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カテゴリ:老犬ホスピス
愛護センターで出会った 「ワカコ」という老犬。 ![]() 当時、私はこう思った。 ![]() 冷暖房完備だし、 自分だけのスペースもあるし、 飢えはないし、 優しい職員さんがついてくれてる。 だから、ワカコは幸せなんだよ!…と。 ![]() 「資金がないからレスキューを 躊躇してるだけやろ?」 「罪悪感を拭うために正当化すんな!」
もう一人の私(本心)が、 自分を叱りとがめた。 ![]() 愛護センター譲渡不可の犬たちは、 すぐには殺処分にならない。 だけど、死刑囚と同じだ。 いつ、その日がくるか分からない。 収容頭数をオーバーしたり、 様々な理由で殺処分となった犬を 私は知っていたはず。 ![]() もし、生き続けられたとしても、 もう二度と… 土の上を歩くことはできない! 草木に触れることもできない! 壁に囲まれ生きていく。 死ぬまでずっと…。 ![]() ワカコが収容されて3ヶ月間、 愛護センター職員誰一人として 「殺処分」の声をあげなかったそう…。 ![]() ひとつだけ… 職員さんに確認した。 「ワカコは、いのちのはうす保護家が 幸せに生きれる場所だと思いますか?」 ・・・・・ 愛護センターのように、 1匹だけでの保護は不可能だし、 多頭飼育の環境は、 逆にストレスを抱えさせてしまうのでは? その思いだけが拭いきれなかったから。 ![]() 「いいえ…保護家さんで過ごす時間は、 ワカコにとって幸せです」 この一言で、救われた感じがした。 この一言で、不安が自信に変われた気がした。 ・・・・・ 当時、いのちのはうす保護家は、 今までにない資金難に苦しんでた。 これまで赤字補填してた私の預金通帳も、 数字が消えた旨を、スタッフに伝えた。 そんな現状でのレスキューは、 スタッフも怖かったはずなのに… レスキューの反対を、誰もしなかった。 むしろ、夜遅くまで施設に残り、 笑顔でワカコの到着を待っていた。 ![]() 私同様、責任を背負ってる副代表は、 不安な顔を一切出さず、 ![]() 緊張してるワカコに、 「心配することは何もないからね」 初めましてのキス。 ![]() 「介護部屋」(実際は部屋が足りず廊下)が ワカコの新しいお部屋になった。 みんなからいっぱい手をかけてもらった。 ![]() 「土の上を歩かせたい!」 ワカコと私たちの念願叶った日! ![]() 3ヶ月ぶりの大地! 3ヶ月ぶりの木々の匂い! ワカコのワクワクが伝わるようだった。 ![]() 捕獲当初のワカコは、 ノミダニだらけの酷い状態だった…。 表情も無く、生きる気力を 失くしたかのようで、 立ち上がることすらなかった…。 愛護センター職員さんが そう教えてくれた。 ![]() それなのに、ワカコは、 人間が大好きだった。 人間を疑う気持ちを これっぽっちも持っていなかった。 それは… ![]() 飼い主から受けた愛情を ハッキリ覚えていたから…。 ![]() ワカコを見てると、 18年前の映画「AI」とかぶってしまう。 ![]() 継母(飼主)を永遠に愛すよう作られた 子供型AIロボットは、 継母(飼主)から酷い仕打ちを受けても、 必ずまた、継母(飼主)から愛してもらえると… そんな日が来ると信じ続けた。 …そんな映画のストーリーと、 ワカコから伝わる感情が、 奇しくも同じものだった。 ![]() 飼い主の身勝手な愛情は、 ワカコの心をズタズタにした。 一番信頼してる大好きな人から 何年も背を向けられる日々… どんなに悲しかったことか、 どんなに苦しかったことか、 どんなに淋しかっただろうか…。 ![]() 私たちは、 笑顔のワカコしか知らない。 ひょうひょうと楽しそうに歩く ワカコしか知らない。 だからこそ…胸が痛んだ。 笑顔に奥にある背景を知ってたから。 「もっと早く出会いたかった」 いっぱいいっぱい苦しむ前のワカコと…。 ![]() こんな言葉を出すのは悔しいけど、 飼い主には「ありがとう」の気持ちもある。 だって… ワカコは本当に良い子だから。 ワカコは「愛」を知ってる子だから。 ![]() 介助が必要となった老犬は 「老犬ホスピス部屋」から「介護部屋」に 次々移動してくる。 老犬の徘徊で体を踏まれようが、 夜鳴でうるさかろうが、 ワカコは文句も言わず、 イライラしてる様子もなかった。 どんな老犬も優しく受け入れる… それがワカコだったのに… ![]() 急にゴハンを食べなくなり、 水も拒否するようになった。 これが、 死期が近い…というサイン。 ![]() いつも不思議に感じる。 「頭」は食べ物や水分を欲しているのに、 そんな目をしてるのに、 「体」がストップをかけてるよう見える。 「口に入れるな!」…と。 