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テーマ:猫の病気と治療日記(296)
カテゴリ:猫ホスピス
「美猫」という言葉しか出てこない‼︎ ![]() そんな美人さんと出会ったのは 愛護センターのバックヤードだった。 ![]() 茶トラでは珍しい女の子。 (8:2の割合でオスが多い) 気品あるふわふわ長毛種で、 生後三ヶ月の子猫。 性格も良くて完璧な美人さん。 ![]() 私があえて手を出さずとも、 愛護センター内で 譲渡希望者が殺到する 容姿も年齢も性格も 全てが完璧で、 幸せが保証された美人さん‼︎ ただ… 左眼球があって エイズ陽性でなければの話。 ![]() 当時(2017)の愛護センターは、 心身のハンデやエイズ陽性の 一般譲渡は困難と 判断されていたため、 急遽レスキューすることになった。 命名「キナコ」 ![]() キナコは、物怖じしない やんちゃな女の子だった。 ![]() 私の相棒犬カムカムを お父さんのように慕い、 ![]() 八千代さんの子犬と共に 社会性を学んでいった。 ![]() 2018年1月28日 保護猫カフェ「HOGOYA」オープン‼︎ ![]() キナコも、エイズ陽性組「ラムネルーム」で カフェデビューを果たした。 ![]() どんどんご縁がつながり、 卒業していく仲間たち。 キナコは、誰よりも人懐っこくて 甘えん坊なのに、 なんでご縁がないのだろう? ![]() 譲渡につながらないのが あまりに不思議すぎて、 「キナコは誰か待ってるのだろうか?」 何か意味があるのではないかと 色んな視点で考えたりもした。 ![]() キナコは、新入り猫に対しても、 いつも優しく迎え入れてくれる。 キナコの唸り声や、威嚇声や姿を 私たち誰ひとり、 一度も見たことがない位 人間にも猫にも優しい子だった。 ![]() 2020年、保護猫カフェは、 コロナ感染症対策のため 入店制限をかけた。 来店者さんがピタリと止まった。 ![]() 猫たちは当然、 理由なんて分からない。 ただただ、窓の外を眺めては 淋しそうにしてた… ![]() どんなに蔓延防止策を 取っていたとしても、 「カフェの猫たちに会いに来て下さい」 言える状況じゃなかった。 世論が許さないだろうと… だけど、批判覚悟で記事を書いた。 「保護猫カフェの今を書かなきゃ!」 何を言われても構わない‼︎…と、 記事を書くきっかけになったのが 「キナコ」だった。 ![]() コロナの影響で 来店者さんがいなくなったことで キナコの心は壊れていった。 人間が大好きすぎるキナコにとって、 人間に甘える…という行為が 生きるための原動力だったのだと このとき初めて気付かされた。 ![]() 窓際でたたずむ事が多くなったキナコ… ずっと外を眺めていた。 誰かが来てくれるのを ずっと待っているかのように… ![]() とうとうキナコは… ストレスからの免疫力低下で 口内が真っ赤にただれはじめた。 ![]() サプリや薬…どんなに手を尽くしても 悪化していくばかり… 最後の手段、 「全臼歯抜歯」にふみきった。 誰かが来てくれるのを、 窓の外を眺めながら ずっと待ち続けたキナコのためにも…と、 「保護猫カフェに来てください」 批判覚悟で記事を書いたものの、 結果、私の力不足で終わってしまった。 ![]() 抜歯したキナコは、 ようやく口内の痛みから解放されたが… ![]() 昨年11月14日 「アミロイド症」 異常化したタンパク質が 腎臓と肝臓に沈着して 機能障害を引き起こす 完治することのない病気。 症状を軽減する対処療法しか 残されていない… 「余命6ヶ月」 ![]() キナコは、猫カフェを引退した。 ![]() 卒業ではなく引退… 悔しかった。 自分の不甲斐なさに腹が立った。 ![]() キナコは… 終の住処になるであろう 「療養の家」に引っ越してきた。 ![]() 「療養の家」とは… 余命短い猫達に、 せめて最期位は 「家庭猫」と同じような 穏やかな時を過ごさせてあげたい… 自己満かもしれないけど、 そんな思いのある「家」 ![]() キナコは これから徐々に弱っていき、 最期を迎える… そう思っていたけど、 ![]() 「家庭猫」の生活がお気に召したのか、 徐々に元気になっていくキナコ。 ![]() 余命3ヶ月… 残された時間は、 この時すでに3ヶ月を切っていたが、 保護猫カフェ「ラムネルーム」に キナコを戻した。 ![]() キナコが住みなれた 「ラムネルーム」 仲良しだった仲間たちと 最後にもう一度だけ 会わせてあげたかった。 ![]() キナコが元気な今のうちに… いや、今しかない‼︎ ![]() どうか、今の元気が 一日でも長く続きますように… ![]() その願いも虚しく、 キナコの体調は直ぐに悪化した。 仲間たちとの時間は あっという間に終わりを告げた。 ![]() もう二度と帰ってこれない 住みなれた「ラムネルーム」、 大好きな仲間たちとの時間は 終わりを告げた。 ![]() 療養の家に戻ってきたキナコだが… ![]() 不思議なことに… 療養の家に戻ってきたキナコは、 直ぐに体調が安定した。 ![]() 療養の家に戻ってからのキナコは、 今まで以上に甘えるようになり、 常に私の体の一部に触れてないと 不安がるようになった。 ![]() 住みなれた我が家以上に、 猫仲間以上に、 人間が大好きなんだろうな… キナコが一番必要としてるのは、 人間との時間なんだろうな… ![]() キナコが求める強い人間愛が あまりにも強すぎて、 私一人では太刀打ちできず、 ボランティアさんや私の家族にも 協力を要請する程だった。 ![]() キナコには無理だと言われてた 夏を迎えた。 余命半年の半年を乗り越え、 8ヶ月目に突入できた‼︎ ![]() もしかして… 奇跡が起きるんじゃない? そう喜んでた矢先… キナコは急激に弱っていき、 本当のターミナル期に入った。 ![]() そんな状態の中で私は、 二泊三日の出張に向かう。 ターミナル期のキナコを置いて… ![]() だけど、自信があった。 キナコは必ず 私の帰りを待つだろうと…。 ![]() 私が出張で不在の夜は、 ボランティアさんが 療養の家に泊まり込んでくれた。 キナコに寄り添い続けてくれた。 ![]() 人間が大好きなキナコにとって どれほど至福の夜だったろう… 出張から帰宅する直後、 キナコの容態と写真を スタッフがLINEしてくれた。 ![]() まだこの体勢ができるし、 歩いての移動もできてるってことは、 あと数日は生きれる‼︎ そう思いながら帰宅早々 部屋に入ると… ![]() キナコは、 私の姿を確認すると同時に、 歩くことも、座る力さえも 一瞬にして失った。 ![]() 本当に待ってたんだ… 私が帰るまで 待ってくれたんだ‼︎ 自信が確信になると同時に、 キナコと約束を交わした。 ![]() 「いつでも良いよ。 どこでも良いよ。 あんたが望む場所とタイミングで 逝って良いんだからね。 母ちゃんはずっとここに居るからね」…って。 ![]() 水を飲もうとするが、 体が水分を拒否していた。 体が脳に指令を出していたのだろう… ![]() 人も犬も猫も、 苦しまずに最期を迎えるために 体が準備を始める。 体内に水分が残ってると 苦しみながらの最期だから… ![]() 体が「死」に向かっていると、 私たちがイメージする 喉の渇きへの飢えや 苦痛は感じなくなる。 「枯れて死ぬ」とは… 緩やかに意識が遠のいていき 本当の意味での 「眠るような最期」を迎えられる。 ![]() AM4:00 キナコは昏睡状態に入った。 あと数時間で キナコの時間が止まってしまう… キナコの体に寄り添いながら 一緒に最後の夜を過ごした。 ![]() 7月14日 AM 8:45 キナコは昨夜と同じ体制のまま、 昨夜と同じ穏やかな表情のまま、 穏やかな最期を迎えた。 ![]() あまりに静かすぎて、 ただ眠ってるだけのように感じた。 そのうちむくっと起きてきて 膝に乗ってくるんじゃないか? いつものように… ![]() だけど… 花に囲まれたキナコを見て、 「やっぱあんた死んだんやね」 ふと発した自分の言葉に驚いた。 今、ようやくキナコの死が 実感できたんだな…と。 ![]() キナコという猫は、 「保護猫カフェ」で ファンも多い人気者だった。 ![]() たくさんの人に愛され、 想われ可愛がられたキナコは、 幸せな猫だったと思う。 ![]() だけど… 私の力量が足りず、 キナコが本当に欲しかった 「家族」「お家」… キナコの一番の幸せを、 叶えてあげられなかった。 ![]() 「家庭猫」じゃなく、 「保護猫」という肩書きのまま 逝かせてしまった…。 ![]() 人も犬も人間も大好きで 誰とでも仲良くしてくれる こんなに性格の良いキナコ。 エイズで片目がない… たったそれだけで 5年間も譲渡できなかった私は、 おかしすぎる‼︎ありえない‼︎ 「いのちのはうす保護家」らしさとは? 「保護猫カフェ」の在り方とは?
最後の最期にキナコが 私に教えてくれた。 「保護猫カフェ」を辞めよう… 「保護猫カフェ」という名称を 手放すことを決めた。 ![]() 私達らしいやり方… 「陰」をあえて隠さない ありのままのやり方で 新しく生まれ変わろう‼︎ キナコ葬儀の日に みんなに告げた。 キナコの前で宣言した。 キナコの前で誓った。 ![]() 「保護猫カフェ」閉店詳細は、 後日ブログにて書きます。 「保護猫カフェ」とは 違う形にはなりますが、 保護猫カフェの時と同様 猫たちに会いに来て頂けたら… と思ってます。 ![]() タマ、 ![]() キャシャ、 ![]() ビク、 ![]() キナコが みんなのところに行きました。 母ちゃんまたやらかしました。 あんたたちの時と同じだよ… キナコも家族を見つけてやれんかった。 ごめんなさいやけど、 キナコのことを よろしくお願いします。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2023年08月01日 18時36分45秒
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