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書くことの意味

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2004年04月25日
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 風邪で体が弱っていたのか、10時間近くも眠ってしまった。気が付いたら日が傾きかけていた。シャワーを浴びて外に出てみる。さわさわと涼しい風が吹いて、若葉が揺れている。

 書店で、今月出版された、北村薫の「朝霧」の文庫版を見つけた。落語の真打ち「円紫師匠」と「私」のシリーズ第五作目だ。前作「六の宮の姫君」が出版されたのが1992年。それ以来、ずっと次作を待ち続けていたのだが、見当たらなかった。本の後ろを見ると、ハードカバーが出版されたのは1998年4月。どうして気付かなかったのだろう。

 前作を読んだ時点では確か、まだ北村さんは覆面作家で、性別も年代も全く、分からなかった。このシリーズの主人公は女子大生の「私」で、一人称で書かれているものだから、最初は、作者も女性だろうか・・と思った。しかし、引用される本や落語、短歌、俳句、詩、漢詩などの範囲と量が半端ではない。しかも、作品同士の関連付けがまさに縦横無尽で、一体何者なのだろうと、何度も舌を巻いた。後に、国語の高校教師をしている男性の方だと分かって納得した。主人公の感情の揺れを丁寧に掬いながらも、あくまでも論理的に表現している。女性ではないかもしれない・・と感じていた。

 この本を見つけたのは、近所にある間口の小さな書店。今日、初めて立ち寄ったのだが、驚いた。明らかに、書店主の好みが濃厚に反映されている。入り口のすぐそばの一番目立つ書棚に、須賀敦子の作品がずらりと並んでいるのを見て、嬉しさがこみ上げた。こういう小さな書店で、こんなに大胆に品揃えをしている書棚を久しぶりに見たような気がする。日曜日の午後9時過ぎでもまだ、営業している。今度から、定期的に足を運んでみよう。こういうお店は、お客も一緒になって守りたいと思う。

 書店から歩いて数分の喫茶店に入って、一息に本を読んでしまった。手間隙かけて作ったご馳走を、あっという間に食べてしまった時のばつの悪さを思い出した。これだけ調べて書くのに、どれだけの時間をかけたことか。しかし、面白い作品というのは、一気に読んでしまうものなのだ。

 惰眠をむさぼって、面白い本を読んで過ごす。最高の休日になった。






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最終更新日  2004年04月25日 22時41分32秒
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