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カテゴリ:猫ホスピス
今から6年前、2013年4月、 「弱ってたから病院で診てもろた。 AIDS陽性やった。もう飼えない」 日南保健所に、 飼主から持ち込まれた1匹の猫。 殺処分の日も決まっていた。 ![]() 申し訳ないが、 2013年の時代では 「良くある話」だった。 申し訳ないが、 2013年の時代では 助けられない命の方が 遥かに多かった。 殺処分される猫エイズの仔も 「そっか~…」 その一言だけで、 自分の中で終る予定だった。 だけど・・・ その日は一晩中、 猫エイズの仔が頭から離れなかった。 だから、 翌日には日南保健所に来ていた。 眼球、耳、首、 とにかく体中ボロボロのキジ猫だった。 日南保健所の獣医師さんから そう告げられた。 ![]() 保護家に連れて来た瞬間、 生気を取り戻した! これこそが、 保護家に来る猫達の 「良い裏切り」だった。 ![]() 命名「キー」 キーは、保護家で6年過ごしたが、 安泰な6年間ではなかった。 ![]() 何度も危険な状態を経験しながらも、 いつも乗り越え、復活を遂げる猫! ![]() それが「不死身のキー」だった。 ![]() 「いのちのはうす保護家」に来る仔達は、 五体満足の仔、健康体の仔はゼロに等しい。 1匹1匹に莫大な医療費を要する。 そのため、施設の改装は後回しとなり、 多くの猫たちが、陽も当たらない狭い部屋で 生きていくしか方法がなかった。 キーも、その1匹だった。 ![]() そんな中、 いのちのはうす保護家は、 大きな転機を迎えた。 ![]() 2018年2月、 全国の支援者様のお力添えで、 「ハンデのある猫達の保護猫カフェ」が 施設の一角に誕生した。 ![]() 「キー、待たせてごめんね!」 5年もの時間を 薄暗い部屋で頑張ってきたキーは、 ハンデのある保護猫カフェ エイズっ子のお部屋 「ラムネルーム」にデビュー。 ![]() 陽光を浴びるキーの体を見たとき 表現できないほどの気持ちになった。 ![]() それなのに・・・ 1ヶ月も経たないうちに この陽の当たる部屋から、 退去しなければならなくなった。 キーが次に移動した部屋は… ![]() 「猫ホスピス部屋」 何度も死の淵から生還したキーは、 「不死身のキー」 皆からそう言われる位、 生命力の強い猫だった。 だけどもう・・ 本当の最期かもしれない。 ![]() 「猫ホスピス」ルームメイトは、 次々と最期の時を迎えていた。 その一方、キーは・・・ ![]() あっという間に1年が過ぎ… 「猫ホスピスルーム」長老になっていた。 ![]() キーには「死」を察知する能力があった。 死の数日前から、 体内で何らかの変化が 起きてるのかもしれない。 キーは、それを嗅覚で感じ取ってたような気がする。 ![]() 死が近い仔を、ジーっと見続けるのだ。 怖くなり視界を防いでも防いでも、 見える場所に移動して またジーッと見続けるキーだった。 「次はこの仔か・・・」 キーの予知能力は、いつも当たっていた。 ![]() そんなキーにも 限界の時が近づいてきた。 ![]() 保護家に6年もいたのに、 1対1で向き合った時間すらなかった。 今更だけど、6年分の穴を塞ぎたくて 毎晩キーと向き合い続ける日々。 ある時…ふと、確信した。 「キーに残された時間は2~3日だ!」 ![]() キーがそう言ってた…ではないと思う。 自分では気付かない程の 潜在意識にある僅かな嗅覚が 「死」直前のニオイを察知したのだろう。 それはまさしく・・・ 死を察知し続けてたキーと同じだった。 ![]() あと2~3日か… キーが望んでいることを全部叶えさせるための 準備期間だな~と思った。 そうして・・・ 静かにゆっくり下っていく過程を選んだ。 自然に逆らうことなく… ![]() ボランティアさん達に連絡を入れた。 「もう直ぐお別れになると思いますので、 お互い悔いが残らないように…」 ![]() 多くのボランティアさん達は、 その日の夜、駆けつけてくれた。 「キー…あんたは皆に愛されてたんやね」 ![]() キーの身体は限界を超えていたと思う。 体を起こすどころか、 顔を起こすだけでも キツい状態だったと思う。 ましてや歩く体力など 残されてるはずもない! それなのにキーは… ![]() ボランティアさん達が帰る際、 ベットから飛び降り、 玄関先までお見送りに向かっていた。 これ以上体力を消耗させてはいけない! 止めに入ろうとしたが、 私の体は動かなかった。 それは・・・ キー自身が望んでる事だから。 ![]() おそらく、キー自身も気付いてた。 この人と会うのはこれが最後だという事を… だから、 「ありがとう」を伝えているのだろうと。 