士の矜恃の為、死の覚悟をして戦地に赴く夢裡庵であったが、彼を死なせるわけにはいかない人々があった。
夢裡庵に生きる歓びを与える一編で、彼を救う為に奔走する人々の想いに感動する。
江戸の時代が終わっても、明治の世で人の営みは続く。






最終更新日  2018.08.25 07:27:56
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2018.08.16
カテゴリ:泡坂妻夫
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短編集。
各話繋がりは無いが、たまに同じ人物が登場したりもする。
それぞれが著者特有の個性を持った作品だが、氏にしてはこじんまりとした出来栄え。
ベストは奇妙な繋がりを見せる「奇跡の男」。
謎の魅力で言うと「ナチ式健脳法」も面白かった。
徳間書店、帯が憎い。


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「奇跡の男」
現実味等は一切無視して無茶苦茶な論理展開を見せる、氏らしい一作。
繋がりそうも無い話がどんどん繋がっていく。
大事故を生き残り宝くじの一等も当てるという奇跡の連発を疑うという筋も、実にらしい。

「狐の香典」
ある荒くれ者が死んだ。
その後警察を介して遺族に差出人不明の香典が贈られてきた。
香典は旧札で通し番号の千円札が五枚。
主人公の行き付けの飲み屋の主人が殺人容疑で逮捕されるが、真相や如何に。
諦観と人情の話。

「密会の岩」
下品な男を上品に描いた話。
笑ってしまう。
用いられたトリックは現実味の無いもので、ただの小品といったところだが、書き方が面白かった。

「ナチ式健脳法」
ある雪の夜、作曲家が自宅で殺された。
作曲家は殺される前離れのスタジオにいて、一度母屋へとライターを取りに来て、それからまたスタジオへと戻っていった。
殺された時、外には作曲家の往復によって出来た二つの足跡があった。
しかし不思議な事に、母屋からスタジオへの足跡が、スタジオから母屋への足跡を踏んでいたのだ。
実際の行動とは逆に付いた足跡。
面白い謎だ。
真相はまあ驚く程のものではないものの、謎の魅力が印象的な一作である。

「妖異蛸男」
海の古宿を舞台に、密室殺人を小学生視点で書いた作品。
浴室で悲鳴が聞こえて駆け付けてみると、宿泊客の女が刺殺され、浴槽に浮いていた。
しかし入口は勿論、窓も全て施錠されており、しかも浴室内に犯人の姿は無かった。
一体犯人はどこへ消えたのか。
まさか蛸のように排水口など小さな隙間を抜けて脱出したというのか。
子供視点の愉快な語り口で展開される密室の謎。
登場人物も皆ふざけた奴等で面白かった。
トリックはあっさり。






最終更新日  2018.08.19 11:19:14
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2018.05.16
カテゴリ:泡坂妻夫
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稀代のトリックスターによるサスペンスフルな長編ミステリ。
三角関係の縺れから殺人に発展するが、計画者の思惑とは裏腹に事態は異様な転がりを見せる。
三つの章がそれぞれ別の視点で語られ、事件の様相は変質していく。

三角関係の発端となる勘違いは面白く、勘違いである事を言い出せない男には一種共感を覚える。
その後の展開では、女の方にも問題は有るとはいえ、それに対しての女の当然で有りながらも熾烈を極める怒りには圧倒された。
男の醜い身勝手さと女の激情の闘争の書き込みは見事なものだ。

何度殺しても蘇るという謎は魅力的であり、これは事実なのかはたまた異常を来した精神が見せる幻覚なのかが見事な解決を見せる。
トリックは至って簡単で、たったそれだけの事かというもの。
奇術師でもある氏の面目躍如と言ったところか。
しかもそれだけに終わらず、幕切れも最高にキレている。
ミステリとしても物語としても素晴らしい。
泡坂妻夫に外れは無いのか。






最終更新日  2018.05.16 07:37:02
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2018.02.22
カテゴリ:泡坂妻夫
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泡坂妻夫らしいトリッキーな怪盗ものの連作集。
跳梁跋扈する妖盗S79号(ようとうえすしちじゅうくごう)と、その逮捕に執念を燃やす東郷警視とそれに付き合わされる二宮巡査部長。
S79号は技量凄まじく正体不明の大変な魅力を持った人物で、ミステリ史に名を残す名犯人と言えるだろう。

どの話も面白おかしく甲乙付け難いが、トリックの最もよく出来ているのが「生きていた化石」で、事件そのものの面白さで群を抜いているのが「庚申丸異聞」、笑わせる事で言うと「南畝の幽霊」と「檜毛寺の観音像」といったらところだろうか。
とは言え他の作品も全て面白く、詰まらない作品等唯の一つも無かった。
話が進むにつれ東郷と二宮の性格にも変化が見られ、最終話である「東郷警視の花道」で全てが円く納まるのは読後感に格別のものを与えてくれる。
代表作ヨギガンジーと同時期に発表された作品で、氏の作品中では代表作とは見做されない作品だが、なかなかどうして充分に傑作としての格を備えているように思う。

