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七代目ちぃのブログ

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島田荘司

2018.09.26
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カテゴリ:島田荘司
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吉敷竹史ものの第九作目。

寝台列車の個室で敏腕女社長が死んでいた。
どう見ても心不全による突然死であるが、唯一吉敷だけが殺人を疑った。
犯人の目星は付いている。
しかし根拠が無い。
完璧な不在証明もある。
吉敷は奔走する。
アジア二度目の五輪となるソウル五輪からアジア初の五輪である東京五輪まで、二十四年の時を越えて隠された物語を掘り起こす。
被害者と容疑者に奥行きが生まれ、吉敷はやはり犯人を確信するも、それでも真相は遠い。
最後の段で漸く真相を看破するが、吉敷の想いは虚しく散る。

過去と現在二つの事件が描かれるが、現在の事件で用いられたトリックはかなり早い段階から指摘されている。
本書で主眼となるのは既に迷宮入りとなった過去の事件である。
こちらのトリックは前例のあるもので、しかもその前例が日本ミステリ界に於いて屈指の大作家による屈指の大傑作という事もあり、相当早くに読めてしまった。
しかも前例の方が謎が鮮烈で魅力的なのだ。
物語の部分は申し分無いのだが、ミステリとしては評価し難い。
本書は島田作品の中でも主流ではない吉敷竹史もので、それもシリーズ中でも代表作とは言えない作品である。
これを読む人は恐らく本格ミステリが明確に好きな人に限られるであろう。
であれば、日本ミステリの宝である前例を読んでいないとはなかなか考え難いのである。
惜しい。






最終更新日  2018.09.26 06:44:25
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2018.08.09
カテゴリ:島田荘司
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吉敷竹史ものの第六作目。
一人の中学生男子が、首を吊って自殺をする。
少年は虐められていた。
殴られ蹴られ、恥を掻かされ、葬式ごっこをされた。
担任教師までもが、見て見ぬ振りどころか虐めに参加していた。
抵抗しようが我慢しようが、親が抗議しようが全く解決されない状況の末、少年は自殺した。
そして後日、担任の男性教諭と虐めの主犯格の子の母親が死んだ。
同日同時刻に同じ駅に到着する別々の列車に乗って青酸カリを嚥下したのだ。
そして二人の座席の周りには沢山の花が置かれていた。
また教諭の傍には近松門左衛門の全集が置かれてあり、母親の傍にはその列車にはどうあっても紛れ込む筈のない珍しい蝶が飛んでいた。
かねてより交際の噂があった二人でもあり、心中と目されたが、吉敷は疑問を呈し殺人事件として捜査を開始する。

氏の特徴である謎の魅力は、今回他の作品と比べると弱かったように思うが、それでもやはり一定の質は保証されている。
近松門左衛門、珍種の蝶、自殺した筈の少年の幽霊と、ただのトラベルミステリや社会派ミステリには無い謎だ。

吉敷は今回大きな間違いを犯す。
吉敷にとっては大きな失敗体験となった事件になるだろう。
物語は虐め問題を扱っており、唯一の容疑者と見られるのが自殺した少年の両親である。
虐め殺された息子への想い、そんな親を疑わなければならない吉敷、非常にひりひりとする展開が繰り広げられる。
少年が受けた虐めは残酷なもので、正視に耐えない胸糞悪い描写もある。
容疑者として両親を追い詰める吉敷を応援出来ないのだ。

明かされる真相は正に意外の一言で、ミステリとしてはかなり良く出来ていると思う。
盲点と言う他無い。
異様な真相ではあるものの、共感出来る部分も有る。
寧ろ同情してしまう。
狂った状況を狂った状況と認識出来ただけでも偉いと思うし、そうして狂った行動に移るのも理解出来ん事は無い。
しかしそれを赦せるか。
この物語の締め方は嫌いだ。
結局自分の責任で発した事件で、責任の本質から目を背けて、自己防衛の為に責任を取る小芝居をこいているだけではないか。
醜い。
こんな人間守る価値が有るのだろうか。
社会の在り方として守る事が正しいのだろうか。
私は赦したくても赦すべきでないと考える。
それが社会への責任ではないか。
気に入らない。






