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 ÅOUME-青梅-

 ÅOUME-青梅-

日本双子話2

日本双子話2
前回までのあらすじ。嫐(なぶり)と嬲(なぶる)という名の双子の姉弟がいました。名前、その他でいろいろ苦労しました。漏らしました。
では、今日はここから。
新しい学校に入り、あの事件以来、双子は順風満帆な生活を送っていました。友達も沢山できて、二人はとても幸せでした。
「嫐ちゃん、ここのところどう編むか教えて?」
「うん、えーっと、ここはこうして・・・で、次の段からはさっきと同じように編んでいくの。」
「わぁー、嫐さんって器用なんだねっ。」
「ふふ、そんなことないよ。」
季節は冬。もうすぐクリスマスです。女の子達は車座になって、それぞれ意中の人に渡すブツらしきを編んでいます。
「嫐ちゃんは誰にプレゼントするの?」
「えっ!?えっと、その、わたしは・・・。」
「あ、私も気になるぅ!泉の姫さまの愛がこもったプレゼントをもらえる、幸福な相手!」
周りにいた女の子達が一斉に詰め寄ります。かなりの美少女で人当たりも良い嫐は、誰にとっても強力なライバルとなり得るのです。ちなみに泉の姫というのは、転校初日に放尿さらした彼女への、悪意のないニックネームです。
「えっと、えっと・・・・そう・・・嬲っ!嬲のために編んでるの!」
「弟さんの?本当かなぁ?」
「ほんと、ほんとだって。」
「うーん、でもそうなると困ったなぁ。あたし、嬲くんに渡そうと思ってマフラー編んでるんだよねぇ。嫐さんが作ってるのもマフラーでなんでしょ?」
「安心しなよ清音!嫐にはきっと別のお相手がいるんだから。ね?」
「だからちがうって!」
華やいですっかり桃色な教室。しかし、そのモヤを一気に払うかのようにドアは開かれました。
 ガララ
「御陵(みささぎ)、今ちょっといいか?」
「え・・・。うん、いいけど。」
「お、来ましたか?お相手が。」
「そんなんじゃないの。あ、わたしちょっとはずすけど・・・。」
「わかっておりますよ。では、ごゆっくり♪」
「むぅ、ぜんぜんわかってない。べつになんにもないんだからね?」
ガララバタン
ドアを閉めたとたん、すこしボリューム大き目なこそこそ話が沸き立ちました。しばらく歩いて。
「ねぇ?」
「ん?」
「ああいうのやめて。」
「ああいうのって?」
「だから、教室来て、ピンポイントに名指しで・・・。」
「なんか問題でも?」
「普段ならともかく。今の時期はいろいろあるの。」
「ふーん、まあいいや。コレ、いつものやつ。」
「うん、ありがと。」
「そろそろそっちからも手を引いた方いいんじゃねぇのか。」
「コレは当分続ける。嬲を守るためだから・・・。」
男に渡された便箋には宛先に、『御陵・嬲』と記されていました。


つづく(つづいちゃった)


日本双子話2-2
校舎裏の小さな畑。生徒達が世話をしている野菜が、元気いっぱいに葉を伸ばしています。
「お水だよ~♪体は売っていないけど~♪お水はタダであげますよ~♪」
自作の歌を歌い、上機嫌な少年。名前に似合わず、人にも草木にも優しい男の子。それが御陵・嬲(みささぎ・なぶる)11歳でした。

「な、嬲くんっ・・・。」
「あ、平木さん、今日も来てくれたんだ。」
「はいっ、あ、いえ私は好きで来ているだけなので・・・。」
「ううん、いつも助かるよ。今日もよろしくね。」
「は、はい、こちらこそよろしくお願いしますっ・・・。」
嬲に話しかけた少女。平木・尚梨(ひらき・なおり)同じく11歳。名前に似合わず責任感が強く、何でも思い詰めてしまうタイプの女の子です。二人は掃除箱からホウキを一本ずつ持ち出して畑の周りをはき始めます。
    シャッ シャッ シャッ
「嬲くんは偉いですね。いつもここに来て、畑の世話をしたり、掃除をしたり・・・。」
「それを言うなら平木さんだって毎日来てくれるじゃん。」
「わ、私は最近来始めたばかりですし・・・。本当なら学級委員の私が、みんなに当番をまじめにやるように言わなくちゃいけないわけで・・・。」
「はは、平木さんは何でも自分のせいにするんだね。見てて笑えるよ。」
「そ、そうですか?」
「うん、かなり。バカみたいだよ?」
「は、はぁ・・・。」
どうやら二人は仲が良いわけではないようです。
    シャッ シャッ シャッ
と、その時でした。
「なぁああ~ぶぅうう~るぅううっ!!!!!」
静寂なる午後の一時を、ラスボスの必殺のごとき叫びが葬滅させます。
「ね、姉さんっ!?な、なんでここに!?」
「なんでも、クリストファー・ロビン、スティ-ブン・セガールもないよっ!ちょっとこれ見なさいっ!あんた、今度は何をしたの?」
言葉と同時に一通の手紙が差し出されました。宛先は嬲のようです。
「こ、これって・・・・。」