「かわいそう」というのは、 私自身の感情であり、 キーがどうしたいか… それだけを尊重しなければいけなかった。 ![]() フラフラになりながらも 「ありがとうね」と、 お見送りするキーの姿に 私達は涙した…。 翌日、無事に朝を迎えたキー。 ![]() スタッフ美代子から 撫でられているキーを見て 「あっ!そういうことねっ!」 頭の霧が晴れたような感覚だった。 キーが一番心を寄せていた人は、 スタッフ美代子だった! ![]() スタッフ美代子とキーの歴史は、 たったの9ヶ月だった。 私とキーの歴史は6年なのに… 一番キーと寄り添っていた スタッフ麻美も3年なのに… 「なぜ私たちじゃないの?」 普通ならばこう思うだろう。 ![]() だけど、私とスタッフ麻美も 疑問を抱かなかった。 「大切なのは時間ではない。 その仔に費やした内容でもない。 お互いに求め合ってた何かが、 とても深いものだったんだろうね。 何かが繋がり合ったんだろうね。」 私とスタッフ麻美は同じ思いだった。 ならば、私たちは二人に従うだけだと…。 ![]() 翌日、キーが痙攣を起こした。 何度も何度も…。 ![]() 「キー!早く楽になって!」 それでもキーは何度も息を吹き返す。 「キー!もう還って来るな!」 思わず口にしてた自分がいた。 もう苦しまないで欲しい! 早く逝って欲しい! この日、どれ位の時間、 スタッフ美代子の腕の中にいただろうか… ![]() 昏睡状態に入ってたキーは、 外から自分の姿を見てたと思う。 スタッフ美代子に抱かれてる自分の姿を… この日の夜、私とキーは、 いつもと変わらない時間を過ごした。 1分1秒を大切に過ごした。 だって、 明日は来ないから…。 ![]() 「キー、もう思い残す事はないやろ? 美代子さんとあんたは、 何が繋がってたと?どんな絆があったと?」 22:00を少し回った頃、 そろそろお別れかな…と感じた。 このときの私は、とても冷静だった。 キーの側に居るのは私だけど、 看取るのは私じゃないと思い、 スタッフグループLINEに電話した。 「キーがあと数分で逝くと思う! 最期にキーの名前呼んでやって! 昏睡状態やけど、耳は聞こえてると思う!」 ![]() スマホのモニター画面に映るキーに向かい、 約6分間、スタッフ美代子中心に キーに声をかけ続けた。 3人の声は、キーに届いてたと思う。 しっかり聴こえてたと思う。 22:16 通話終了 それは、キーが永眠した時間だった。 モニター越しに映る皆の顔は 涙が流れていたけど、 安堵した表情だった。 「苦しみから解放されて良かったね」 皆が同じ気持ちだった。 ![]() キーは、とても優しい子だった。 どんな新入りさんにも優しかった。 争うことが嫌いな子だった。 「シャーッ!」「ウゥ~」 という威嚇声を、 キーの口から一度も聞いたことがない。 そんな平和主義者のキーなのに、 飼い主は、キーを頻繁に外に出していた。 それがとても怖かったということも、 猫からしょっちゅうケンカ売られたことも、 争いたくなかったけど、 自分の身を守るために戦い続けたことも、 衰弱していたのは、 ケンカが原因だったことも、 いのちのはうす保護家に来て元気になれたのは、 外に出されないことに気付いたからいうことも、 最期に・・・ 美代子さんと繋がり合えたことの喜びも… ![]() キーが語ってくれた。 ・・・ような気がしただけ! ![]() 美代子さんは、最期までずっと… キーを見送っていた。 ![]() キー、ごめんね・・・ やっとあんたのことを書けたよ! 4ヶ月もかかってごめんね。 そして・・・ ![]() 沢山の優しさと癒しを ありがとう! ![]() ▼宮崎銀行 加納支店 普通口座104601 動物たちの未来のために代表山下 由美 ▼郵便貯金 17310-434961 口座名義:イノチノハウスホゴヤ ▼〒880-1222 宮崎県東諸県郡大字国富町八代北俣2581 いのちのはうす保護家 090-4484-5165(9:30~22:00 担当フジイ) ▼「いのちのはうす保護家」HP ▼「ハンデのある猫達の保護猫カフェ HOGOYA」HP ▼「いのちのはうす保護家」公式ブログ ▼「いのちのはうす保護家」Facebook ▼保護猫カフェ「HOGOYA」Facebook ▼山下由美代表Facebook ▼犬猫介護アドバイザー &犬猫看取りコミュニケーターInstagram ▼保護猫カフェ「HOGOYA」Instagram お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2019年07月23日 00時18分17秒
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