最終更新日  2018.08.19 11:19:03
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2018.08.08
カテゴリ:島田荘司
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大好きな吉敷竹史ものの第五作目。
走る吉敷、好感爆発である。

いつも魅力的な謎を約束してくれる氏は、本書でもやはり変わらなかった。
読売巨人軍エース川口の息子誘拐事件の身代金授受の為に駆り出された吉敷は、摩訶不思議な体験をする。
犯人の指示は、公衆電話から公衆電話電話へと全力疾走して次の指示を仰げというものの繰り返しであった。
現金一千万円の入ったバッグを抱えた吉敷は、言われるがままに走る。
何度も走らされて疲労困憊の吉敷は、仲間とも引き離され、何時犯人に襲われても太刀打ち出来ない程弱り切っていた。
犯人としては身代金を奪う絶好の状況だ。
然し幾ら公衆電話を変えても、犯人は一向に現れない。
あくまで次の公衆電話まで走れと指示するだけである。
そしてへとへとになった吉敷が六箇所目の公衆電話で電話を受けた時、犯人は思いもかけない事を言う。
あろう事か、子供を解放する、身代金も要らないと言うのだ。
そして実際に子供は解放され、身代金も奪われずに事件は終わった。
何だ、これは。

訳の解らない謎から、あまりにも意外な真相がひり出される。
島荘版「赤髪組合」といったところか。
何も組み上がらないパズルのように見えていたのに、組み上がってみると実に見事な絵が出来ている。
壮観だ。

翻弄される吉敷、そして文庫で約二百三十頁という短さもあって、駆け抜けたというような読後感がもたらされる。
謎の魅力、動きがありサスペンスフルな展開、意外過ぎる真相、好感しか無い吉敷。
吉敷竹史ものに外れは無いが今回もご多分に漏れず、しかもかなり楽しい読書体験だった。
これだからこのシリーズはやめられない。






最終更新日  2018.08.19 11:19:29
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2018.07.23
カテゴリ:島田荘司
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吉敷竹史もの第四長編。
楽しかった。
これまでの同シリーズで最も愉快な作品だ。
凄惨な殺人は出てこず、それでも派手な謎とトリックが扱われ、お洒落な若い女性視点の語り口で友情や恋愛感情が語られ、サスペンスフルな筋運び、おまけにいつも真面目な吉敷の情けなくも可愛い姿・・・ああ、楽しかった。

クリスタルエクスプレス処女運行の日、一人の男によって列車強奪が起きる。
男の指示に従って列車は直走るが、目的地の直前で忽然と消えてしまう。
巨大な列車がだ。
しかも消失したと思われる場所は田圃に囲まれて視界良好の単線だ。
なんと派手な謎か。
そのトリックは氏お得意の大技で、そんな強引なと驚くものだ。

散弾銃を所持した犯人に監視される人質達。
人質となった女が犯人の要求を伝える役を務める時の緊張感。
その要求を受ける役を務める親友の女。
列車消失の後、親友の女がトップ屋と組んで行う捜査。
トップ屋が殺され頼れる者が吉敷だけになったが、何かを知っている素振りの吉敷の口は重い。
吉敷に縋る親友の女。
ついに出現するクリスタルエクスプレスの視覚効果。
そして明らかにされる驚天動地の真相。
全編サスペンスに溢れ、且つ瑞々しい女の心情、結末の愉快なやり取りと、ヒッチコックに映画化して欲しいような作品だ。

重々しくない吉敷ものは初めて読んだ。
良い。






最終更新日  2018.07.23 07:57:39
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2018.06.22
カテゴリ:島田荘司
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大好きな吉敷シリーズの第二作目。
大阪から山陰の駅に流れ着いたバラバラにされた女の四肢と胴体。
首以外の部位が切断されて列車に乗せられるという猟奇殺人を警視庁の吉敷竹史が捜査する。
相変わらず現実的な世界観の中にとんでもない謎を設定する。
濃密なトラベルミステリは、今度も抜群の面白さを誇った。

