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All The Things You Are

June 25, 2005
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テーマ:Jazz(1584)
カテゴリ:カテゴリ未分類
『イパネマの娘』(Garota De Ipanema)
ボサノヴァの代表曲

ブラジル、リオディジャネイロのイパネマ海岸から100メートルほど通りを入ったところにあるレストラン、
1962年始め、ここであの有名な「イパネマの娘」という曲は生まれました。

アントニオ・カルロス・ジョビンと、当時コンビを組んでいた詩人のヴィニシウス・ジ・モライスは、
よくこのレストランで曲の打合せをしていました。
そのとき、ジョビンは店の外を歩いて行く一人の美しい女性に目をうばわれ、
ヴィニシウスにこう話しかけました。
「ほら、ごらん、なんて美しい娘なんだろう」
このモデルになった娘の名はエロイーザ、当時16歳。
そして、この言葉がそのまま「イパネマの娘」という曲になったと言います。

この年の終わり、ジョビンとジョアン・ジルベルトたちはアメリカへ渡り、コンサートやレコーディングをします。
人気のジャズ・サックスプレイヤー、スタン・ゲッツは早くからこのボサノヴァに注目していて、
すでにギターのチャーリー・バードのアイディアで、ジャズにボサノヴァを取り入れた、
「ジャズ・サンバ」というアルバムを出してヒットしていました。
ですから、スタン・ゲッツは本場ブラジルのミュージシャンであるジルベルトたちと共演することで、
ジャズとブラジル音楽との融合(フュージョン)をはかろうとしたのです。

それが1963年にレコーディングされた、「ゲッツ/ジルベルト」というアルバムで、
この中に「イパネマの娘」という曲が収録されました。
そして、この曲には、製作過程では全く予定外だったジョアン・ジルベルトの妻、
アストラッド・ジルベルトの歌が入っています。

「イパネマの娘」をレコーディングしている時に、
歌手になりたいと思っていたアストラッドが、自分も歌いたいと言い出したそうです。
ジョアンはド素人のアストラッドに歌わせるなんてとんでもないことだと、
何とか歌わせないように説得しましたが、
一緒にレコーディングをしていたアントニオ・カルロス・ジョビンが別トラックに歌わせるだけ歌わせて、
ミックスダウンの時にそのトラックは削ればいいんだからといって、英語の歌詞で歌わせたそうです。

やはり、アストラッドの歌はとるに足らないひどいものでした。
発音やイントネーションの間違いも多くて、何回も取り直しをしてやっと完成させたといいます。
マスターテープにはジョアン・ジルベルトの歌とは別のトラックに、
単独でアストラット・ジルベルトの歌だけが入っています。

アルバムになった時に、「イパネマの娘」は1コーラス目はジョアンのポルトガル語の歌ですが、
2コーラス目と3コーラス目はアストラッドの英語の歌になっていました。
そして、1964年にこのアルバムから「イパネマの娘」がシングルカットされたのですが、
その時にはジョアン・ジルベルトの歌は全て削られ、アストラッド・ジルベルトの歌だけになっていたのです。

そのおかげで、このレコードは200万枚を売リ上げるという大ヒットとなり、
ボサノヴァは、アメリカにおいてポピュラー音楽の仲間入りを果たすことができました。
アストラッドの素人っぽい歌も、結果的にはヒットの要因となったと言えます。
「ときどきイントネーションを間違い、音程がみだれるところが彼女の魅力である」と評価されました。

当時のプロデゥーサーのクリード・テイラーは、
「ジョビンが、この曲には英語の歌詞があってアストラッドが歌えると言ってきたので助かった。
もし、あのままジルベルトがポルトガル語で歌っていたのなら、おそらくヒットはしなかっただろう。
ジョビンは賢い男なので、そのへんのことを良く分かっていたのだろう。
アストラッドが英語で歌った時に、これでヒット間違いなしと確信した」と話しています。

ジョアン・ジルベルトは、ギターのリズムとポルトガル語の歌があってこそボサノヴァであると信じていました。
しかしこうして「イパネマの娘」はジョアンの全く意図しない不本意な形になってしまったことで、
ボサノヴァの代表曲として、世界中に広まる結果となりました。
この曲はグラミー賞を獲得し、歴史に残る一曲となりました。

ジョアンとアストラッドは、この後破局を迎え、
ジョアン・ジルベルトとアントニオ・カルロス・ジョビンは、この「イパネマの娘」のレコーディングを最後に
二度と一緒に作曲や演奏活動をすることはありませんでした。

偶然と奇跡から生まれた曲、『イパネマの娘』

*****

●邦題:イパネマの娘
英題:The Girl From Ipanema
ポルトガル語原題:Garota De Ipanema

オリジナル作詞:ヴィニシウス・ジ・モライス
英語版作詞:ノーマン・ギンベル (1963年)
作曲:アントニオ・カルロス・ジョビン
1962年


【オリジナル歌詞の訳】
(英語版歌詞とは多少異なります)

ほら ごらん
なんて美しい娘なんだろう
甘くスイングしながら
浜辺の通りをゆく
あの娘

黄金色の肌の輝き
イパネマの太陽のように
その 彼女の揺れる姿は
この世で いちばん美しいもの

ああ、なぜ僕は
こんなに孤独なのだろう

ああ、なぜすべては
こんなに悲しいのだろう

ああ、
あんな美しさが存在するというのに
その美しさは僕のものではない
ただ 通り過ぎてゆくもの

彼女が通り過ぎてゆく時
世界中は微笑みをうかべ
愛で満たされる






Last updated  June 28, 2005 05:35:48 PM
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