2007/01/21(日)15:57
E.S.P. / Miles Davis マイルスが動いた
E.S.P. / マイルス・デイヴィス
E.S.P. / Miles Davis
録音日:1965年1月21~22日
録音場所:アメリカ、ロサンゼルス
レーベル:Sony(日本盤:ソニーミュージックエンタテインメント)
[パーソネル]
マイルス・デイヴィス(tp)
ウエイン・ショーター(ts)
ハービー・ハンコック(p)
ロン・カーター(b)
トニー・ウイリアムス(ds)
[収録曲]
1.E.S.P. イー・エス・ピー
2.81(Eighty-One) エイティー・ワン
3.Little One リトル・ワン
4.R.J. アール・ジェイ
5.Agitation アジテイション
6.Iris アイリス
7.Mood ムード
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マイルス・デイヴィスが、1965年1月21日から22日に録音したアルバム。
これは、1959年にマイルス・デイヴィスがモード・ジャズを確立したアルバム、
『カインド・オブ・ブルー』を製作してから6年になろうとしているときの作品です。
『カインド・オブ・ブルー』のあと、1960年代前半、
マイルスはライヴ盤の傑作を多く発表してきました。
そして、1964年7月、いよいよサックス奏者にウエイン・ショーターが加わり、
ジョン・コルトレーンがいた1950年代の黄金のクインテットに続く、
第二期黄金クインテットが誕生します。
ウエイン・ショーターが加入してからマイルス・クインテットは西海岸をしばらくツアーして、
それからヨーロッパを回りましたが、そのときのライヴ盤が前作『マイルス・イン・ベルリン』です。
このとき、ウエインが加わったことで、マイルスは今までとは違う、
何か新しいものを作り出せそうな気がしたようです。
そのことについてマイルスは次のように語っています。
「ウエインが加わって、バンドのサウンドが俄然フリーになった。
最初の日からそうだった。
オレが最初に「ジュシュア」のワン・フレーズを演奏した途端、ヤツが絡んできた。
その瞬間、リズム・セクションが爆発したんだ。
ぞくぞくするほどの興奮だった。
リハーサルなんかやっていないのに、ウエインは演奏のツボを心得ていた。
ハービーもロンもトニーも、それ以前にレコーディングやセッションで何度もヤツと共演していたから、
やり方がわかっていたんだろう。
オレだけが知らなかった。けれど、それがオレに火をつけた。
こんなヤツと毎日演奏できるかと思うと、すっかり有頂天になってしまった。」
マイルスはこのメンバーになって、バンドのサウンドが変わろうとしていることを実感し、
久しぶりにスタジオ録音をしようと決意したのでした。
そうして出来上がったのが、このアルバム『E.S.P.』ですから、
ここにはその、「何か新しいもの」が詰まっている重要なアルバムなのです。
今までは、スタンダード・ナンバーを多く取り上げていたのが一転して、
このアルバムでは全曲、オリジナル・ナンバーです。
マイルスは、このときようやく納得のできるグループを結成したのでした。
これによって、しばらく続いたライヴ・レコーディングの時代が終焉を迎えます。