山陰は出雲が事件の鍵となる今回の事件は、出雲の神話が重要な役割を持つ。
出雲伝説と言えば誰もが知る有名なものであるが、だからこそわざわざ詳しくは調べてはいず、とても興味深い読書体験となった。
今度の謎は幻想的というよりも猟奇的であり、いつもの著者お得意の幻想味は始め薄いように感じられたが、神話を絡ませる事でただのサイコミステリとは一線を画している。

トリックも非常に練られたもので、氏独特の切れ味鋭い一発大技トリックではないが、その分より周到な緻密なものになっている。
それでいて難解でもない。
氏の著書はどれだけ複雑な物語となろうと、いつも読み易い。
壮大な謎、圧巻のトリック、優れた人間関係の描写、豊穣な物語性、それらを保証しながら常に平易であるとは、如何に凄い事か。

吉敷シリーズ、堪らない。






最終更新日  2018.06.22 08:05:40
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2018.05.26
カテゴリ:島田荘司
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吉敷竹史ものの記念すべき第一作目。
最近吉敷ものが面白い。
氏と言えばやはり御手洗潔ものが有名であるが、こちらのシリーズも抜群に優れていて、御手洗ものだけしか読んでいないとあまりに勿体ない。

御手洗ものの特徴と言えば超の付く奇人で天才である御手洗潔を探偵役に、幻想的な謎に端を発する奇っ怪な事件が起こり、奇想天外なトリックが用いられている事である。
それに対して吉敷ものは、主人公の吉敷竹史は真っ当な刑事であり、事件を丹念な捜査で暴いていく。
そして事件の背景にあるのは社会の闇や人の想いであり、社会派ミステリのような面もみられる。
同時にこのシリーズには列車が出てくる。
様々な土地に吉敷が赴き、トラベルミステリのような様相も呈す。
しかし謎は相変わらず幻想的であり、事件はなんとも派手なものとなっている。
事件は有り得ない程に派手なものであり、事件以外は実社会に根ざしたものである為、その印象の乖離によって、御手洗ものよりも一層幻想怪奇な雰囲気が際立っている。

本書では自宅の浴室で顔の皮を剥がれた女の屍体が登場する。
のみならず、その女が死亡推定時刻の後に遠く離れた寝台特急の中で目撃されているという、本当に摩訶不思議な謎が提示される。
用いられたトリックは非常に良く出来ており、顔の皮を剥いだ動機等は特に秀逸だ。

また、犯人被害者共に設定が凝っており、二転三転する展開と相まって印象深い読後感を与えてくれる。
最後に明らかになる犯人の人物像はかなり醜悪で、そのフーダニットを隠す仕掛けは巧みの一言。

吉敷竹史を筆頭に、捜査陣側の登場人物が皆好人物なのも忘れてはいけない。
特に吉敷と牛越である。
実直な牛越は今にも吉敷を喰いそうな程の活躍を見せ、尚且つその優しい人間性には吉敷でなくとも惹かれてしまう。
後に「北の夕鶴」事件でも二人の関係はここから始まったのだ。

謎、トリック、人物全てが魅力的で、読み易さまで兼ね備えている本書は、ミステリのお手本とも言うべき一冊。
吉敷もの、必読である。






最終更新日  2018.05.26 07:40:20
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2018.05.03
カテゴリ:島田荘司
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島田荘司による御手洗潔ものの傑作歴史ミステリ。
ロマノフ王朝最期の王女アナスタシアを中心に、アナスタシア生存説と山中の芦ノ湖に突如現れた軍艦の謎について書かれている。
ロマノフ王朝の最期というと謎に満ちた悲劇で有名で、これに関したミステリもこれまで幾つか読んできたが、その内でも最良の作品と言える。

