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七代目ちぃのブログ

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笠井潔

2018.12.30
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カテゴリ:笠井潔
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矢吹駆シリーズ第四作目。
文庫にして千百頁超の大作である。
本格ミステリとしての質の高さと哲学による思想対決に特徴のある大好きなシリーズだ。

本書ではマルティン・ハイデガーをモデルにしたマルティン・ハルバッハなる人物を登場させている。
二十世紀最大の哲学者と言われた程の偉人が何故ナチスに共鳴したのかを解き明かし、且つその思想を探偵矢吹と犯人を用いて否定させ、のみならずヒロインのナディアを用いて今度は判断材料として一部価値を見出している。
崇高な死の思想も無価値な大量虐殺を生み、それによって理想を崩されるというのが興味深い。
名前の有る死と名前の無い死、死に意味を与える密室の自殺性、ジークフリートの密室と竜の密室、面白い思想が山ほど出てくる。
それらの思想を経て最後にナディアが到達するのが実に明快で優しい答えなので、読後感も良い。

ミステリとしては二つの三重密室を扱っている。
富豪の邸で発生した事件と、三十年前の強制収容所で発生した事件である。
どちらも謎は魅力的なのだが、強制収容所の事件の方が面白く読めた。
二つの事件が密接に関わってくる為後半はずっと面白かったのだが。
それにしてもナチスの強制収容所というのは悍ましい。
知らなかった訳ではないが、尊厳を否定されるという事を巧く劇的に描いている。
事件の真相も抜群で、意外なものではあるが、それまでに執拗に書かれてきた哲学の部分が巧く効いていて説得力もある。
その情景を想像すれば、それは何とも異様な、ともすれば美しいと感じるようなトリックである。

平成最後の年末に、大きな作品を読んだ。






最終更新日  2018.12.30 08:11:09
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2018.10.18
カテゴリ:笠井潔
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矢吹駆シリーズ第三弾。
はらばらにした複数人の部位を結合させて、両性具有の肉人形を造るという猟奇殺人が扱われる。
バタイユの普遍経済学による聖なる悪と、駆の語る悪なる悪の哲学論は大変興味深かった。
手段の目的化は危ういものだ。

ミステリとしても本書も一級品であった。
不在証明の必要の無い人物が、何故不在証明を偽装しなければならなかったかという魅力的な謎。
駆の語る推理は論理的で読み応え充分である。
殺害方法を凝らしたアリバイトリックが出来が良く、ミスリードも巧く犯人は意外な人物となっている。
狂気と正気の融合によって起こる事件は、たった三百五十頁とは思えない程の読後感を残してくれた。






最終更新日  2018.10.18 07:03:58
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