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テーマ:猫の病気と治療日記(273)
カテゴリ:猫ホスピス
車のエンジンルームで 暖を取っていた1匹の猫。 人の気配を感じたとき、 いつもなら逃げれたはず。 上手に逃げれていたはず。 きっと、この日は疲れて 深い眠りについていたのでしょうか… ばれないようエンジンルームで 身を潜めていたそのとき、 大きな音と共に、 右腕が飛ばされてしまったのです。 保健所からレスキュー要請があり、 保護家に連れて帰ったのは、 生粋の野良猫さんでした。 レスキューした日に振っていた冷たい雨。 この子は、何度冷たい雨に打たれて来たんだろう。 いつかこの子にとって、優しい雨に変われたら… 穏やかで優しい時間を過ごせますように… そんな色んな願いを込めて 「優雨」(ゆう)と名付けました。 威嚇が激しいのはもちろんの事、 近付くだけで、飛びかかる体勢に入る「優雨」。 「シャーッ!」を通り越した 「ガッ!」という力強い声。 なんとか人間に慣れて欲しい・・・ 好きになってくれなんて、 そんな贅沢は言わないから! 三段ケージの中で過ごす日々。 とうとう1年が超えてしまいました。 飢える事も暑さ寒さもない。 体は確かに守られている。 身の安全から守られている。 でも・・・ 優雨の尊重と尊厳は 「いのちのはうす保護家」にはなかった‥。 飼い殺し 生き地獄 自分のしている事に、罪悪感を抱き続けましたが… ボランティアさん達は、決して諦めませんでした。 少しずつ少しずつ、優雨に伝えてくれました。 「大丈夫。人間は怖くないんだよ」 ボランティアさん達は、 手を傷だらけにしながら、 優雨との距離を縮めていきました。 レスキューから1年半。 特定の人間には心を開いてくれるようになり、 優雨のケージ生活は、 終わりを迎える事が出来ました。 猫も苦手な優雨だったけど、 特定の仔には心を許せるようになりました。 猫と戯れる優雨。 キャットタワーの上を陣取る優雨。 やっと…やっと! 冷たい雨が、優しい雨へと変わったのです! 良かった・・・ 1年半、ボランティアさん達も、 優雨も本当に頑張りました! 2018年1月末に完成する 「ハンデのある猫達の保護猫カフェ」 まだ人見知りさんの優雨は、様子を見てから カフェデビューも有りだなと、 楽しみにしていた矢先・・・ 「腎不全末期」 余命半年・・・そう宣告を受けました。 こんなに元気なのに? こんなに毛がツヤツヤなのに? 優雨は、大部屋(現・オレンジルーム)に 二度と帰れなくなりました。 最期を迎える部屋… 「猫ホスピスルーム」の住猫になりました。 優雨をレスキューした5年前、 体に触れさせてくれる日が来るなんて、 想像することすら私には出来なかった。 5年前、私はこう願いました。 「恐怖心だけでもなくなって欲しい。 好きになってくれなんて、 そこまでの贅沢は言わないから!」 優雨が生きて来た長い猫生の中で、 人間からどんなに怖い目に合わされてきたのか、 優雨の心が物語っていたから…。 だからこその願いでした。 好きになって欲しいなんて、 高望みだと諦めていたのに・・・ 喉をゴロゴロ鳴らしながら、 甘えに寄ってくる優雨。 ブラッシングが大好きで、 「母ちゃん、あたまあたま!あたまをして!」 いつも頭を差し出してくる優雨。 優雨は、1日置きに点滴をしていました。 点滴針を刺すときも、動揺することなく ケロッとしてる優雨。 逆に、この点滴の時間が、 優雨はとても好きだったのです。 そこには、胸が痛む切ない理由がありました。 「いのちのはうす保護家」は、慢性人手不足。 なのに、介助が必要な犬猫が沢山居ます。 バタバタと作業に追われてる日々なので、 なかなか優雨だけに時間を取る事が出来ないんです。 点滴を入れ終わるまで、 優雨を安静にさせてないといけないので、 スタッフがずっと優雨の身体に集中しながら、 体を優しく触れながら、声をかけながら・・・ 優雨だけを見つめる。 それが点滴の時間なんです。 スタッフ薫にお尻をスリスリ寄せて甘える優雨。 「薫しゃん、私の事見てる?私頑張ってるでしょう?」 何度もスタッフ薫の顔を確認します。 「ねぇ…本当に死んじゃうと? 優雨、居なくなると?」 私の中では、優雨との別れすら想像できませんでした。 だって・・・ レスキューした日から1年半後に、 やっと優雨に触れても良いよって許可を貰えて、 1年半後にやっと聴けた優雨の喉の音。 あの1年半の葛藤の日々。 その後、 優雨からもらった3年半という優しい時間。 その思い出が強すぎて、 「別れ」まで想像できんよ・・・ 無理だよ・・・ 優雨は、いつも守ってくれてたよね? 末期だと言われた子達に、 いつも優しく寄り添ってくれてたよね? コッシーの時も・・・ ニコの時も・・・ いつも一緒にホスピスの仕事してくれてたもんね? だけど・・・ ここで、この日を境に、 私は、自ら退く道を選びました。 私の役目はもう終わったのです。 次に私が進むべき道は・・・ ※後半に続きます。
口座名義:動物たちの未来のために 代表山下 由美 いのちのはうす保護家 090-4484-5165(担当フジイ)
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最終更新日
2018年10月17日 14時54分33秒
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