青崎有吾「早朝始発の殺風景」
「早朝始発の殺風景」
ガラガラの始発電車に偶然乗り合わせた二人。
お互いが何故こんな時間に乗っているのかを推理する。
「メロンソーダ・ファクトリー」
ファミレスで学園祭のクラスTシャツのデザイン会議をする女子高生三人。
A案とB案どちらにするかという評決に於いて、明らかに優れたB案に二票入るが、一人だけが面白味の無いA案に票を投じる。
ミステリにはよく見られる定番の仕掛けだが、手掛かりが丁寧に描かれていて好印象だ。
「夢の国には観覧車がない」
後輩と二人っきりの観覧車。
偶然性に頼り過ぎてはいるが、論理が楽しめる話である。
「捨て猫と兄妹喧嘩」
これは読めすぎた。
兄の方も、妹の方も。
どう考えても他に無い結末。
「三月四日、午後二時半の密室」
面白い目の付け所だと思う。
現代を巧く活かした仕掛け。
ベストは手掛かりの示し方の優れていた「メロンソーダ・ファクトリー」か。