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2018年10月30日
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カテゴリ:猫ホスピス
​​
ニコとの出会いは、
「愛護センター」が出来る5年前、
2012年の6月でした。



宮崎市保健所の裏にある
物置部屋のような「保護室」で。



このときのニコは、まだ生後三週間位。

本来は、子猫は譲渡の可能性もあったのですが、
ニコは「AIDS陽性」のため、
譲渡の道はほぼ閉ざされていたので、
レスキューを決意しました。



こんな小さな体で、ニコはとても狂暴でした。

シャーシャーと声で威嚇する事は
ありませんでしたが、
手を出すと、思いっきり爪を立て、
両手でグッと腕を掴み、唸り、咬む。

無言の攻撃を繰り返す仔でした。



性格が落ち着くまではと、
私の自宅に連れて帰り、
心のリハビリスタートでした。



半年後、いよいよ「いのちのはうす保護家」へ。

先ずは、私以外の人間にも慣れてもらうため、
色んな段階を経て、やっと「AIDSっ子部屋」に
お引越しする事が出来ました。



成長する度に、貫禄が出てくるニコ。



強面へと成長していきましたが、
性格は穏やかになり、
抱っこしても反撃する事も
なくなっていきました。



ただ、人間とは一定の距離を置くニコ。

私達スタッフもボランティアさん達も
みんなニコの性格を把握し、
尊重するようになりました。



「ニコのペースに合わせる」
みんながそれを守ってくれたからこそ、
ニコから信頼を得る事が出来たのです。



それを忘れると、
大魔神のような形相で怒られますがね(^^;

​ニコが保護家に来て6年目の8月…​
​ニコの異変に気付きました。​

原因が分からず検査入院。
某検査機関にて「​悪性所見なし」
​簡単に言えば「ま、心配する事はないでしょう」の​
検査結果が戻ってきたのです。

「その結果に納得できない…
とことん調べさせてくれないだろうか?」

かかりつけの先生は、
私に相談してきました。

先生は、ご自身の経験と直感を信じていたのです。
​「そんなはずはない!」​
・・・と。



本来ならば、私自身、精密な検査結果を
信じるところでしょう。

だけど、
先生の直感と、先生が抱いてた違和感の方を、
私は迷わず信じました。

連れて帰りたい…
そんな気持ちを抑えて、
ニコを先生に託しました。

更に精密な検査をした結果・・・




​コロナウィルス​(コロナ自体は怖くも珍しくもない)​を持ってて、​
​突然変異でFIPになっていました。
やはり、先生の経験と直感は当たっていたのです!

FIPの診断はとても難しく、
FIPは誤診がとても多いそうです。

「FIPが完治した」とネット上で見る事もありますが、
元々、FIPに似た症状だったという事も考えられます。

生存率1%・・・ほぼ完治はないんです。

FIPと断言できるようになったのも、
医学の進歩なんだな・・・と感じました。



ニコは、看取りに入りました。

日に日に衰弱していくニコ・・・。



それでも、フラフラしながら甘えに来る。

私からひと時も離れたくないかのように。

あんなに「ツンデレ」だったニコが・・・



「母ちゃん、ずっと一緒に居ようね」って…。
体に触れる事で落ち着ける様子でした。



私がニコから感じたのは・・・

「誰にも会いたくない」

というものでした。



「ニコ・・・あんたは残酷な事言うね。
あんたは会いたくなくてもね、
あんたに会いたい人は沢山いるんだよ?」

私は、ボランティアさん達を傷つけると思ったし、
みんなからどんな事思われても良い。
嫌われても良い。

ニコの気持ちを尊重する道を選びました。

そして・・・

毎日書いて、グループLineに流している
業務日誌にこう書きました。



みんなにごめんね・・・
という気持ちでニコの状態と
ニコの気持ちを正直に書きました。



自分が憎まれる覚悟で書いたけど、
うちのボランティアさん誰一人、
そんな人は居ませんでした。

仲間皆がニコの気持ちを尊重してくれたのです。
やはり、保護家メンバーは凄いんだな…と、
ボランティアさん達にありがとう…
という気持ちで胸がいっぱいになりました。

スタッフ藤井、薫、美代子、麻美、私、
ニコ・・・そしてカムカム(私の相棒)、
みんなが一致団結して、ニコを見守り続けました。



日中は、スタッフと交代制でニコの側に寄り添いました。
痙攣の間隔が短くなり、瞳孔が開く事も多くなりました。



私は・・・

眠る事に恐怖心を感じていました。
もし、寝てる間に痙攣起こしたらどうしよう…
もし、寝てる間に死んでたらどうしよう…

自分の最期の時は、自分で選ぶだろうと
分かってはいながらも、
そこだけは、ニコを尊重する事を拒否しました。

「ニコが息を引き取る瞬間一緒に居させて」
・・・と。



夜は、ニコを膝に乗せたまま
座って睡眠をとるようにしました。

少しの異変にも気付けるようにと…。
熟睡するのが怖かったんです。

視力が0.01なので、直ぐに動けるよう
眼鏡もかけたまま。



この数分後・・・
ニコは永眠しました。

スタッフが出勤する時間を待っていたかのように、
スタッフが揃った時に、最期を迎えました。

やはり・・・

ニコは、自分の最期の時を選んだんだね。



亡くなる前日、太陽の陽を浴びました。

ニコは、朦朧とした意識の中、
スタッフ麻美の目をジッと見つめ続けました。

スタッフ麻美にお礼を告げているような、
そんな意味のある目をしていました。



ニコには分かってたんでしょうね。

最後の夕陽だという事を・・・。











ニコは、今年の8月にカムカムと再会した時、
カムカムの目線の先に何度も何度も
移動しながら、懸命に甘えていました。

この二人が再会するのは5年ぶり。
5年間も会っていなかったのに、
ニコは、カムカムを覚えていたんです。


カムカムの方は、ニコの事を忘れている様子で、
あまりにしつこくて、唸ってましたが、
ニコはそれでもお構いなしに、ゴロゴロスリスリ。



ニコが衰弱していくと同時に、
カムカムは、ニコをずっと見守ってくれていました。



二人の間でどんな会話があったのか、
私が知ることは出来ませんでしたが、

「ニコはカムカムに守られてる」
それだけは感じる事が出来ました。



人間が邪魔で、ニコの姿が見えないときには、
覗き込むようにニコの姿を確認していました。



ニコは、最期のあの苦しい期間、
苦しみよりも、見守られてる心地良さの方が
勝っていたのかなと思いました。



レスキューした半年間、
不安や恐怖心や苛立ちを抱えながら
私の自宅で心のケアをしてきたニコ。



生後三週間から半年間、
そんなときに、心の支えになってたのが、
きっとカムカムだったのでしょう…

きっと、子猫の頃の記憶が
ずっと残っていたのでしょう…



ニコは生前、カムカムと同じ仕事を
受け継いでいたのです…。
自分がしてもらった事を、今度は自分が、
「ミト」という猫に・・・。

この続きは後程書きたいと思います。



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最終更新日  2018年10月30日 15時37分37秒
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