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七代目ちぃのブログ

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土屋隆夫

2019.02.18
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カテゴリ:土屋隆夫






「「罪ふかき死」の構図」、「粋理学入門」、「判事よ自らを裁け」の三つの短編集が収録された、全集の七巻目。
軽い作品が目立ち、大きな感動といったものは無かったが、「死者は訴えない」「小さな鬼たち」等面白い作品もあった。
北野武監督作品「Dools」のような切なさが、氏は本当に得意だ。






最終更新日  2019.02.18 01:16:58
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2018.11.01
カテゴリ:土屋隆夫
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氏の長編が二つ収録されている。
代表作である「盲目の鴉」は既読である。



「妻に捧げる犯罪」
大学教授が悪戯電話をしたところ、相手の女が勘違いして、殺害計画を話してしまう。
電話の相手を共犯者と早合点したのだ。
それは犯人、被害者、現場、動機、方法不明の殺人で、そんな事件が教授の推理によって次第に明らかになってくる様は、まるで「九マイルは遠すぎる」ようでもあり、シャーロック・ホームズをも思わせる。
そもそも教授が悪戯電話をするようになった原因、殺害計画を話した女への興味からくるその後の行動、女の身に起こる急展開、厄介過ぎる別の女の登場、そこから犯罪に走る教授の運命と、発端から展開が実に面白い。
どこか滑稽味さえ感じる七転八倒の教授の姿は、物語に魅力的な動きを与えている。
教授が探偵役であり、だからこそ犯人でもあるというのも面白い。






最終更新日  2018.11.01 08:45:56
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2018.10.16
カテゴリ:土屋隆夫
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「ミレイの囚人」
或る人気作家が或る女性に監禁されるという、スティーヴン・キング著「ミザリー」を彷彿とさせる導入である。
「ミザリー」はその緊張と格闘、女の異常心理を描いて傑作となったが、本書はさらに複雑になっている。
足枷によって監禁された作家の事件とは別に、一つの殺人事件が起こる。
新人賞受賞作家の殺人である。
第一の事件はサスペンスと女の異常心理で、第二の事件は謎の散りばめられた本格ミステリ味で読ませる。
話の展開は予想出来たが、トリックと動機が語られる最終章が抜群に巧く極まっている。
トリックには驚いた。
叙述トリックと言えるのか、とにかく衝撃的だ。
そしてトリックによって本格ミステリとして満足させるだけに留まらず、動機によって人間を描き社会派としても満足させるその卓抜な手腕には脱帽である。
殆ど誰もが疑問に思っているであろう無慈悲で不公平、非人道的な法律を扱い、涙を誘う。
最終章をわざわざこんな形式にしたのも結末に巧く話を添え、見事な幕切れだ。

「あなたも探偵士になれる」
現代は資格の時代である。
著者からの探偵士資格試験の形式で書かれた短編集。
笑ってしまう程くだらない試験勉強を添えて、七問のミステリが出題される。
「九十九点の犯罪」と「見えない手」は偽装工作看破の論理が単純且つ鮮やかで素晴らしい。
「わがままな死体」はトリックの巧妙さに拍手。
ベストを挙げるなら「九十九点の犯罪」か。
因みに私は「見えない手」以外は当てられなかった為、試験には不合格であった。
著者の稚気がふんだんに盛り込まれた一作。

「地獄から来た天使」
三つの短編。
全体的に軽く楽しめるミステリといった感じだ。
表題作は暗闇の密室での殺人。
トリックは本当に成功するか怪しいが、面白い。
「奇妙な招待状」はアリバイトリック。
現代の目から見ると、流石に無理がある。
「私は今日消えて行く」は革命家に纏わる密室トリック。
前の二作でも使われた心理トリックが使われているが、どれもあまり効果的でない気がする。
犯行の偽装の為に犯人はしばしば小芝居をこくものであるが、それの説得力に演劇経験を使うのは如何なものか。
古い作品には国内外問わずよくあるが、絶対にそれは強みにはならないと思う。
どれも氏の水準からは程遠い出来ではある。
ベストは強いて挙げるなら表題作か。






