雪の日小学校1年の頃、父は東京で起業した。陶器の会社だった、事務所兼自宅は新宿だった。 小学校の鉄棒から落ちたのもこの頃。 ある日、父がいない時車に乗って遊んでた。 突然、動き始めてしまった。――― そう、坂に止めてあったのでサイドブレーキ を下ろしてしまったか、ギアをニュートラルにしてしまったんだろう。 坂道を、小さい子供が乗った車落ちていった。 おぼろげながら、父が車にダッシュでかけてきた、助手席側のドアを開けサイドを 引いて事なきを得た。 中学生くらいになってこの話を聞いた。 父の体には、そのときついた傷が残っていた。 また、ある日の事。父が長い出張で留守だった。 昼間、学校から帰った私がみたものは母と従業員の情事だった。 母から内緒にしてといわれても、ちいさい男の子には意味も分からなかった。 父に言った。 それから修羅場が続き、父と母は離婚した。 その後、酒に溺れるようになった父。 経営も悪化し倒産した。 私は青森の実家に預けられたまま、ばあちゃんっ子で育つ事になる。 ある雪の日、友達の家に遊びに近所の同級生と出かけた。 途中、男の子が女の子を両手で押し倒した。 女の子は雪だまりの中にころがった。 僕は男の子になんでこんなことするんだ!と叫んだ。 遠い雪の日だった。 |