それには、深い理由があった。 体内を空っぽにすることにより、 苦しみのない死を迎えられることを 体が潜在的に知ってるから…。 ・・・・・ 食べれない、飲めないとき、 点滴を入れる? シリンジで流し込む? …何もしない? 見極める目と判断能力が試される。 絶対に間違ってはいけないと、 体がガタガタ震えだす。 ![]() 当施設には「業務日誌」がある。 11/6 19:00 ~ 翌朝7:00の日誌に 書きなぐってた(誤字もあり)記録。 私は…信じた。 自分の見極めた目と判断能力を…。 そして… 11/6 19:40 決断を出した。 点滴、流動食、水分、 全てストップするという決断を…。 ![]() ゛ワカコを苦しめたくない…゛ ゛最期の時は穏やかであって欲しい…゛ それだけしか頭になかった。 ワカコは、ずっと目を開けたまま おだやかな呼吸をくり返してた。 ![]() ・・・AM 3:50・・・ 一声も発することなく、 体が痙攣することなく、 ワカコの心音が止まった。 ゆっくり、ゆっくりと… ![]() あらためて感じた。 「自然死」とは… 優しい時間の中に 存在するものだということを。 ![]() 仲良しだったパンの後を追うように 旅立ったワカコ…。 パンとワカコは、再会できたのかな…? ![]() 亡くなった24時間は、 お線香の煙が灯りとなり、 暗い道を照らし道案内すると 誰かに聞きました。 ![]() ワカコは、ひょうひょうしてるから 道に迷ってないかと、 それだけが気がかりです。 次こそ、幸せにならんといかんのだから…。 早く生まれ変わらんといかんのだから…。 ![]() あんなにギュウギュウ詰めだった 「介護部屋」は… ![]() ラン、ひとりぼっちになりました… ・・・・・ 今だから話せることですが… 会の運営資金が18,000円になり、 無職(名ばかりの専業主婦)の私には、 短期集中で出稼ぎに行くことしかできないと、 某県に2ヶ月間…まさに向かう直前でした。 「ゆみさんが2ヶ月も保護家を離れたら 誰が犬猫たちの異変に気付けると!」 「群れのリーダーが2ヶ月もおらんなったら 群れの流れが変わってしまう!」 スタッフから猛反対を受けましたが、 私の決心は揺るぎませんでした。 施設を守るためには、 そうするしかないんだと…。 そんな頑固な私を、引きとめきれたのが、 パンでした…。 ![]() 私が保護家を旅立つ日の夜、 パンが何度も痙攣を起こしたのです。 当時は偶然だと思ってたけど、 パンが選んだ最終章を 目の当たりにした私は、 あの日、あの時間に倒れたパンは 決して偶然ではなかったんだと 三ヶ月経った今、 ようやく気付いたんです。 ![]() 何があっても私は、 保護家から離れてはいけないのだと 教えてくれたのは、パンでした。 そして… ![]() 資金難で決心がつかず、 レスキューが遅れたばっかりに 手を差し伸べられなかった「命」。 この子がいたから、 ワカコレスキューの決断がついたんです。 ![]() そして… 数名の有志が「いのち」を繋げるお力を、 温かいご支援を私たちに託して下さいました。 結果、ワカコを含む18匹もの犬猫を レスキューする事ができました。 ワカコは… そんな皆さんから助けてもらった かけがえのない大切な存在でもあり、 皆さんから想われた「いのち」でした。 ![]() あらためてお礼を言わせてください。 ワカコの分も、ワカコに代わって… ・・・・・ ご支援下さった皆様、 本当にありがとうございます。 ワカコは、みんなに愛されながら、 穏やかな最期を迎えられました。 ・・・・・ ![]() レスキューした子達、 今、レスキューを待ってる子達を、 私たちと共に、 守っていただけないでしょうか…。 ▼宮崎銀行 加納支店 普通口座104601 動物たちの未来のために代表山下 由美 ▼郵便貯金 17310-434961 口座名義:イノチノハウスホゴヤ ▼〒880-1222 宮崎県東諸県郡大字国富町八代北俣2581 いのちのはうす保護家 090-4484-5165(9:30~22:00 担当フジイ) ▼「いのちのはうす保護家」HP ▼「ハンデのある猫達の保護猫カフェ HOGOYA」HP ▼「いのちのはうす保護家」公式ブログ ▼「いのちのはうす保護家」Facebook ▼保護猫カフェ「HOGOYA」Facebook ▼山下由美代表Facebook ▼犬猫介護アドバイザー &犬猫看取りコミュニケーターInstagram ▼保護猫カフェ「HOGOYA」Instagram お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2019年11月10日 20時39分07秒
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