最終更新日  2018.10.16 08:07:25
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2018.10.03
カテゴリ:土屋隆夫
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長編二つ。
どちらの作品も、探偵役の千草検事とその足となり奔走する野本刑事の関係性が面白い。
「針の誘い」がサスペンス、トリック共に豊富でより好みである。



「赤の組曲」
息子の事故死、妻の疾走から語られる物語。
赤いネグリジェに赤い日記帳等、赤色の漂う事件を千草検事が捜査する。
事件は連続殺人へと発展を見せるが、犯人が誰で被害者が誰なのか、推理は二転三転する。
犯人と思われた者が殺害されたり、生死不明であったり、堅牢なアリバイがあったりとなかなか大変である。
使われたトリックは古くからあるトリックであるが、その扱い方が非常に巧みで効果をあげている。



「針の誘い」
女児の誘拐事件が起こった。
身代金を持って母親が指定された場所に行き、犯人の到着を待っていた。
結果、犯人は母親を殺し、身代金は捨て置いて逃走した。
子供は帰って来ない。
千草検事は推理の網を広げるが、どうも巧くいかない。
トリックがふんだんに使用された作品で、楽しかった。
誘拐のトリックを看破しても、殺人のトリックも解らなければいけなく、さらに両方が解って尚脅迫状発送のアリバイトリックが待ち構えているという三段構えで、千草検事の苦悩は大したものだ。
犯人は早い段階でおおよそ見当がつけられ、そう
なると殺人のトリックは読めた。
犯人設定は動機の強烈さも相まって優れている。
実際の誘拐事件についての言及も有り、そこも楽しめた。
著者のトリックメーカーとしての一面が色濃く出た作品と言えるだろう。






最終更新日  2018.10.03 09:53:53
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2018.08.24
カテゴリ:土屋隆夫
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残した著作は少なくとも、残した感動は多かった偉大な作家の、最高傑作との呼び声高い「危険な童話」である。
氏の作品は何を読んでも満足させられるのだが、こらは一際格別だった。
本格ミステリとして、実に濃厚な作品だ。
「影の告発」は既読である。
こちらも名作。

未亡人のピアノ講師宅で、亡夫の従兄弟が殺された。
第一発見者は未亡人で、発見後直ちに隣家へ行き、通報してもらった。
死因は刺殺であったが、凶器は見当たらない。
現場は路地のどん詰まりの家。
様々な要因から未亡人が犯人だと目されるも、どう考えても凶器を路地より外へ持ち出す時間的余裕は無い。
しかし、探せど探せど凶器は見付からず、物的証拠がどうしても手に入らない。
しかも未亡人を勾留中に差出人不明の投書が舞い込み、そこには犯人は未亡人ではなく自分だと記されている。
投書にある指紋の主を特定し調べるも、その男はそれを投函し得ない人物であり未亡人とも無関係なのであった。
そうこうしている内に未亡人は証拠不十分で釈放となり、第二の事件まで発生 してしまう。
謎だらけの事件を木曾刑事が執念の捜査で追う。

なんと贅沢な作品か。
トリックが天こ盛りである。
凶器の消失、投書執筆と投函した人物と方法、無関係の人物の指紋、第二の事件、動機。
読み進める内に謎はどんどんと解かれていくものの、どれだけの謎を解いても決め手とはならない。
一つの謎の看破即ち即解決とはならないのが面白い。
本格ミステリ読みとしてはこれだけトリックが満載だと、息も吐けなくなる。
特に投書投函の手段については良く練られている。

しかし、本書はただのトリック小説ではない。
土屋隆夫が土屋隆夫たる由縁が此処に有る。
抜群の物語性である。
本格ミステリを愛しつつも、人間を描く事を忘れなかった氏の真骨頂である。
物語に、人間に、奥行きがあるのだ。
これだけ本格ミステリとして優れていて尚、物語としての質も併せ持たせている技量に脱帽である。
ただトリックと物語性が両立しているのではない。
両方が密接に絡み合っているのだ。
氏が尋常でない作家である事が解る。

