カテゴリ:航空・宇宙
先日、うちのHPを見てくださった方から、ジェット燃料についての質問がありました。
燃料の値段、燃費、ジェットヘリの排気ガスについてのことです。 で、素人なりに知っていることをメールに書いて返信したのですが、せっかく文章でまとめた知識ですよ。 このままお蔵入りさせるのはもったいない。 というわけで、こちらのブログでも紹介したいと思います。 以下、ジェット燃料についてのお話。 【航空機用ジェット燃料について】 現在、日本で使われているジェット燃料には、主に「JET A-1」と「JET B」の2つの種類があります。 「JET A-1」は灯油型(ケロシン系)と呼ばれ、常圧蒸留装置から分留された灯油留分を脱硫して製造されるもので、析出点が-50℃の標準的なジェット燃料です。 主に民間航空機で使用されています。 米軍のMIL-5624で規定された米軍規格の「JP-8」と、ほぼ同一のものとなっています。 これに対し「JET B」は広沸点範囲型(ワイドカット系)と呼ばれ、ナフサと灯油留分を混合して製造されます。 こちらは主に、日本の自衛隊機で使用されています。 米軍のMIL-5624で規定された米軍規格の「JP-4」と、同一のものです。 これらの規格は米国のASTM(American society for testing materials)のD-1655規格で規定されています。 日本での規格もこれをそのまま準拠した日本工業規格のJIS K 2209によって1号(Jet A-1)、2号(Jet A)、3号(Jet B)が規定されています。 (ちなみに「JET A」は1950年代から米国で使われていた古いタイプのケロシン系ジェット燃料であり、析出点が-40℃であることを除けばA-1とほぼ同じ性質です) ここからが本題です。 ではまず、燃料の価格。 ジェット燃料の値段は、当然のことながら原油価格に影響され、流動的です。 財務省貿易統計:灯油(含ジェット燃料油):輸出FOB価格:統計情報サービス 上記表によると、2010年10月現在では50円/リットルくらいですね。 自動車用のガソリンに比べ、安いと感じるのは、ジェット燃料にはガソリン税に相当する税金がかかっていないから。 ジェット燃料は、上にも書きましたがほぼ灯油。 ストーブに使う灯油も、ガソリンに比べたら安いでしょう? ちなみに航空機燃料税というものもあるが、これはガソリン税より安く(ガソリンには暫定税率があるから)、しかも国際線の場合は課税されないんですよ。 次は、燃費。 航空機の燃料消費量(燃費)は航空機の種類はもちろん、飛行時の重量、速度、高度、風向、風力などによって変わりますので、正確なところは実際に飛ばないと判らないわけですが、参考となる燃費は知りたい機体の燃料搭載量と最大航続距離で判るでしょう。 例えば、ジャンボジェット(747-400ER)は最大燃料搭載量が63,500ガロン (240,370リットル)、最大航続距離が14,205 kmなので燃費は約59m/リットルになります。 自動車に比べたら、ものすごく少ない感じるでしょ? でも、搭乗できる人数が違います。 ジャンボジェットが400人以上乗れるのに対し、普通乗用車は5人でですからね。 しかも、ジャンボには人数分のスーツケースが簡単に乗りますが、自動車の場合スーツケース5つを積むのは、まず無理でしょう。 だから、そんなに酷くないんですよ。 自動車用のガソリン代とジェット燃料には値段の差。 そしてスピードの違いがありますから、1人当りで考えれば、ある意味航空機の方がお得とも言えるかもしれません。 最後に排気ガス。 ジェットヘリの排気ガスということなので、燃料はジェット燃料です。 ジェットヘリと言う名前は通称で、実際にはターボシャフト・エンジンが搭載されています。 ジェットエンジンとターボシャフト・エンジンは、同じガスタービンエンジンの仲間。 ジェットエンジンが燃焼ガスを噴射する反動で推進するのに対し、ターボシャフトエンジンは燃焼ガスのエネルギーの大半をタービンを回すのに使用します。 そしてタービンに接続されたシャフトとギアボックスを介してローター(回転翼)を回し、発生する揚力で飛行するできるようになっています。 なので、排気ガスとしてはジェットエンジンと同じものになりますね。 排出ガスには、ジェット燃料の高温度燃焼に伴う水蒸気、CO2(二酸化炭素)、NOx(窒素酸化物)、HC(炭化水素)、CO(一酸化炭素)、SOx(硫黄酸化物)、Soots(スス)、金属粒子含まれます。 下記資料によると、一般的に、ジェット燃料1リットルが消費されると、約2.4kgの二酸化炭素が大気中に排出されるようです。 燃料報告書 (平成12年9月 環境庁温室効果ガス排出量算定方法検討会より) その他、成分の比率や排気ガスの総量などは門外漢のため判りません。 申し訳ない。 下記の資料が参考になると思うので、勉強してみてください。 発展する航空輸送と航空機の環境保全対策 (航空機等の機械工業動向調査事業の調査概要より -(財)航空機国際共同開発促進基金) ちなみに、航空用燃料は厳しい基準で仕様が決まっていますので、国内である限り粗悪ということは考えなくても良いかと思います。 あと、ヘリコプターの場合、ホバリング時も前進飛行時も燃料消費は基本変わらないから、排気ガスの量も変わらないと思いますよ。 【以上】 こんな感じです。 ちなみに、僕は単なる飛行機好きなだけであって専門家ではないので、この内容については参考程度に考えてくださいね。_(^^;)ゞ(提示している資料は、信頼しても大丈夫だとおもいますが・・・・・) ![]() ジェットエンジン 人気ブログランキングへ ![]() 航空機写真を中心とした個人サイトです(^.^) 是非一度、お立ち寄りください。<(_ _)> 宇宙開発関連の写真や、アラスカ旅行記もあります。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2010/10/09 09:16:14 PM
コメント(0) | コメントを書く
[航空・宇宙] カテゴリの最新記事
|
|