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カテゴリ:老犬ホスピス
■ 憤 り 「エナリ」という老犬に出会ったのは、 動物愛護センター「隔離室」でした。 完治の見込みもない皮膚病のエナリは、 小さな部屋の中で、小さなケージの中で、 ただ生かされてるだけの日々。 当時のブログで、私はこう書き綴ってました。 ↓ ↓ ↓ ~~~~~~~~ 宮崎県民皆さんに問いたい… 愛護センターが出来て良かった? 愛護センターが出来て安心した? 殺処分されなきゃ、 生き地獄でも良いという事? 私達愛護団体がヒーヒー言っているのはなぜ? メディアの情報だけが全てではありません。 自ら蓋を開けてみて! 開けに来て! ただ、ひとつ言いたいのは、 行政が、職員が、悪いのではないという事。 頑張ろうとしても、追いつけないんです。 今の宮崎県民のモラルでは。 ~~~~~~~~ 「殺処分ゼロ」「殺処分廃止」 現場を知らない者までもが 馬鹿の一つ覚えのように唱え続けた結果、 その裏では… 尊重も尊厳も奪われてる「命」があること。 生き地獄の中苦しんでいる「命」があること。 無責任な「言葉」への憤りを感じていました。 エナリの「生」を尊重するために レスキューに踏み切りました。 ■ レスキュー後 柴特有の気難しさはあったけど、 「エナリ!」声をかけると、 無表情ながらも「~♪」 嬉しい気持ちが伝わってくる仔でした。 気難しいおじいちゃんである一方、 私の前では、子犬のように甘えんぼさん♪ 愛らしい一面も密かに持っていました。 そんなエナリだったのに… ■ 笑顔が消えた日 「皮膚病の悪化」を機に エナリから「笑顔」が消えていきました。 なんとか楽にしてあげたいと、 動物病院の先生、看護師さん、 色々手を尽くして下さいました。 何度も入退院を繰り返し、 支援者さん達のお力添えをいただきながら、 エナリの医療費を必死に捻出してきました。 スタッフもボランティアさんも、 エナリの皮膚を懸命に管理する日々でした。 エナリは、弱っている自分に 「恐怖心」を抱えるようになりました。 動物の本能…でしょうか。 ■ 伝えたかったこと エナリの恐怖心を取ってあげるには…? エナリと一緒に考えていたときに ひとつのサインを見つけました。 エナリの恐怖心を拭うために必要なのは、 「圧迫」と「洞穴」 改善しようと動きだそうとしたとき 私は、自分にストップをかけました。 エナリが求めているものに 私自身が応えてしまうと 私への依存心が、また出てきちゃうから…。 「エナリに小さめの服を着せて、 籠る洞穴、バリケンをひとつ置いて下さい」 スタッフ二人にお願いした後、 私は、エナリの元を離れました。 エナリが求めていた「圧迫感」「洞穴」。 スタッフから送られてきた写真のエナリは、 「理解してくれてありがとう」 スタッフにそう言っているかのような 優しい表情に戻っていました。 こんな穏やかで安心した表情のエナリを 久しぶりに見れた気がしました。 「あんたと一生懸命向き合ってるのは、 美代子とまちゃこだよ! 母ちゃんじゃないからね?」 二人がどんなにエナリを想っているか、 エナリに通じた気がしました。 ■ 傍観者への決断 エナリは、皮膚病と戦いながら 老化も進んでいきました。 スタッフを中心に、ボランティアさんも エナリの介助をサポートしてくれました。 皮肉なもので、老衰が進んでいく度に 皮膚の状態が良くなっていくエナリ…。 元気なうちに痒みをとってあげたかった…。 スタッフ美代子とエナリ。 副代表まちゃことエナリ。 一生懸命エナリと向き合う二人を 尊重したいと思いました。 私のアドバイスや指示は必要ない! 後悔がないよう、自分の思うままに エナリとの時間を大切にして欲しい…。 私は…「傍観者」になろうと決めました。 見守って支える側に回ろうと…。 ■ 最期に向けて 私は、夜間~早朝の介護担当でしたが… エナリの夜鳴と要求は、 この時間帯が一番激しかった。 「なんね!母ちゃんに不満があるとやろ!」 「美代子とまちゃこが良いっちゃろ!」 軽くあしらいながらの エナリ介護の夜が続きましたが… そんなとき思い出すのは、 甘えん坊さんだったエナリの姿。 今では…イライラしてたり怒ったり… そんなエナリの姿しかありません。 皮膚病さえ悪化しなければ、 エナリは穏やかな時間を過ごせていたのでは? そればかりが頭をよぎりました。 「エナリをこのまま死なせたくない… エナリの笑顔を取り戻したい… 笑って最期を迎えさせるのは どうしたら良いんだろうね…」 スタッフにボソッとこぼしたこともありましたが、 答えは誰にも見つかりませんでした。 もう、そんな悠長なこと言えるような 容態ではなかったから…。 