昨今既に鬼籍に入られている作家の再評価が目覚ましい。
チェスタトンの著作やクイーンの国名シリーズも続々と新訳が出て、カーの作品はマイナーなものも近頃よく復刻する。
河出文庫は戦前の国内作家をよく取り上げているし、泡坂妻夫作品は勢いが凄い。
ところが氏はというと、古本以外でその著作を見かけた事は、人生で一度も無い。
暗く地味な作風で、今の時代に広く読まれるものではないのかもしれないが、これだけの人物を忘れられた作家にしてしまうのはあまりにも勿体ない。
各出版社は是非ともこの偉大な作家を今一度取り上げて欲しい。
再評価の日が来るのを信じている。






最終更新日  2018.08.24 08:36:37
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2018.07.10
カテゴリ:土屋隆夫
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寡作な巨匠が齢九十にして最後に遺した作品。
最後の最後までこんな重厚な作品を書くその胆力に脱帽。
味わい深い作品である。

轢き逃げに関する考察、新本格派に対して見せつけるように書かれた開かれた密室、素晴らしかった。
しかし何と言っても本書の白眉は、史上稀に見る美しさをたたえた探偵役の姿を描く終章だろう。
著者が自身の美学である割り算を捨ててまで選んだ結末の形、荘厳だ。
類例の無い倒叙ミステリとなっている。
ミステリを疎かにせず、同時に人間を描く事も疎かにしなかったその姿勢に、思わず背筋が伸びる。

寡作なれど、何を読んでも面白い作家。
外れが無い作家の代表格であろう。
まだ読めていない作品はある。
氏が提供してくれる楽しみは続く。






最終更新日  2018.07.26 04:27:54
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2018.06.25
カテゴリ:土屋隆夫
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土屋隆夫推理小説集成の第八巻。
「穴の牙」「地図にない道」「深夜の法廷」の三作品が収められている。

「穴の牙」
主人公は穴、人生に忍び寄る陥穽である。
七つの短編で構成される連作集で、それぞれ真面目不真面目、善人悪人を問わず無情で虚しい結末を迎える。
北野武の「DOOLS」を想い出した。
七作共に抜群に面白く、印象深い作品である。
特に「第二話 穴の周辺ー堀口奈津の 場合」「第三話 穴の上下ー木曾伸子の場合」は良かった。
どうしようもない。

「地図にない道」
素晴らしい結末。
愛する夫の不可解な死の真相を探る為に奔走する妻。
夫には自分の知らない過去があった。
信州の山奥で明らかになる真相は残酷なものであった。
被害者は加害者で、加害者は被害者。
行為を一切描かずに、それでもこれ以上無い程にはっきりと行為を匂わせる著者の技量に驚嘆。
誰も彼もが虚しい。
とにかく素晴らしい結末に、喝采。

「深夜の法廷」
ー泣きぼくろの女ー
倒叙の傑作。
竹久夢二の女に似た主人公はか弱い容姿を持った、それでいて己を傷付けた者には徹底的に報復をする女だった。
女は賢い方法で三人に報復をする。
女の情念がひしひしと伝わってくる。
この作品で最も優れた部分は、この女が優しい性格である事だ。
母との仲は美しい。
そんな女が迷う事なく真っ直ぐに犯罪に走るのが良いのだ。
しかし犯罪は一つ犯せばそれで終わりはしない。
物語は本書の「穴の牙」にも通ずる展開をみせる。
待ち構える穴に向かって足を向ける事になるのだ。
ー半分になった男ー
精神分裂症の男が、躰の半分を墨汁で塗った縊死体となって発見された。
どう見ても自殺である。
事件の記憶も薄れた四年後、警察と新聞社宛てにある投書が送られてくる。
自殺か他殺か、真相を暴く手掛かりは実に練られたもので、言われて見れば何故疑問に思わなかったのか不思議で仕方ないようなものだ。
推理小説としては本書中で最も優れている。






