ザビ神父の証言

2011/03/20(日)21:19

原発事故を考える (5)

政治・経済・社会・文化(206)

原発事故を考える (5) こうして現在も、福島の原発危機は続いています。自衛隊員、消防士、警察機動隊員の皆さん、原子力発電所で働く東電の下請け企業の皆さん、そしてごく僅かの東電社員が皆さんの必至の努力が続けられています。こうした皆さんの努力を見守るしかないのが残念でなりません。 そして、もっと残念なのは、「原発は安全安心な施設だ。技術の粋を尽して、何重もの安全策を施している」と、国民に対して岸発の安全を売り込み、原発推進のプロパガンタを果たしてきた旧通産省(現経済産業省)や旧科学技術庁(現文部科学省)の官僚、東電幹部、そして原発推進派の学者の姿が、現場にないことです。 戦前の日本を破滅に導いた旧軍部は、世界と国民に対して、大きな罪を犯しましたし、卑怯者もおりました。しかし、上官の多くは部下を死なせた責任を回避することなく、部下と運命を共にする道を選びました。東電の幹部、特に原子力発電担当重役は、何も出来なくても、現場に張り付いて、現場で頑張っている皆さんと、共にあるべきではないでしょうか。それはチームの士気に、大きく関わるのではないでしょうか。 福島原発には、不運なこともありました。1号機は40年も前の施設です、原発の建設には、着工から営業発電の開始まで、4,5年はかかりますから、発電装置の発注は、運転開始に先立つ1965年前後です。当時の日本というか、当時の日立や東芝、三菱電機に原子力発電装置を製造する実力は、まだありません。設備は米国GEに発注され、日本とは仕様の異なる米国の電圧を使っていると思われるのです。 ですから、津波によって、何重にも施した安全対策が、すべてぶち破られた時、即ち全ての電源が使用不能となった時に、制御室から原発をコントロールする手立ては、全て失われてしまったのです。この点は、大前研一氏が既に主張しています。原子炉のある建屋ではなく、中央制御室のモニターで全てを監視するのですから、電源がなければ何も監視できません。確実なデータが得られないのは、このためでした。 そしてもう1点、これも大前氏が、その可能性を指摘していたのですが、津波によって東電の福島県内の変電所のいくつかが、破壊されてしまっていたことも、大きなダメージでした。この事実は、一昨日から報道されているように、現在福島第1原発に電力を引き込む作業がなされていますが、その作業は東電ではなく、東北電力の電力を借用する形で行なわれていることから、明らかになりました。 原発の発電装置を製造したGEは、9台の発電機を福島に送ると表明し、実際に行動を起こしています。このことは、日本標準の電圧仕様でない電源を持つ発電装置を据え付けたことと関連付けると良く理解できるように思います。 こうしている現在も、海水の注入は続けられていようです。今は、決死の覚悟で敷設した送電ケーブルを機器に接続する作業が続けられています。これで機器が作動するなら、暴走する原発を制御する可能性が、いくらか見えてくるのですが、そうなったとしても、その先に長い長い問題が山積みになっています。                                  続く

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