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テーマ:老犬と暮す(210)
カテゴリ:介護と看取り
タカオという老犬が亡くなった。 言い方は悪いが… 立派な「死に様」だったと思う。 タカオが生きてきた証を ここに遺します。 ※今日のブログはとても長編です。 ダラダラとした文章が続きます。 頭に浮かんだことを、そのまんま 独り言のように綴ってるため 荒い表現があるかと思います。 申し訳ございません。 タカオという犬に出会ったのは、 去年の6月17日… 動物愛護センターに 収監されてた犬だった。 ![]() みやざき動物愛護センターは、 保護期限が切れたとしても、 譲渡判定に落ちたとしても、 直ぐすぐに「殺処分」はしない。 ただ… 檻に空きがなくなったときは、 判定不合格の、収容期間の長い犬が 注射による安楽死で処分される。 収監できる場所がないのだから 仕方のない選択だと思う。 (民間でも、殺したくないからと押し込み式の保護をして 結果的に心や命を死なせてる今の時代だから、 「仕方ない」とあえて表現しました) ![]() 「判定不合格」という文字。 タカオという犬は、 いつまで生きれるだろうか? 収容されて10ヶ月か… 老衰が先か、安楽死が先か、 タカオという犬に 未来なんてなかった。 ![]() この日、私がレスキューしたのは… 下半身麻痺、水頭症、ヘルニア、 容態の悪い老犬等6匹… タカオという犬は、 その中にいなかった。 レスキューした犬猫は、 施設の中にポンっと入れて終わりではない。 レスキューした夜は、 ひとりひとりの体調だけではなく、 性格や気質の観察が必要。 夜通し行う 多頭の観察眼は体力勝負。 だから、 タカオという犬のレスキューは 翌朝に延期した…それだけの理由だった。 翌朝 6月18日… タカオは、皆と一日遅れで合流。 ![]() ひと足先に、前日レスキューしてた 老犬「お銀」とお隣同士。 ![]() タカオは、若干の斜頸があり、 三半規管が正常ではないのだろう… 50㎝離れた場所でも、何か動くだけで 顔がビクンビクンっと反応してるため、 前庭疾患になることも覚悟していた。 ![]() 日本犬の血が強いのだろう… タカオは、頑固な性格だった。 「おいっ!そこは触んなっ!」 「赤ちゃん扱いすんじゃねぇっ!」 ガウガウ、とにかくよく怒ってた。 ![]() だけど、 幸せそうな表情を浮かべてるとき 抑えきれずタカオの体に触れると、 顔をうずめてこう言うのです。 「あ~…俺幸せだわぁ」…と。 ![]() 老犬が頑固になるのは 「老犬あるある」のひとつ。 体が思うように動かなくなった苛立ち、 プライドを持ち凛と生きてきたはずなのに 老犬になって、周りから急に 赤ちゃん扱いされる悔しさ、 老犬になると色々あるのだろう。 「タカオのプライドを壊さない!」 私とタカオ、 初めて交わした約束だった。 まだまだ先の約束になるだろう そう安心していたのに… ![]() タカオの足腰は弱っていき、 認知症を発症した。 基本、体が濡れることを嫌がるはずなのに、 土砂降りの雨の中を 平気で歩き回るようになったり、 行動の変化が徐々に表れはじめた。 ![]() いつものタカオなら、 私がカメラを向けると 嫌がって視線を逸らすのに この日のタカオは違っていた。 ![]() 目を逸らすことなく 凛とした目で私を見つめ返した。 今、振り返ると… タカオなりに 伝えたいことがあったのだろう… いや、訴えていたのだろうか? タカオレスキューから4ヶ月… 自力で立ち上がれなくなり、 24時間体制での介助が必要となった。 タカオは、ホスピスルームから母家の廊下に 引っ越しすることとなった。 ![]() 抱き上げて移動させようとしたとき 何度も腕に咬みつこうとした。 いつも以上に激しい怒りが、 身体全体からにじみ出ていた。 初めて見る程の強い抵抗だった。 抱き上げられることへの 怒りだと思っていたが、 本当は、介助生活に入ることへの 抵抗だったのかもしれない…。 ![]() 介助を受けてることへの怒りや、 歩けない苛立ちが、 日に日に増していくようだった。 「俺は…なぜ立てないんだ?」 