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■ジャズの歴史(その34)■


March 10, 2007

■History of Jazz ジャズの歴史(その34)■

●新主流派ジャズ(New Mainstream Jazz)

モード・ジャズは新主流派ジャズに

1958年にリリースされたアルバム『カインド・オブ・ブルー』によって、
マイルス・デイヴィス、ビル・エヴァンス、ジョン・コルトレーンたちが示した『モード・ジャズ』は、
マイルス自身にとっても、エヴァンス、コルトレーンらにとっても、
それぞれの音楽を推し進めていくための重要なきっかけになりました。

あまり多くの音符を使うことのなかったマイルス・デイヴィスのアドリブ・プレイが、
モード手法を用いることによって、いっそう洗練された響きをもつようになりました。

ビル・エヴァンスも、モーダルなピアノ演奏の先駆を切って独自のスタイルを築いていきました。

一方、多くの音符を使って複雑なフレーズを吹いていたジョン・コルトレーンは、
神業的なテクニックでスケールを使い分け、独自のスタイルでモード・ジャズを推し進め、
1960年代中頃からは『フリー・ジャズ』へと進んでいきました。

1960年代のジャズは、
ハード・バップから生まれたファンキー・ジャズと、リズム&ブルースが融合した『ソウル・ジャズ』と、
自由さを熱狂的に表現した『フリー・ジャズ』との2本柱になっていました。
『モード・ジャズ』を示したマイルス・デイヴィスは、1960年代半ば(1964年)、
テナー・サックスのウエイン・ショーターを迎え、ピアノのハービー・ハンコック、
ベースのロン・カーター、ドラムスのトニー・ウィリアムスとクインテットを結成し、新たな方向を試みます。
そしてこのクインテットによる演奏は、ハード・バップやモード・ジャズの良いところを取り入れ、
また、フリー・ジャズの影響を受けながらも、マイルス流のフリー・ジャズとして、
いわゆる理解し難い音楽とも異なるスタイルを作っていきました。

そして、1960年代中頃から、後にマイルス・スクールの優秀な卒業生としてジャズ界を担っていくことになる、
ハービー・ハンコックやウエイン・ショーターを筆頭に、フレディ・ハバード、ジョー・ヘンダーソン、
マッコイ・タイナーなど、多くのジャズ・ミュージシャンがモード手法を展開していきました。

このような、ハード・バップを推し進めたモード・ジャズをベースにクールでモダンな響きをもった、
当時の斬新なスタイルのジャズを『新主流派ジャズ』と呼ぶようになりました。
どうして今まで英語できたジャズのスタイルが、ここにきて日本語で「新主流」と呼ばれるようになったのかというと、
もともとは、1966年頃、マイルス・クインテットのこの新しいスタイルのモード・ジャズのことを、
アイラ・ギトラーが「New Mainstream Jazz(ニュー・メインストリーム・ジャズ」と名づけたことから、
それを日本の音楽業界が日本語に当てはめた訳語が『新主流派ジャズ』だということです。

この『新主流派ジャズ』は現在に至るまで、ジャズのメインストリーム(主流派)・ジャズとも言えるスタイルで、
ここにジャズの発展における一つの完成形を見ることができます。

Last updated December 20, 2008

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