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七代目ちぃのブログ

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鮎川哲也

2020.10.14
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カテゴリ:鮎川哲也






鬼貫警部ものの長編。
氏の作品中でも有名なものだ。
社会派ミステリ全盛の時代に上梓された、社会派ミステリの流れを汲んだ本格ミステリである。
偽装心中に端を発する物語は見事なアリバイ崩しの傑作となっている。
鉄壁のアリバイが幾度も現れ、現れる度に捜査は暗礁に乗り上げ、その末に漸く訪れる崩しは実に爽快だ。
真相は本格ミステリの醍醐味を感じさせるもので、地味で退屈とも形容される作風の物語の最後に一際輝く彩りを添えている。
しかも、そのまま読んでも良し、勘繰っても良しな要素も用意されているのだ。
読後感も、氏の作品中でも屈指のものとなっている。






最終更新日  2020.10.14 04:59:42
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2019.05.16
カテゴリ:鮎川哲也







ベストは表題作。



「五つの時計」
緻密に練り上げられたアリバイ崩しの屈指の作品。
完全無欠に思われるアリバイを鬼貫警部が見事に解決する。
再読であるが、何度読んでも感服だ。

「白い密室」
星影龍三の雪密室への挑戦。
犯人が残した見えない足跡というのは素敵だ。
全登場人物中、犯人が最も踊らされているのも面白い点。

「早春に死す」
鉄道もののアリバイ崩し。
鉄壁のアリバイが崩れた時、構図がひっくり返る。
その様は都筑道夫の論理のアクロバットを思わせる。

「愛に朽ちなん」
再読。
現代では通用しないトリックではあるものの、抜群に優れたトリックだと思う。
箱の入れ替わりという不可能興味も魅力的だ。

「道化師の鑑」
バンドの花形、美人ヴォーカルがピエロの殺人鬼に殺される。
ピエロは逃走するもある地点で消失する。
何とも魅力的な設定だ。
名探偵星影龍三が快刀乱麻を断つ活躍で、見事に解決に導く。

「薔薇荘殺人事件」
最近ではすっかり使い古されたトリックが使われているが、丁寧に張り巡らされた伏線が明らかになるのは誠に爽快である。
しかし本作での白眉は著者によるものではない。

「二ノ宮心中」
トリックは地理に詳しくないと解らないが、そのトリックを成立させる為の手段は割合解り易いのではないか。

「悪魔はここに」
本格ミステリとしては詰めが甘く感じる。
クローズドサークル、現場にある物が逆さにされるという魅力的な謎、典型的なミステリの人物造形等はとても楽しめた。

「不完全犯罪」
倒叙もの。
ぞくぞくするような幕切れ。
トリックを弄する犯人は得てして余計な事をする。

「急行出雲」
鬼貫のアリバイものであるが、アリバイ崩しではない。
アリバイ「探し」だ。
この発想はサスペンスフルで抜群に面白かった。






最終更新日  2019.05.16 05:31:49
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2018.11.18
カテゴリ:鮎川哲也
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「白の恐怖」
一九五九年に発表され、この夏初めての文庫化と相成った幻の長編。
閉ざされた吹雪の山荘で巻き起こる連続殺人事件を描いている。
古い作品という事もあり、仕掛けがある程度見透かせてしまえるのは致し方ない。
しかし素晴らしい本格ミステリ的雰囲気と、そしてフーダニットの一捻りは素敵である。
古典的なトリックが使われているがミスリードは巧みだ。

「影法師」
極寒の異国での恋物語が最後にミステリへと変わる。
愛しさと惨めさのミステリ。






最終更新日  2018.11.18 05:46:36
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2018.07.17
カテゴリ:鮎川哲也
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鬼貫警部ものの短編集。
魅力的な謎有り、精緻なアリバイ崩し有り、練られた顔の無い屍体有りと、背筋の伸びる作品集である。
「誰の屍体か」「五つの時計」「首」が特に面白かった。
ベストはトリックが楽しかった「五つの時計」。

「白昼の悪魔」
中川透名義最後の作品。
湿原で一人の女性が殺された。
現場にははっきりとした手掛かりが残されており、犯人と目される男が浮上する。
一挙に解決かと思われたが、ここに私立探偵や新聞記者からのたれ込みが出てきて事件は錯綜する。
アリバイトリックは少々物足りない。
結末も取って付けたようなものだ。

「誰の屍体か」
或る三人の美術家のもとに硫酸の空き瓶、発射された拳銃、ビニール紐が送られてきた。
送り主を訪ねるがそんな物は知らないと言う。
そして或るビルの地下で、首の無い屍体が発見される。
屍体には硫酸で指紋が焼かれ、拳銃で撃たれ、紐で首を絞められた跡があった。
屍体は誰で、犯人は誰なのか。
魅力的な謎、練られた顔の無い屍体のトリック、巧みな構成、良く出来た作品だ。