最終更新日  2018.06.25 05:13:29
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2018.05.14
カテゴリ:土屋隆夫
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千草検事の活躍譚。
或る日、有名な評論家の背広と小指が発見された。
評論家は長野に人を訪ねて行ってから消息を絶っている。
小指には生体反応が無く死後切断と思われるが、肝心の死体と訪ねた相手が見つからない。
さらに世田谷の喫茶店で、男が「白い鴉」と言い残して死亡する事件も発生する。
二つの事件が絡み合い、一人の犯人像が浮かび上がるが、そこには鉄壁のアリバイがあった。

チャンドラー程ではないにしても少々物語が複雑で、もう少しすっきりしていたらと思う。
しかし何時読んでも氏の物語は悲しく優しい。

本作の眼目は何と言っても電話によるアリバイトリックで、非常に面白いものが使われている。
まさか落語から着想を得るとは、驚きだ。
しかもそれが私が初めてちゃんと聞いた噺によるものだったのと、噺自体が解り易い滑稽噺だったので思わず笑ってしまった。
最近、アリバイトリックが面白い。






最終更新日  2018.05.14 04:35:47
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2018.02.24
カテゴリ:土屋隆夫
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寡作な作家の第四長編で、第十六回日本推理作家協会賞の受賞作。
お馴染み千草泰輔検事が探偵役を務める。

物語はエレヴェーター内での殺人から始まる。
大変好みの雰囲気で、とても楽しい読書体験だった。
犯人はかなり早い段階で目星が付けられ、以降は千草検事達が鉄壁のアリバイを辛抱強く崩していく展開となる。
二つの殺人に二つのアリバイが用意されており、それぞれ写真と電話がアリバイを強硬にしているのだが、派手なトリックとは言えないものの盲点を突く巧いトリックだ。
千九百六十三年の発表という事を考えれば、アリバイ崩しの傑作と言っても良いだろう。
随所に盛り込まれた伏線もよく効いている。

動機もよく練られている。
所謂ホワイダニットというような作品ではないので意外性は無いが、殺人に至る原因が非常によく書き込まれており素晴らしい。
頁を捲る手を止めない上質な構成に脱帽である。

本格冬の時代に好事家達の渇きを潤した氏の代表作は、やはり相当な高水準なものであった。
本格ミステリを割り算であると主張した氏ならではの堅実さとトリッキーさ、本格ミステリは文学たると主張した氏ならではの良質な読み易い文体、満足。






最終更新日  2018.05.16 07:18:54
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2017.05.15
カテゴリ:土屋隆夫
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土屋隆夫の第一、第二長編が収録された一冊である。

「天狗の面」では山村で起きるカルト宗教に端を発する奇怪な連続殺人事件が描かれる。
登場人物達は皆如何にも古典探偵小説に出てきそうな者ばかりである。
犯人の意外性は無く、トリックも現代の目から見ると特筆為べきものではない。
しかしこの作品は面白い。
田舎の雰囲気は抜群で、カルト宗教の存在はどこかユーモラスで、衆人環視の中での殺人という謎の魅力・・・正に探偵小説だ。

これに比べて「天国は遠すぎる」は作風をガラリと変えている。
どこまでも現実的な街で起こる殺人事件に、どこまでも現実的な登場人物達が向き合うのだ。
探偵役は刑事。
靴と神経を磨り減らして事件に挑む。
所謂アリバイ崩しで、犯人は中盤あらかた見当がつく。
アリバイトリックそれ自体は特筆為べきものではないが、それが複数個用意されている事で、一つのアリバイが崩れても即事件の解決とはならないのが面白い。
また、死を誘う歌「天国は遠すぎる」の存在が作品に幻想味を添えている。

読み易く、且つ安くはない少し湿った文章で紡がれる犯罪譚は、優れた独自性を持ったものだ。
今ではなかなか手に入らない著者の作品だが、他も是非読みたい。






最終更新日  2018.05.16 07:17:47
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