“布靴” 鍛練
安くて動きやすいので武術鍛練でも結構みんな履いている “布靴” です。いわゆる “現場作業靴” ですので、日本の作業服屋などで販売している靴に当たりますが(日本の品質とは比べられませんよ)これもメーカーによって実に品質が様々です。 今回購入したのは山東省の「興軍」というメーカーのもので、いままでで一番しっかりしていて、デザイン・裁断がとても実用的にできていた。(物によってはサイズがピッタリでもサイド・バックがわずかに低く 「スポッ」 と脱げてしまうし、高いと “くるぶし” がすりきれてしまう) 「150円だよ、本当さ。」 と言われたのでなんとなく「ムッ」とした顔をしたら、120円にまけてくれた。必ず両足試着してから購入しましょう。左右で大きさが違う事がありますよ。 さてこの “布靴” ですが、基本的に緩やかな武術(24式など)には問題ありませんが、陳式太極拳の様に低い姿勢を保つ、また激しい動作を要求する武術にとってはどちらかと言えば “上級者向き” です。 なぜなら “靴” 自体がただの “布” なのでとても柔らかいです。鍛練で培われた “功夫” がある程度備わっていないと(もちろん私も高くはありませんよ)、たとえば “震脚” をゆっくりやっても骨に直接ショックがつたわりますし、 “抓地” がしっかり身についていないと “靴” の安定感がありませんのですぐによろけてしまいます。また股関節・足首の強度としなやかさがないとすぐに横にめくれ上がってしまいます。 李老師がよく指導中に生徒を集めて注意しています。 李老師は 「鍛練で “功夫” が身についているのかどうかは “足” をみればすぐわかる。上半身が鍛え上げられていても、足・腰ができていないと意味がない。」 とよくおっしゃいます。 また 「陳照奎宗師」 が弟子や挑戦者の力量を測るのに “足” を中心に観察したというのはとても有名な話です。 この “布靴” を最初から履いて鍛練すれば、“皮靴・運動靴” では効果が表れにくい“足” の鍛練にはなりますが “悪い癖” が付いてしまう可能性があるのでしっかりした指導者がいない限り “初心者” にはあまりお勧めできません。 また長拳の様に飛び回る武術で使用するのは危ないと思います。