「五つの時計」
緻密なアリバイ崩し。
複雑にして明朗なトリックが使われている。
犯人の解りきったアリバイ崩しの作品で、これだけ興味を持続させる著者の力量に感服だ。
サスペンスの巧みな使い方が冴える。

「愛に朽ちなん」
「黒いトランク」を彷彿とさせる作品。
現代人には推理し難いトリックが使われている。
勉強になる。
不可能性と意外なトリックの組み合わさった秀作。

「古銭」
箸休めの小品。
さりげない手掛かり一つをもとに、アリバイが簡単に崩れる。

「金貨の首飾りをした女」
凝ったアリバイ。
トリックに大勢の人間が絡み過ぎである。

「首」
顔の無い屍体の問題。
凝っただけでなく解り易いトリック。
序盤の連続する不可解な悪戯電話が泡坂妻夫っぽくで面白い。






最終更新日  2018.07.17 15:11:08
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2018.07.12
カテゴリ:鮎川哲也
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アリバイ崩しを代名詞にした氏の代表作。
一ダースに及ぶ容疑者全員に堅牢なアリバイがあり、鬼貫警部が丹念な捜査でそれを崩してみせる。

本書では二つのアリバイトリックが出てくるが、どちらも練られたものだ。
一つ目の方は今時の作品に出てくるようなトリックで、そう上手くいくかという気もしないでもないが、明かされた時ははっとさせられた。
二つ目のトリックは所謂時刻表トリックであるが、複雑に過ぎず解り易いのが良い。
ごちゃごちゃしているが結局はこれだけの事というのは、非常に気持ち良いのである。
物語は沢山の人物が絡み複雑であるが、その分難しい事件の印象を与え、それが鬼貫警部によって解決をみた時には鮮やかさが際立つ。

安定した高品質の本格推理を提供してくれる氏の著作は、本当に格調高い。






最終更新日  2018.07.12 08:24:52
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2018.04.17
カテゴリ:鮎川哲也
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本格の鬼による作品。
締め切りに終われどうしようもなくなり、以前書いた短編を長編に直して提出した作品だと言う。
元となった短編も併録されている。
星影龍三ものである。

ー長編ー
傲岸不遜な人気作家が軽井沢の豪邸で殺される。
その後も殺人は連続し、事件は混迷の一途を辿る。
犯人は意外性を持たせるならこの人物だろうなあと、印象だけで言えば解り易いのだが、明確に指摘する事は叶わなかった。
オルゴールの手掛かりは知らなければ解らないものだが、第一の殺人に於ける原稿のトリックは見事だ。
素晴らしいアリバイトリックである。
人を喰った様な氏独特のユーモアも遺憾なく発揮されており、楽しい読書体験だった。

ー短編ー
原型となったこちらでは、事件が一つ少なくなっている。
然し犯人もトリックも変わらず、なんて言うと長編の方がただの水増しに思われそうだがそうではない。
より丁寧な推理小説となっている。
こちらの方が些か駆け足気味で、どちらが良いかと問われるとやはり長編の方を採りたい。

どちらの作品も実に丁寧な犯人当てとなっている。
氏の正道を行く作風は本当に爽やかで、何時読んでも関心する。
頑固一徹本格の人である。






最終更新日  2018.04.17 05:41:41
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2018.03.29
カテゴリ:鮎川哲也
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本格の鬼の代表シリーズ鬼貫警部ものの長編。
氏の代表作でも何でもないのだが、なんの、めっちゃ面白かった。

鬼貫警部ものというと現実的で堅実な捜査と、何と言ってもアリバイ崩しである。
この作品でもフーダニットよりもハウダニットに眼目が置かれている。
捜査は綿密を極め、これ以上無い程地味である。
しかし退屈はさせない。
ところどころ入るユーモアにはにやにやさせられる。

終盤に至って犯人の見当は付けられるが、堅牢なアリバイが敢然と立ちはだかる。
魅力的な謎、地道な捜査の過程、ユーモア、関係者の人間像、美点は沢山あるが、この作品の最も優れているのは何と言ってもトリックである。
物語の終わる頃鬼貫によって解かれるそのトリックは目から鱗が落ちる見事なもので、明らかにされた時にはその見事さに思わず笑ってしまった。
あまりにも鮮やか。
鮮やかの一語に尽きる。
大胆で簡単なそのトリックは衝撃度満点だ。
ただのアリバイ崩しではない壮絶なトリックは凄まじく、この作品を氏最大の代表作である「黒いトランク」と肩を並べる印象深いものにした。
解ってしまえば何という事のない「たったそれだけの事」である。

氏による巻末の付録も絶品で、読後笑顔が絶えなかった。
本格の鬼の本格の鬼たる由縁が遺憾なく発揮された傑作である。






最終更新日  2018.03.29 07:13:03
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