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七代目ちぃのブログ

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横溝正史

2020.05.26
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カテゴリ:横溝正史







「蝶々殺人事件」
クロフツは樽に死体を詰め、鮎川はトランクに死体を詰めた。
果たして横溝正史はコントラバスのケースに死体を詰めたのだ。
戦後、探偵小説が許され本格推理の道を闊歩しだしてすぐに書かれた長編。
自身が病により空けた連載の穴を小栗虫太郎が「完全犯罪」で塞いでくれた恩を、急逝した小栗虫太郎の代役として今度は氏が本作で返した。
傑物と傑物による、傑作と傑作の交換である。

あまりに爽快なフーダニットに瞠目し、見事なアリバイトリックに唸らされる。
このフーダニットには殆どの読者が騙されるのではないか。
アリバイトリックにしても、第一の事件のものは登場人物の性格を利用した心理的トリックを巧く使っているし、第二の事件のものはとても面白い物理的トリックが使われている。
これぞ本格ミステリという傑作であり、金田一耕助ものでないといって後回しにしてはならない作品である。



「蜘蛛と百合」
正に戦後のスリラーといった作品。
解決編に意外性は無く、結局殺しの動機はよく解らない。
しかし結末は美しい。

「薔薇と鬱金香」
これまた通俗スリラーといった作品である。
乱歩のジュブナイルを思わせる犯人との対決や、現代では有り得ないトリック等、時代性がよく現れている。






最終更新日  2020.05.26 01:41:23
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2019.08.14
カテゴリ:横溝正史







氏の戦前の短編を集めた作品。
傑作選と銘打ってはいるが、やはりベストは同じく角川文庫から出されている「鬼火」だろう。
こちらは幾分軽かった。
しかしながら流石戦前の横溝文学の趣は好きだ。
最初の二作「山名耕作の不思議な生活」「川越雄作の不思議な旅館」などは最も軽い作品であるが、その謎を湛えた雰囲気は心地良かった。
「誘蛾燈」なんかも妖しい雰囲気と結末が良い。
「髑髏鬼」はまさに戦前のスリラーで、愉しい一編だ。
ベストを選ぶなら「青い外套を着た女」だろうか。
謎とロマンス、活劇味に明るい結末が愉しかった。






最終更新日  2019.08.14 07:59:24
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2018.12.06
カテゴリ:横溝正史
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金田一耕助ものの長編。
小さな島の一族、美しい娘、過去の惨劇、巻き起こる連続殺人・・・実にらしい作品である。
トリックよりも動機に重きを置いたフーダニットといった感じだ。
約二十年に渡る人間ドラマは読み応えがある。
結末での金田一耕助が見せる「解決しない事による気遣い」は美しい。






最終更新日  2018.12.06 07:54:54
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2018.08.07
カテゴリ:横溝正史
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戦後、日本ミステリ界に綺羅星の如く現れた名探偵金田一耕助の活躍譚、長編三作目。
著書が敬愛するカーの処女作と同じ題名である。
金田一耕助ものと言えば、主に岡山の閉鎖的な田舎を舞台に因習に塗れた陰惨な事件を描いたものと、都会を舞台に変態性欲や戦後社会を描いた事件のものがあるが、本書はその融合とも言える一作だ。

本書は氏が顔の無い屍体に拘っていた時期の作品で、単純な犯人と被害者の入れ替わりではない、古典的定番トリックの一段上の扱いが試みられている。
とは言え、叙述トリックは些かアンフェアである。
氏の熱意には脱帽ではあるが。
驚く事は保証出来る。

物語性は抜群で、「不連続殺人事件」に影響を受けたとの事であるが、露悪的な人物だらけにする事の使い方は巧い。
アンフェアである事を除けば構成も巧みで、総じて楽しい読書体験だったと言える。






最終更新日  2018.08.19 11:20:37
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2017.10.27
カテゴリ:横溝正史
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金田一耕助もので戦後十年頃の作品。
その頃の時代背景や倫理観等がよく解る。
題名から横溝式の陰惨で閉鎖的な田舎の事件かと思われるが、これは東京を舞台としたそれでも陰惨な、そして淫靡な、愛に燃える物語となっている。
金田一耕助は印象的な描かれ方をしているが、あまり登場しない。

抜群に面白く、また抜群に興奮した。
登場人物は美女に美少年に怪男子に醜女と、それらが血生臭く悪徳と淫乱の限りを尽くす。
特に視点人物である清廉な音禰が野獣に無理矢理に犯されて、その男の味に支配されていく様は凄まじい。
否定してやりたくとも味を占めた躰が疼き堪らない。
誰が敵かも解らぬ、否、誰もが敵だと思える状況で、幾日も監禁されながら躰を火照らせ野獣の助けを待つ音禰。
漸く脱出したと思ったすぐ後にまた別の男に捕らえられる。
豊穣なサスペンスとが目くるめくエロスが、頁を捲る手を止めさせない。
特に「女賊オトネ」と魅力的な章題で描かれる全身タイツで変装し悦楽の坩堝に潜り込む場面は、もしあれに興奮しない自分なら今すぐ男を切り落とされても構わないと思える程。
そんじょそこらのAVは目じゃない。

本格ミステリとしては大したトリックも無く評価するような作品でもないので、金田一耕助ものだからとそこに期待してはいけない。
しかしサスペンスとエロス溢れる冒険小説としては一級品である。
手に汗握り締める作品だ。
最高に楽しい読書体験だった。






最終更新日  2017.10.27 06:28:51
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2017.02.24
カテゴリ:横溝正史
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横溝正史の金田一耕助シリーズの中でも代表作とされる長編。

ヴァン・ダインの「僧正殺人事件」に触発され自身も見立て殺人を扱いたかったが、二番煎じの誹りを受けるを恐れて諦めていたところ、クリスティが「そして誰もいなくなった」で同じ事をやり評価されたのでそれならと書いたのが「獄門島」。
「獄門島」では実在する俳句を使って見立て殺人を為したが、ヴァン・ダインのような童謡殺人がどうしても書きたく悩んでいたところ「楢山節考」を読み、自身で適当な童謡を創作すれば良いのだと気付き書いたのがこの作品という事らしい。

所謂「岡山もの」で、閉鎖的な因習に塗れた田舎が舞台となっている。
私の中で岡山の印象が、吉備団子や美観地区を横溝正史が完全に上回った。

ド田舎で二大勢力があり、過去には凄惨な事件が起こっている。
そして没落した庄屋、全身赤痣だらけの美少女、連続する殺人、手毬唄に見立てられた奇妙な死体。
とにかく雰囲気抜群で実に楽しい読書体験だった。
古くからある使い古されたトリックを、これまた古くからある使い古されたトリックをちらつかせる事によって隠すミスディレクションはお見事。
横溝正史の真骨頂を見た。

そして読後、全身赤痣だらけの里子を抱き締めてやりたくなる。
どんな人よりも美しいといってやりたい。






最終更新日  2017.02.24 03:53:36
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