先ず山中の湖である箱根の芦ノ湖に、海を行く軍艦が出現したという謎が極めて魅力的だ。
しかも出現した当時湖全体が輝いていたというのだ。
壮大で幻想的な謎の創出は著者の専売特許とも言えるが、これは著者の作品群の中でも抜群のものである。
説得力のある真相も見事だ。

そしてアナスタシアの生存説。
アメリカ在住で自分こそがアナスタシアだと主張する老婆がいる。
ゴミ屋敷に住み、裁判でもロシア語を離さずアナスタシアである証拠を示さない。
誰もが狂った老婆と認識している。
その老婆をアナスタシア本人であるとする御手洗の名推理は必見である。
数々の矛盾を解きほぐしていく。
最後に約百頁に及ぶエピローグで語られるボリシェヴィキに追われたアナスタシアのその後は、実に残酷なもので胸を締め付ける。
しかしその半生の中には確かに感動の瞬間があった事も語られ、読後感は暖かみを帯びたものとなる。

悲喜交々深い感動を与えてくれる一冊だ。






最終更新日  2018.05.03 09:26:43
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2018.03.28
カテゴリ:島田荘司
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何だ、これは。

島田荘司と言えば大技力技の物理トリックが当たり前で、実際この作品もそういう作品だという前情報は仕入れてあった。
それでも魂消た。
力技も力技。
島田荘司作品の中でも最上位の部類に入る作品だ。

トリックも凄いが、それに付随して謎もだいぶ凄くなっている。
被害者加害者共にどうやって現場に入ったか解らず、また加害者がどうやって出て行ったのかも解らない。
さらには泣き声を上げる夜泣き石に、鎧武者の亡霊まで出てくる始末。
そんな幻想怪奇な謎が、探偵役が奇人変人の御手洗潔シリーズではなく、刑事を探偵役にした吉敷竹史シリーズのトラベルミステリで繰り出されるのだから、より一層際立っている。

そしてこの読書体験をより印象的なものにするのが、物語性である。
本格ミステリとして素晴らしいのは当然として、人間ドラマとしても楽しめる。
元妻の通子が殺人事件の最重要容疑者として追われていて、吉敷は仕事としてではなく個人として捜査を行うのだが、これが何とも豊穣な物語に仕上げているのだ。
正に死闘とも言うべき追跡を繰り広げ、満身創痍の体で通子を助ける為東奔西走する。
明らかになる通子の過去。
愛し合いながらも離れた二人が、不器用にまた求め合う。
吉敷が本当に格好良い。
スーパーヒーローだ。
男が男として在る為に闘う。
吉田拓郎の「闘い続ける人の心を誰もが解っているなら、闘い続ける人の心はあんなにも燃えないだろう」という詞が思い出される。

こんなに魅力的な謎と壮大なトリックを拵えて、こんなに格好良い男を描いた本格ミステリはなかなかお目にかかれない。
島田荘司、なんと豊穣だ。
抜群に、良い。






最終更新日  2018.03.28 06:48:57
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2017.07.18
カテゴリ:島田荘司
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新本格と名探偵御手洗潔の生みの親、島田荘司。
この作品は御手洗潔ものの第一短編集だ。

とにかく御手洗が素晴らしい。
変人型の名探偵の中でも最上位に位置する。
警察を無能と笑う探偵はやはり気持ちが良い。

そして謎の魅力。
密室による不可能犯罪「数字錠」、突如姿を消した男が数分後電車に轢かれて死ぬがその場所へは到底辿り着けぬ時間と距離の問題がある「疾走する死者」、そもそも事件が起こっているのかも解らない奇妙な男の行動「紫電改研究保存会」、盗まれたタコ焼き屋と巧妙な暗号を使った誘拐「ギリシャの犬」。
なんだ、タコ焼き屋が盗まれるって。

さらにトリック(真相)。
「疾走する死者」は想像の範疇だったが、他は予想も出来なかった。
特に「数字錠」。
予想を遙かに下回るトリックが素晴らしい。
それだけで事はそんなにも簡単になるのかと驚いた。
「紫電改研究保存会」は島荘版の赤毛組合か。
「ギリシャの犬」はタコ焼き屋ごと盗難事件の謎と、誘拐された子供の隠し場所に創意が見られる。

