000000 ランダム
 ホーム | 日記 | プロフィール 【フォローする】 【ログイン】

七代目ちぃのブログ

PR

X

全2件 (2件中 1-2件目)

1

夢野久作

2018.06.05
XML
カテゴリ:夢野久作
rblog-20180605031620-00.jpg





異端の作家夢野久作の長編。
都会の片隅に住まう通称「犬神博士」、又は「気狂い博士」。
その老人の幼少期が語られる。

物心付く前に非人夫婦に攫われて育ったチイは、毎日両親の演奏に沿って卑猥に踊り日銭を稼いでいた。
そんな或る日、九州は博多の街でチイの運命は一変する。
出会う人出会う人がチイを我が物にせんと求め様々な事件が起こる。
チイは度々常人離れした天才的言動を以て物語を勢い付けていく。
チイは本質を突く。
その一言一言に大人達は戦慄し、感動する。
そうして物語はチイにも制御出来ない程に乱れていく。
しかし全てはチイの存在によって起こる。
チイ即ち犬神博士は、現在では蔑ろにされる大切なものである。
言い換えれば神である。

大変に面白かった。
目まぐるしい展開、豊富なサスペンス、痛烈な社会批判、娯楽としても一流で純文学としても一流の稀有な作品。
久作は何を想ってこの作品を書いたのか。
著作を読む度に想うのだが、氏は本当に暖かい人間だ。






最終更新日  2018.07.26 04:28:46
コメント(0) | コメントを書く


2017.01.31
カテゴリ:夢野久作
rblog-20170131061226-00.jpg



日本ミステリ史上に惨然と輝きを放つ三大奇書というのがある。
小栗虫太郎による「黒死館殺人事件」、中井英夫による「虚無への供物」、そして夢野久作による「ドグラ・マグラ」だ。
「黒死館殺人事件」は以前に読んで、その主客の転倒する程の衒学性に驚倒させられた。
物語を飲み込むペダンティズムはさながら枝葉に支配された大樹のようであった。
「虚無への供物」はまだ未読だが、既に買ってあるので、来月か再来月には読めそうだ。

さて「ドグラ・マグラ」である。
著者は怪奇、猟奇の王者夢野久作。
氏の作品は「少女地獄」を筆頭に大変に好きであり、これまでにそこそこ読んできてある。
しかし、この最大の代表作は今漸く読む事となった。
「キチガイ地獄外道祭文」「脳髄は物を考えるところに非ず」「胎児の夢」等々・・・精神病、精神異常について十二分に書き込んだ傑作長編。
延々著者の考察や論文のようなものが続くかとも思われたが、後半にはなかなかどうして物語は躍動する。

物語は精神病棟で目を覚ました記憶を喪失した男を視点人物に幕を上げる。
様々な精神心理の話が為され、一つ一つは抜群に興味深い。
しかしこれは異常な内容なのか、極々正常を書いているのではないのか。
今は何時なのか。
此処は何処なのか。
己は誰なのか。
全編通じてこの本の裡に確信は一つも無い。

「これを読む者は精神に異常を来す」と誉れ高い一作。
読了した私は異常に陥ってしまったのだろうか。
そんな気はしない。
しかし、実は元々異常であったのではなかろうか。
そもそも正常とは何だ。
我々が異常だと思っている状態が正常で、正常だと思っている状態が異常である可能性を誰が否定出来るか。
もしかすると我々はまだ、正常というものを知らないのかもしれない。

耳をすまして時計の音を聴く。
あの音が聞こえはしまいか。

・・・・・・ブウウウーーンンーーンンン ・・・・・・・・・・・・。






最終更新日  2018.06.05 03:16:42
コメント(0) | コメントを書く

全2件 (2件中 1-2件目)

1


© Rakuten Group, Inc.