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December 3, 2008
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「木喰も いづくの果ての 行だおれ いぬかからすの ゑじきなりけり」
    短歌/仏像  木喰・作 



完全に健康な人にはわからないと思うけど、
どこかカラダの弱いところがある人は、健康って幸せだって思います。
私の妹も子供の頃ひどい喘息で、
何度も夜中に死にそうになって救急車で運ばれました。

病気を治すというのが人生最大の課題になって、
他のことなんて全部二の次です。
本人もそうだし、家族もそうです。
家族の誰も入院することがなかった年はとてもほっとするいい年です。

だから家族に一人も病気の人がいない家庭は幸せなはずです。
でもなぜか、そんなに恵まれているのに、
そういう人たちに限って文句ばっかりいうんですよね。

頭がいいとか悪いとか、出世するとかしないとか、
健康であれば、健康じゃなくても生きてるってことにくらべたら
どうでもいいじゃない?ってくらいのはなしです。
生きていたら、勉強すれば頭は良くなるし、一生懸命仕事をすれば出世します。
しなくても別にいいし。

クリスマスやお正月を病院で過ごす子供たちもたくさんいるんですよね。
治る子はまだいいけど、隣のベッドのお友達が急にいなくなっちゃったら、
大人は教えてくれないけど、子供心にもわかります。

それでも、家族が温かければ、たとえ病気でも
冷たい喧嘩ばかりの健康な家庭よりは
幸せだともいえるかもしれないですね。



話は変わるけど、会社を辞めて独立する時、
私は心配性なので、色々最悪のパターンていうのをシミュレーションしたんですよ。

最悪が、「新宿の目」の前で行き倒れるっていう状況(斬新でしょ^^;?)
でも、隣にマクドナルドがあったから、行き倒れる前にそこで働こう、
それよりデザイン事務所でバイトしよ、そのうち自分で仕事取ろ、
という結論に達して独立したのでした^^;結局楽天的

それくらい、道ばたで倒れて死ぬって恐ろしいと思っていたんだけど、
あるお坊さんの話を知ったんですよ。



木喰(もくじき)というお坊さんで、
全国に何千体もの素朴な木彫りの仏様や観音様と歌を残しています。
45歳くらいで木喰と名乗り始め、
60歳前に全国行脚を始めて、93歳でなくなるまで旅を続けました。

とても厳しい戒律で、お米やムギを食べては行けないのです。
それで落ちている木の実なんかを拾って食べるだけ、
着の身着のまま乞食のような格好です。

残した仏様はみんな素朴でやさしいまあるい感じのものばかりです。
そういう心になろうと修行していたからでしょうね。

「まるまると まるめまるめと わが心 まん丸丸く 丸くまん丸」

木喰2



その木喰の理想の人生の最後がこれなんです。

「木喰も いづくの果ての 行だおれ いぬかからすの ゑじきなりけり」

行き倒れてイヌかカラスの餌になりたい・・・って、
はっきり言って衝撃的でした。
私が恐ろしくってぜったい嫌だと思っていたことを、
人生最後の理想にしているって、どんな人なんだって。

でもこれを読んで、不思議と「ああ、怖いことじゃないんだ」って
なんだか思えたんですよね。
それは、この人の心の持ち方がそういう世界観を作っているからなんです。
条件や環境じゃなくって、それをどう感じるか、それが世界を決めているんですね。

「木喰の 心にとうとき白蓮花 我より外にたれがしるべき」


病気をしたら世の中が違って見えます。
社会人だと、同僚に蹴落とされる標的になることもありますし。
他人は冷たいなってちょっと心が寒くなったり。
だから身近な家族や恋人や友人が温かかったら、この人たちは特別な存在だと思うんです。

病気をして人生のちょっとした温かさや豊かさに気がつくようになるなら
それだけ幸せだと感じる機会が増えるから
トータルとしてはちょっとくらい病気をした方が幸せなのかもしれないですね。
幸せって本人が感じる心があってこそだと思うんですよ。


「わが心 にごせばにごる すめばすむ すむもにごるも 心なりけり」

木喰は93歳のとき旅先で消息を絶ちました。
同行していた甥に、どこで亡くなったか
誰にもしらせないように頼んだと言われています。
理想としていた通りの最後を自分で選んで、その通り全うされたようです。





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最終更新日  December 4, 2008 12:05:51 AM
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