ベストは「数字錠」。
トリックの呆気無さに脱帽。
次点が謎が魅力的な「ギリシャの犬」。
次が楽しい陽性の事件「紫電改研究保存会」。
「疾走する死者」も謎の魅力的な事と言ったら  抜群だった。






最終更新日  2018.03.28 06:57:14
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2017.07.15
カテゴリ:島田荘司
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島田荘司と言えば、本格冬の時代に「占星術殺人事件」という歴史的大傑作によって黙殺されながら登場したスーパーミステリ作家である。
社会派全盛の時代に、幻想的な謎と大仕掛けなトリックで本格ミステリを目覚めさせ、また進化させた男。
氏がいなければ現在の本格ミステリ事情は全く違うものとなっていた筈で、言うなれば現代ミステリに於ける創造主と言っても過言ではないだろう。

「占星術殺人事件」で登場した御手洗潔は今や名探偵の代名詞で、作家島田荘司の印象も即ち御手洗を探偵役とした本格ミステリという事となっていると思う。
しかしある時氏は思う。
社会派という好敵手がいるから本格も盛り上がるのであって、本格ばかりになってしまえばそれはそれでまた問題であると。
そこで氏は本格と社会派の融合を考えるようになる。
この吉敷竹史刑事を主人公とした「奇想、天を動かす」はまさに社会派と本格の見事な融合であり、区分を超越したミステリの傑作として仕上がっている。

まず何と言っても氏の大きな特徴である謎の魅力。
この物語で、事件は浅草で浮浪者風の老人が買い物をし、その年から施行された消費税十二円分に腹を立てて女店主を刺殺するという事から始まる。
十二円の為に殺人を犯す、そんな事が有り得るのか。
しかし吉敷が捜査を進めると、数十年の過去から始まる背景が見えてくる。
寝台列車に於いて、深夜踊るピエロが便所で拳銃自殺を遂げる。
その死体の周囲には無数の火の灯った蝋燭が立てられている。
現場保存の為車掌が扉を閉め、その三十秒後火が灯ったままでは危ないと思いまた扉を開けると死体は消失していた。
さらに同じ頃、列車が人を轢断してしまう。
急停止の後調べてみると、死体には首や手が無かった。
直後その完全に死んだ筈の轢断死体が起き上がり、あろう事か歩き出した。
停車中の列車に入ってきて乗客達が騒ぎだすと、列車が謎の爆発。
そして生き残った人物に話を聞くと、赤い眼をした白い巨人が列車を天高く持ち上げたという。
なんと凄まじい謎だ。
こんなオカルトじみた謎に現実的な解決がつくのだから驚きだ。
謎の凄さで言えば、これまで読んだものの内で一番かもしれない。

解決に至って、勿論現実的には都合の良すぎる部分もあるのだが、ちゃんとこの壮大な謎に対する解決に説得力があるのだ。
謎が幻想的に過ぎると解決が見合っていない事や、見合う為にあまりにも現実離れした解決になる事も往々にしてあるのだが、この作品ではそのバランス感覚が見事だ。
社会派として現実味を帯びながらも、この本格趣味丸出しの謎に対して見事な解決を与えている。
決して本格と社会派が別れていず、お互いがお互いを引き立て合う。
本格として強烈に魅力的な謎と、社会派として強烈に魅力的な背景と動機。
そしてその二つが違和感無く融合を果たし、途轍もなく分厚い解決となる。
島田荘司はいつだって気宇壮大だ。

この作品は本格が苦手な人も、社会派が苦手な人も、いやそれどころかミステリが苦手な人も読書が苦手な人さえも、日本人であるなら誰もが読むべきものだ。
正に奇想が天を動かす。
その奇想と天の意思とを、是非目にしてほしい。
天晴れミステリ界の宝、島田荘司。






最終更新日  2018.03.28 06:56:44
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