格闘漫画ベストバウト はじめの一歩
親父トレーニーが長年読み続けているマンガに、はじめの一歩があります。ボクシングを題材として連載は三十年を超えているベストセラーです。漫画では、主人公の一歩はボクサーを引退しトレーナーとして新たな道を歩み出しています。
最近は、昔の単行本を読み返すことも無かったのですが、たまたまランチを食べに入ったお店にずらっ単行本があり読んでいました。色々な試合があり、どれも思い入れがありますが、特にベテラン 武恵一との試合を見て不覚にも涙が出そうになりました。過去、名チャンピオン伊達英二との日本タイトルマッチに手を掛けていた元日本ランキング1位。不幸にも、一人息子の入院により試合を諦め家庭を守るも、退院した息子から思わぬ言葉を聞きます。強いチャンピオンとの試合から逃げたと。三十歳を超えて、最初で最後のタイトルマッチを奥さんと子供の前で闘います。昔、息子から言われた言葉を胸に。
ボクシング記者から試合前に取材を受けた際に、チャンピオンである一歩のハードパンチにどう対処するのかと問われます。武は答えます、チャンピオンのハードパンチから逃げるつもりは無いと、息子の前で逃げ場など用意していないと。試合は、一歩が1ラウンドにダウンを取るも、武の戦略、一歩のハードパンチを恐れぬ勇気、ベテランのテクニックによりギリギリの闘いとなります。ついに一歩が武のパンチで目尻から出血、武のベテランのテクニックで傷口を狙えばドクターストップにより武の勝利が目前となります。心の中で傷口を狙い長年の悲願であるチャンピオンベルトを手に入れようとする武、しかしその時に息子の言葉を思い出します。息子の前で正々堂々と戦うと覚悟を決めた武が、一歩の前に立ちはだかります。傷口を狙わない武に驚く一歩の仲間達。その時、一歩の先輩である鷹村が言います、傷口を狙わないのは武が男だからだと。
日本屈指のハードパンチャーである一歩と真っ向から打ち合う武、息子の声援を背に限界を超えた打たれ強さで一歩を窮地に追い込みます。打ち合いの中、誰もが終わったと思ったダウンからも立ち上がる武、しかし既に意識は無く、最後まで勇敢に闘いますが一歩のパンチの前に壮絶なKO負けを喫します。
試合が終わり最後に相応しい闘いだったとボクシングを引退すると決めた武に息子が言うのです、ボクシングを教えて欲しいと父親のようになりたいと。そう言った息子を武は力強く抱きしめます。
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