■ジャズの歴史(その8)■February 4, 2007■History of Jazz ジャズの歴史(その8)■ ●「ジャズ(Jazz)」という名前の由来 ・・・「ジャズ」は「セックス」という意味だった? ニューオリンズで演奏されていた音楽が、どうして「ジャズ(Jazz)」と呼ばれるようになったのか、 今となっては、はっきりしとことはわからないということです。 1910年代ごろ、ニューオリンズで、 この新しい音楽は「Jass Music(ジャス・ミュージック)」と呼ばれるようになっていたようです。 当時、「Jass(ジャス)」というのは「セックス」をさすスラング(俗語)で、 ストーリーヴィルの売春宿のことを「Jass House(ジャス・ハウス)」、 そこで演奏しているバンドを「Jass Band(ジャス・バンド)」と呼ばれていたと言い、 「Jass House」で演奏されている音楽を「Jass Music」と呼ばれるようになったということです。 ニューオリンズには「Dixieland Jass Band(ディキシーランド・ジャス・バンド)」と名が付くバンドが いくつか存在したようです。 「Jass」は「淫売屋の音楽」という意味で軽蔑して便っていた言葉を、 逆に堂々と使うようになり、しだいに「イケてる」、「イカしている」 というようなことを意味するようになってきたとも言えるようです。 店でバンドが熱い演奏しているところへ、客が「Jass it up!」と掛け声をかけたという話もあります。 それは「よーっ、スゴイぞ!」というような意味で叫んだのかもしれません。 1910年代半ば、シカゴでニューオリンズの「Jass Music」のことが話題になるようになったため、 1915年にニューオリンズの黒人トロンポーン奏者の率いる、 「トム・ブラウンのディキシーランド・ジャス・バンド(Tom Brown's Dixieland Jass Band)」がシカゴに呼ばれます。 そして、それが大成功を収めたため、シカゴに「Jass」の人気が高まりました。 1916年には、ニューオリンズの白人コルネット奏者二ツク・ラロッカも、 「ジャス・バンド」の名前でシカゴに行きました。 さらに1917年1月にはニューヨークのクラブに出演し、 ニューヨークでも徐々にこの「Jass」音楽の名前が高まりましたが、「Jass」を「Jasz」と間違えた看板があったりして、 そういうことから次第に「Jazz」にしたほうがカッコいいのでは?ということになったという説があります。 ともあれ、1917年2月2日付のニューヨーク・タイムス紙面では「JAZZ」という綴りでバンド名が表記されました。 このニツク・ラロッカのバンド、「Original Dixieland Jazz Band(オリジナル・デキシーランド・ジャズ・バンド)」、 略称「ODJB」は、1917年1月に史上初のジャズと名の付く音楽を録音、 2月26日にレコードがリリースされ、これがミリオンセラーとなり、その名が世界中に知れ渡りました。 このニック・ラロッカはイタリア系の白人で、 「オリジナル・デキシーランド・ジャズ・バンド(ODJB)」は白人のバンドでした。 黒人たちが生み出し、形にしたジャズが、白人の彼らの音楽として有名になっていくということは、 理不尽ともいうべき現象ですが、 人種差別の根深いアメリカという国では仕方のないことなのでしょう。 「Jazz」という名前の由来には、まだまだたくさんの説があります。 ニューオリンズはフランス領だったことから、 フランス語の「おしゃべり」、「活気ある会話」、「元気をつける」といった意味の「Jaser(ジャゼ)」 が語源で変化して「Jass」になり、「Jazz」になったという説。 「Jaser」→「Jass」→「Jas」→「Jasz」→「Jazz」と変化したというものもあります。 また、「Jazz」はシカゴで作られて使われたという説。 シカゴのミュージシャンたちは、ニューオーリンズの「Jass」と、 シカゴ・スタイルの音楽を区別するため「Jazz」と呼んだと言います。 そして、シカゴで命名された「Jazz」が世界中に広まったというものです。 ほかにも、「チャールズ(Charles)」 というミュージシャンの名前が元で、それが縮まって 「Charles」→「Chas」→「Jass」→「Jazz」となったという説、 ジャボ・ブラウンという人の名前から来ているという説、 アフリカ語源説とか、ルイジアナの奴隷の名前だという説、 南アフリカのバントゥ語なんだとかいうものもあります。 『はじめてのジャズ』著者:内藤遊人(現代新書) という本の内容紹介で、本文からの抜粋に次のようなものがあります。 「シカゴでジャズはジャズになった―― フランス語を日常会話としていたニューオーリンズの白人社会でのうわさ話とか、くだらない話、 という意味のJASERがJASSになり、やがてはなまってJAZZになったとか、 それはうわさ話どころではなく、今でいう「ファック」のような意味で、 白人が黒人のことを軽蔑してそう呼んだことからきた、とかいわれるが、 シカゴでこうしたディキシーランド・バンドの演奏を聴いていた酔っぱらいが興奮して、 当時のギャングたちのひわいなスラング“Jass it up!”を突然叫んだから、というのが、 中でもジャズの雰囲気を伝えるエピソードとしておもしろい。 「よー、すげえぞー!」とでも本人は言ったつもりだろうが、これもまた歴史である。――本書より」 これは、何となく、どれもそれっぽく感じる一文だと思います。 いずれにしても、「ジャズ(Jazz)」という名前の由来は、はっきりしませんが、 「Jazz」という言葉が、はっきりとした形で大衆の目に触れ、意識されたというのは、 1917年2月2日の「ニューヨーク・タイムス」の新聞紙面でのことだということです。 そして同じ月に初めて「Jazz Band」という名前が付いたレコードが世に出たということです。 Last updated April 4, 2008 ■History of Jazz ジャズの歴史(その7)■ ■History of Jazz ジャズの歴史(その9)■ ![]() 【ジャズ】人気blogランキングへ ジャンル別一覧
人気のクチコミテーマ
|