幾つもの価値有るものを盗んだS79号。
残していったものも亦価値有るものだった。






最終更新日  2018.02.24 12:17:00
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2018.02.10
カテゴリ:泡坂妻夫
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稀代のトリックスターによる短編集。
各話に繋がりは無く、実に多種多様な一冊になっている。
ベストは「紳士の園」だが、「赤の追想」の味わいも忘れ難い。



「赤の追想」
引き込まれた。
ごく短い短編だが、稀代の魔術師の筆力の前に頁数等は問題には成り得なかった。
ホワイダニットも素晴らしいが、それが導いた物語の深奥はそれ以上に素晴らしいものだった。
著者の初期の作品に代表される「奇妙な論理」と物語性が有機的に絡み、抜群に豊かな物語を作りあげている。

「椛山訪雪図」
謎の画人の作品「椛山訪雪図」に隠された謎が、一件の殺人事件をきっかけに解かれる。
著者らしいトリッキーな作品に仕上がっている。 

「紳士の園」
トリッキー、その一語に尽きる著者本領発揮の一作。
普通はそんなところからそんな論理は引っ張り出せないだろうという、初期の代名詞「奇妙な論理」が炸裂する。
人間は狂っているもので、正常である事にこそ異常性が見出されるという凄まじい物語だ。

「閏の花嫁」
書簡体で綴られる女友達同士のやり取り。
夢の様に幸せな結婚が語られるが、勿論そのままでは終わらない。
軽めのサスペンスといったところで、これまでの作品とは毛色が違っている。
箸休めの一品。

「煙の殺意」
殺人事件の現場となったアパートの一室で、同時刻に起こったデパート火災のニュースに釘付けになる捜査官。
浴室で、鮮やかな手並みで一突きに殺された屍体の美しさに魅入る鑑識官。
この不思議な二人がぐだぐだと会話をしている。
そして二つの事件は意外な方向に・・・。
他に解釈のしようが無いので衝撃は若干薄かったが、それでも面白い作品。
とんでもホワイダニット。

「狐の面」
奇術を法術と詐称し鉱山街で荒稼ぎをする山伏一行。
ある時、鉱山夫の妻が狐に憑かれる。
鉱山夫は山伏一行に祈祷を頼むが、地元の寺の住職が待ったをかける。
住職の狙いとは如何に。
軽妙な語り口で坊主と山伏の対決が語られる。
楽しく読んでいると、突然意外なホワイダニットが飛び出して来る。
宗教とは救いと搾取の面がある事を実に面白く教えてくれる一作。

「歯と胴」
泡坂版バリンジャーといったところか。
倒叙の形式で書かれたこの作品は実に秀逸な一作だ。
殺す事にしたきっかけも面白く、殺害方法も丁寧で引き込まれる。
罪体を処分した後、次々と主人公に襲いかかる被害者の影は豊富なサスペンスを含み、最後の最後で犯罪が露呈する場面では意外な伏線に驚く。

「開橋式次第」
スラップスティックのような幕開けから始まる物語。
開橋式に招かれていくと、十五年前に起きた迷宮入り事件と殆ど同じ事件が起きていた。
またおかしな論理を働かせたものだ。
手掛かりはあからさまだが、ユーモアに溢れ楽しい一作。






最終更新日  2018.02.10 04:52:36
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2017.12.04
カテゴリ:泡坂妻夫
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大いにネタバレ。





トリックスター泡坂妻夫の大奇術。
誰もが思い浮かべるデュ・モーリアの「レベッカ」と酷似した筋。
後妻に降りかかる前妻の影。
後妻に感情移入し同情的になる。
それが罠の始まり。
トリック自体は「アクロイド殺し」等の前例に事欠かないが、その見せ方が抜群である。
その結末も頭に入れながら読んだが、そんな筈はないと思わされた。
これだけ後妻が前妻と関わりが無いように書いているのに、実は伏線だらけであったとは驚愕の一言。
真相が語られるまで、後妻の心情が全く地の文に於いて書かれていないとは思いも寄らなかった。
泡坂妻夫は本当に技巧に優れた作家だ。
作家というよりも、小説という手段を用いているだけで職業はやはり奇術師だ。
喝采。






最終更新日  2017.12.04 07:16:58
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2017.08.17
カテゴリ:泡坂妻夫
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奇術師であり、紋章絵師であり、本格ミステリ作家である故泡坂妻夫による第三長編にして異色作。
いつもの泡坂妻夫的「人工感」というか「玩具感」がない文体に驚く。
幻惑、眩暈とは正にこの事。

Pの謎等の大筋は早い段階で解ったものの、結局紀子が逢った晃二は誰なのか、全く解らなかった。
全てが明かされた時の感動たるや、泡坂妻夫の計算が空恐ろしく寒気がした。
いつもと違う文体はその為だったのかと驚愕。

終章もまた見事。
永遠に繰り返す事を匂わせるこれも、幻惑、眩暈感を強くさせる。

連城三紀彦はいつも正しい。
泡坂妻夫は幾筋縄あっても縛れないのだ。
黙れされる快楽に身を包まる。






最終更新日  2017.12.04 07:20:15
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