ジョルジュ・バタイユ「マダム・エドワルダ」
「マダム・エドワルダ」
何と惨めな作品か。
崇拝する神は愚か者だが、その愚か者を崇拝する男は果たして愚かか。
崇高と信じる己が、崇高なる憧れを安物に掠め取られる現実。
惨めさを慰めるのは、惨めさの上塗りと想像力しかない。
「死者」
死ぬ前の饗宴(狂宴)。
どれだけ乱れても恥をかいても死があるから安心という訳だ。
昔、エイズ患者が絶望して行きずりの相手と体を重ねて回ったという話があったが、それを思い出した。
「眼球譚」
倫理観は脆い。
それは全体の為のものだからだ。
人間は全体主義になりきれない為に倫理に刃向かう。
倫理的でない事には悍ましさと同時に美しさもあるから、刃向かう欲求を捨て去れない。
汚い事や酷い事は楽しい事である。
それは単に加虐趣味や被虐趣味といった事ではなく、人が人類として社会を形成するにあたって必要な要素なのかもしれない。
蜂や蟻には必要の無い要素。
「エロティシズムに関する逆説」
以下、気に入った文。
エロティシズムについてけっして真実を語ることはできない。
エロティシズムの描写には更新の可能性がない。
「エロティシズムと死の魅惑」
以下、気に入った文。
エロティシズムは禁制のうえに基礎づけられる。(でなければ)動物とおなじかたちでしかエロティックでありえず、そして私たちにとって本質的なものに到達することはできないでしょう。