そして…とうとうこの日を迎えてしまいました。 11月29日 氷のように冷たいほどの低体温。 ヒーターと電気毛布でも追いつかないほどでした。 11月30日 AM5時 手と音でも確認出来ないくらいの心音の弱さ。 お腹がわずかに呼吸で動いてたり、 喉が上下に動くのを確認しながらの生存確認。 「死んでるのに生きている」 そんな不思議な感覚でした。 AM8時に保護家入りしたスタッフ美代子。 この日の私は、徹夜の介護が続いてたため、 半分意識がありませんでしたが、 「エナリが生きてるうちに、二人が会えたんだ!」 ホッとしながら寝落ちした記憶は残っています。 11時半位に、目が覚めたとき、 エナリの右手足が硬直していくのを確認して やっと、エナリの死を確信しました。 「死んでるけど生きてる」 初めて経験する命の終わり方で、 本当のご臨終何時が分からないまま迎えた エナリとのお別れ。 それは、心の整理が追いつかないまま 出口の見えない長いトンネルを 無心で歩き続けてるような… そんな一ヶ月間でした。 ■ 崩壊への道 冒頭で転載した 「過去に書き残した文章」を 再度転載…。 ↓ ↓ ↓ 殺処分されなきゃ、 生き地獄でも良いという事? ↑ ↑ ↑ 偉そうに何を言ってるんだ? エナリの笑顔を奪い、 笑顔を取り戻すこともできなかった人間が! エナリは笑えないまま最期を迎えてしまったのに! 「エナリ!」 そう声をかけると 喜んでくれてたエナリだったのに、 病気で性格が変わったという理由にして なぜ、私は途中で諦めた? じゃあどうすれば良かったのか…? 答えは今も分からない。 ひとつだけハッキリ分かっているのは、 「エナリを尊重してあげれなかった」 という事実が残った…ということ。 私は…エナリとの別れを境に パソコンを開けなくなりました。 インターネットが見れなくなりました。 保護家の子達を発信することも、 ご支援を頂いたのにお礼を伝えることも、 文章を打つこと自体できなくなりました。 ご支援のみで施設継続させて頂いているのに、 何も発信しない愛護団体に待っているのは 「施設崩壊」 「このままでは崩壊しかない!」 頭では分かっていましたが、 もがけばもがく程、 体が拒絶反応を起こす状態でした。 エナリへの後悔、懺悔… 「ごめんね」の一言では許されない自分の行為。 保護主として最低だった自分。 尊重と尊厳を守れなかった自分。 初七日過ぎても、 エナリの祭壇を片付けられないことが 「答え」だろうと薄々気づいてはいました。 ■ 再起を誓う 今の私に必要なのは… 「この環境から離れること」 だけど、 頑張ってるみんなを差置いての「休む」行為は、 逆に新たなストレスを抱えるだけ…。 だけど、 このままだと本当に、 私も保護家も「崩壊」の道しかない… 危機感を抱えながら、副代表に申し出たのは、 「無期限研修旅行」でした。 罪悪感を抱えないよう、 自分に言い聞かせながら保護家を離れました。 「休みではなく勉強のためやからね!」…と。 相棒カムカムと無期限の旅へ。 こうして始まった 車中泊しながらの「視察研修旅」 こうして文字を打てるようになったことが 復活した証拠です! 昨夜買ってきたお花で最後…。 このお花が枯れたら、 エナリの祭壇を片付けようと決めました。 決して、自分を許したわけではない。 エナリへの後悔、懺悔… 今、自分が感じていることを 次につなげていかなければ…と。 エナリの死を 無駄にするようなことは 絶対しない! エナリと笑い合った時間が 確かにあったことも、 忘れないよう生きて行こう…。 レスキューした子達、 今、レスキューを待ってる子達を、 私たちと共に、 守っていただけないでしょうか…。 ▼宮崎銀行 加納支店 普通口座104601 動物たちの未来のために代表山下 由美 ▼郵便貯金 17310-434961 口座名義:イノチノハウスホゴヤ ▼〒880-1222 宮崎県東諸県郡大字国富町八代北俣2581 いのちのはうす保護家 090-4484-5165(9:30~22:00 担当フジイ) ▼「いのちのはうす保護家」HP ▼「ハンデのある猫達の保護猫カフェ HOGOYA」HP ▼「いのちのはうす保護家」公式ブログ ▼「いのちのはうす保護家」Facebook ▼保護猫カフェ「HOGOYA」Facebook ▼山下由美代表Facebook ▼犬猫介護アドバイザー &犬猫看取りコミュニケーターInstagram ▼保護猫カフェ「HOGOYA」Instagram お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2019年12月24日 23時59分02秒
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