読書進化論 人はウェブで変わるのか。本はウェブに負けたのか。 勝間和代
読書進化論最近、勝間さんが熱い。以前から行動的な人であることは知っていたが、ここ2~3ヶ月は更にパワーアップした感じがする。この「読書進化論」は新書の出版にとどまらず、・新ブログ「勝間和代のBook Lovers (ブックラバーズ)」の開設・ラジオのパーソナリティーとして出演 J-WAVEで平日12:30~12:45・同じものがPod Castにもある。・読書感想文を募集・サイン会、講演会で全国行脚(名古屋は10/4)と、息つく間もないくらいだ。もちろん本業もこなしつつ、他の仕事もされているのだから、その生産性の高さには驚愕せざるを得ない。さて「読書進化論」であるが、本書は読書好きに捧げる、新しい読書本と冒頭に説明があるが、本を読む人だけを対象としているのではなく、作者や販売に携わる人など、本にまつわる多くの関係者に向けたメッセージなのだ。さらに近年、我々の生活に欠かすことができなくなったほどのウェブとの関係についても述べられている。目次はじめに勝間和代著作一覧序章 成功や自由は、読書で手に入れるインターネットと本本ほど人生の疑似体験ができる身近なツールはほかにはない本は「成功への投資」第1章 人を進化させる読書があるウェブ時代の本と書店の再定義自分を進化させる本とリアルな出合い方読者が進化して著者に、上場株(=パブリックな人材)になるウェブで発見され、約1年で150万部の売上に再現性が高い本は”ご利益”をもたらす勝間式 書店ぶらぶら歩き(1)「リブロ青山店」編第2章 進化している「読む」技術フレームワークがない読書は身につきにくい本選び基準のひとつは「ウェブや友だちの話より質が高いかどうか」良書との出会いが読書体験を豊かにする秘訣自分の読書レベルに合った読み進め方がある多読や速読など、「読む」技術について「読んでおしまいにしない」が究極の技術第3章 「書く」人も進化する深い話を広く伝える手段として、本は最もリーズナブルな流通形態文章力はブログやメールで進化させることができる書店は宝の山。"本のコンシェルジュ"を活用するのも手勝間式「相手がわかりやすく読みやすく書く」ための4つの技術技術1 「自分の例」「アンソロジー形式」を利用して、親しみを持たせる技術2 「役に立つフレーズ」を必ず入れ、読書だけに体験を閉じない技術3 「共通体験」や「流通していることば」を使って行動を促す技術4 「コンテンツ力」と「編集力」で進化していくウェブで発見されて著者に進化するには第4章 「売る」仕組みを進化させる出版業界は「プレイス」と「プロモーション」が弱い好循環を生む基本的な仕組みは「まじめにつくって、まじめに売る」「著者ブランド」を最大限に活用するリアル書店をネット書店の特徴を生かした「売る」仕組み作りをウェブの活用、チャネルの再考・・・まだある、出版社にできること勝間式 書店ぶらぶら歩き(2)「丸善丸の内本店」編終章 これから「読みたい」「書きたい」「売りたい」と思っているみなさんへ読書の進化形印税寄付プログラムChabo!(チャボ)すべての人にフェア(公平)な可能性を秘めている「読書」の世界私を進化させた20人の著者巻末資料おわりに冒頭にも書いたが、目次からもわかるように第2章は「読者層」向け。第3章は「著作者(を目指す人)」向け、第4章は「販売に携わる人々」向けである。他の読書本と異なり、著作者、販売者向けのコンテンツがある読書本は珍しいのではないかと思う。特に販売に携わる人向けの箇所は、会計士であり経済評論家である勝間さんならではの視点で書かれており、とても興味深い。「勝間和代のビジネス頭を創る7つのフレームワーク力」でも書かれていたマーケティングの4P(Product,Price,Place,Promotion)のフレームワークに従い書かれていたのが印象的だ。勝間さん曰く、出版業界は「プレイス」と「プロモーション」が弱いという。その中でも「プロモーション」に関し、勝間さんは様々なアイデアをトライ&エラーで実施しているのだと推察される。暇な人では決してない。多忙な部類の方だと思う。まさに自分をグーグル化し生産性向上を実践しつつ、本書についても冒頭に触れたようなプロモーション活動を自ら行っている。世間一般人よりは本を読むと自負している私だが、ここまで世間に露出している著者は見たことがない。内容もすばらしい著作だが、ここまでのプロモーション活動を行えば「売れる」のは必然だろう。これからも勝間さんの活動には注目していきたい。読書進化論