「俺にベタベタ触んな!」 「憐れんだ目で俺を見るな!」 ![]() タカオの悲痛な感情は 「夜鳴き」という形でぶつけるようになった。 タカオのプライドを守りたい… そう約束していたのに、 タカオは怒ってばかりいる。 怒らせてばかりいる。 タカオとの関係性に息詰まり、 どう寄り添えば良いのか… 悩んだ時期もあったが、 やっと答えにたどり着いた。 ![]() タカオは、日本犬の気質を持ってるからこそ、 顔周りとか、触られてイヤな部分を 介助が目的だからと触られることは イヤに決まってる! タカオが怒って当然! むしろ…タカオらしいじゃないか! タカオらしい生き方じゃないか! ![]() そこに気付けたときから 笑って欲しいとか、 穏やかな気持ちでいさせたいとか、 そういうのを止めた。 プライドの高いタカオを守ることだけに 専念しようと思った タカオを介助する前に 必ず声をかけるようにした。 「消毒するから、冷たいよ」 「オムツ着けるから、腰をあげるよ」 「お散歩行くから、抱っこするよ」 今から何をするのか必ず伝え、 タカオに敬意を払うよう心掛けた。 ![]() 認知症だし、犬だし、 言葉なんてわかるはずない… そう思われるかもしれないが、 毎回声をかけるうちに 「消毒」「おむつ」「散歩」 新しい単語を覚えていく。 そして、その単語の後に 自分が何をされるかを把握していく。 だから、びっくりして怒ることは なくなっていった。 ![]() 寝たきりになったからといって 何もできなくなったわけじゃない。 お天気が良い日は ホスピスルームの老犬達と一緒に 日向ぼっこする時間もつくった ![]() 夜には決して見せてくれない ウキウキした明るい表情で 「幸せ」だということを伝えてくれた ![]() 今、生きてる機能を死なせてはいけない! 少しでも筋力低下を避け、 完全寝たきりになる時期を遅らせたい! その一心で、タカオを外に連れ出した ![]() 嗅覚をたくさん使って、 肉球からたくさん刺激を受けて、 タカオがタカオらしく生きれる時間を 与えてあげたかったけど… 老いに逆らうことはできない タカオにも、必ず終わりは来る 介助期が終わり… ![]() 介護期が終わり… ![]() 看取り期に突入した。 ![]() 6月16日の夜勤日誌に 19:06 別棟に居た私を タカオが吠えて呼んだことを記していた。 そこからは、数分間隔の夜鳴き。 老犬達のお世話で、タカオの視界から消えると 吠えて呼び戻そうとしたのだろう… 「看取り期」とは、 苦しまず楽に死ねるためのサポートである。 体内に水分が残っていると 死ぬ直前に苦しむことになる。 もちろん、点滴も水分であり、 「介護期」から「看取り期」に移行したときに 点滴もやめなければいけない。 もちろん「看取り期」に入ると 体は自然に食べる事への 拒否反応を示す。 このときに強制給餌も終了させる。 水は飲みこむ力があれば飲ませるが、 最後は湿らす程度に留める。 介護日誌には 0:47 「流動食も吐き戻しそうなので延期」 そう書いてある。 延期…ということは、 まだ希望を持っていたのだと 自分自身の心情が垣間見えた。 それからわずか数分後 1:06 「もう長くないだろう」 ようやく「看取り期」へ入ろうとしてたが… ![]() 2:40 「どうしてあげるのが一番良いのか…」 この時間に生きた私の心情は、 「看取り期」に入った事実を 受け入れられずにいたのだろう… ![]() 時間は書いてないが、おそらく7:30頃だろうか… やっと「看取り期」を認めた瞬間だった。 ![]() いよいよ、お別れの日が来るんだ… タカオを看取るココは、 あくまで保護施設である。 たとえ「看取り期」であろうとも、 危篤状態でない限り ずっとついててあげることはできない。 スタッフ、ボランティアさん、 もちろん私も、 保護施設の大勢の犬猫たちの お世話にまわらなきゃいけない。 そこが、家庭と施設の違いでもある。 お互いに苦しいが… 受け入れなきゃいけない。 少しでも「家庭」に近い環境で 最期を迎えさせてあげたい… 別棟のこのお家で このお部屋で タカオの最期を看取ろうと タカオを迎え入れる準備に入った。 ![]() ご支援で頂いた見守りカメラ「furbo」で、 タカオに異変がないか スマホで確認しながら 最期を迎える場所の準備。 ![]() タカオが快適に過ごせる準備も終わり、 (タカオのマットで寝てるのは別犬です) ![]() 母家の廊下にいる タカオを迎えに行くと、 すでに意識はもうろうし 最期が近いな…はっきり感じた。 普段の私なら、 絶対にしない行為なのに、 直感的にタカオを抱え上げてた。 「タカオをこの場所で死なせてはいけない!」 ![]() タカオを抱きながら 徒歩30秒の看取りの家へと 移動してる途中、 下顎呼吸がはじまった。 ![]() 私は足を止めた。 ブロックに腰を下ろし、 このまま外で 最期を迎えさせようと思った。 呼吸が止まり、 心音が静かになるまで 5分位だろうか… 11:17 タカオ 永眠 ここまで来て、 なぜ、家の中に入れなかったのか? なぜ、タカオが楽な姿勢マットの上で 最期を迎えさせようとしなかったのか? たぶん… タカオが望んだんだろうな…。 太陽の下で 鳥のさえずりを聞きながら、 風を体に受けながら、 みんなに囲まれた最期を タカオが選んだんだろうな…。 タカオと青空、 ![]() タカオと太陽、 ![]() 私のスマホに保存してた タカオの写真は、 なぜか、青空や太陽が入るような アングルの写真が、多く残っていた。 ![]() たぶん… 本来のタカオらしさを感じたのが、 青空と太陽の下にいる タカオだったのだろう。 ![]() 「太陽の下でうつらうつらとお昼寝… 気持ちよかったよね。 タカオ…あんたが望んでいたのは、 陽を浴びながらの最期やったとよね?」 ![]() タカオは不思議な犬だった。 2021年6月17日 愛護センターで、タカオと出会った、 タカオと出会えた記念日にだったのに… 2022年6月17日 出会った記念日は、 永遠のお別れの日になった。 ![]() そして… いのちのはうす保護家に入居した 2021年6月18日 第二の人生をスタートした 記念日だったのに… ![]() 2022年6月18日 いのちのはうす保護家から旅立った。 ![]() 「母ちゃん悲しいよ… タカオとの記念日が 全部、悲しい日になったやん! なんでこの日を選んだと? この日じゃなきゃいかんかったと?」 ![]() いや!違う! タカオが選んだ死に場所。 タカオが選んだこの日。 全部全部、褒めてあげなきゃいけない! ![]() 立派な最期だったよ…って。 ![]() タカオは、保護家みんなの誇りだよ…って。 ![]() 最後まで自分の足で歩き、 最後まで毅然とした態度で 保護家のみんなと接してくれた そんなタカオに敬意を表します。 ![]() 「少し休んだら、 また帰っておいでね。 私たちとは、一生無縁のお家に、 私たちと、二度と出会うことのない 幸せにしてくれる家族を選ぶんだよ? 二度と、ココに帰ってくるな!」 タカオ…ありがとう。 出会ってくれてありがとう。 ![]() ![]() ![]() ![]() ご支援ご協力を どうかよろしくお願い致します ▼宮崎銀行 加納支店 普通口座104601 動物たちの未来のために代表山下 由美 ▼郵便貯金 17310-434961 口座名義:イノチノハウスホゴヤ ▼〒880-1222 宮崎県東諸県郡大字国富町八代北俣2581 いのちのはうす保護家 090-4484-5165(9:30~22:00 担当フジイ) ▼「いのちのはうす保護家」HP ▼「ハンデのある猫達の保護猫カフェ HOGOYA」HP ▼「いのちのはうす保護家」公式ブログ ▼「いのちのはうす保護家」Facebook ▼保護猫カフェ「HOGOYA」Facebook ▼山下由美代表Facebook ▼犬猫介護アドバイザー &犬猫看取りコミュニケーターInstagram ▼保護猫カフェ「HOGOYA」Instagram
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最終更新日
2022年06月29日 15時32分59秒
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