手紙の内容

やっほう!ナブちゃん元気してた?今年も始まるよ!K・O・F(今年の・お前は・不死身だぜ)が!ナブちゃんももちろん参加するよね?つーか参加拒否したら死ぬしw全回とほぼルール同じだけど、一応説明しとくと『ぼくらが参加者を殺しに行くから死ぬ気で生き残ってねぇ~♪最終的に生きてれば、途中死んでもおっけい♪武器、兵器、魔法、紋章術、何でもあり!あ、でもでも、大会中チクワだけは食べちゃダメ!食べたら失格だよ! 今回は主催者側も参加者側も無駄にはりっきてるからいっぱい死ぬね♪ がんばっ♪』

「・・・・・・・・。」
嬲の顔がみるみる青ざめて行きます。
「ちょ、ちょっと待ってよ。この大会って前回で終わりじゃなかったの!?それに『途中で死んでもおっけい♪』とか『魔法、紋章術、何でもあり!』って誰のためのルール!?」
「しらないよそんなこと!だから『今度は何したの?』って聞いたんでしょ! もうっ、『わたしに先に閲覧させるように』って、情報屋に頼んでおいて正解だったよ。まさかKOFなんかに首をっつこんでいたなんて・・・。」
「よ、余計なことすんなよっ!」
「余計なこと?それはこっちの台詞だよ!生活費稼ぐためかなんか知らないけど、あんたが相変わらずアブナい仕事やってるって知って、心配したんだから・・・。」
「そ、それは・・・。」
「まぁ、いいけどね。このままだとあんた死ぬし。」
「・・・・・。」
「手を・・・貸してほしい?」
「・・・・・・・うん。」
「わかった。でもコレが最後だよ?次は無いからね。」
「・・・・うん。」
嫐は弟の手から手紙を抜き取ってスカートのポッケにねじ込みました。
「また・・・始まったんだね。わたしたちの戦いが・・・。」
「・・・うん。」

「あの・・・掃除終わりました・・・。」
「ご苦労。」
戦いは始まる。双子の運命はいかに!

つづく(またとつづいちゃったw)

日本双子話2ー3
暗い部屋。パソコンのディスプレイだけが、ぼんやりと少女の姿を切り出していました。開いては消えるウィンドウを次々に眺め、ため息をつく少女。御陵姉弟、双子の片割れ御陵・嫐(みささぎ・なぶり)御歳11歳。
カタカタカタ・・・・シィーーーカチッ・・・カチカチッ
「ふぅ・・・お風呂沸いたよ。ん?姉さん調べ物?」
「そ・・・。というか、あんたノン気過ぎ。わかってるの?下手したら死ぬんだよ?」
「分かってるよ。姉さんがいれば百人力さ。勝利は見えたね。」
「はぁ・・・あのねぇっ・・・。」
「ところで何を調べてたの?」
嬲が画面を指さして問います。嫐は頭痛に額を抑えてとりあえず答えます。
「戦いに使う武器・・・。銃とか爆弾とかいろいろね。わたし、この仕事辞めてからほとんどのライン切っちゃったから、連絡取るのにも苦労してんの・・・。」
「俺のライン使えばいいじゃん。」
「あんたのは出所、オーナーもろもろが得体知れな過ぎなの。任務終わったらバイバーイみたいないつもの仕事なら都合いいけど、今回は釣られたり売られたりすると面倒でしょ?だからなるべく顔なじみで揃えてるわけ・・・。わかった?」
「なるほど。さすが姉さん。」
「はぁ・・・我が弟ながら、このノー天気ぶりには呆れるよ。・・・・・お風呂入ってくる。」
「はは、ごくろう、こくろう♪」

嫐がお風呂から上がって、二人は寝室に向かいました。布団の中でも作戦会議(?)は続きます。
「大会っていつから始まるの?まさかそれも分からないって言うんじゃ・・・。」
「えっと、K・O・Fは毎回、招待状が来た次の満月の日の日没に始まるんだ。・・・・たしか。」
「た、たしかって・・・。次の満月ってコトは、五日前が新月だったからぁ・・・・。」
嫐が携帯電話のカレンダーを開きます。
「・・・・あはははっ。」
「どうしたの?」
「次の満月は13日の金曜日♪」
「え、延喜でもない・・・。」
「ううん、そうでもないよ?」
「え?どういうこと?」
「今は秘密♪ よし、あんたはこの日までに自分の準備を整えてなさい。」
「姉さんは?」
「わたしは別の準備があるから。じゃ、おやすみぃ~♪」
「なんだよそれ?ま、いっか。俺も寝よ。」
何か楽しそうな嫐。相変わらずノン気な嬲。双子は本当に大丈夫なのでしょうか?
待て!次回!

つづく(いつまでつづくんだぁ~)




日本双子話2ー4
騒がしい教室。生徒達はすでに冬休みモード突入と言った感じで、クリスマスはどうだ、正月はどうだ、と大いに盛り上がっています。中には「飲める飲める飲めるぞ♪」などと歌い出す輩まで出現する始末。ここは学校だぞ!と注意する教師の呂律もいささか疑わしい感じです(おいおい)
さて、歓喜に沸くフィールドに一部、一際沈んだ空気のゾーンがありました。
「おおおおい、ややややばいよ。ああああ明日だよ。こここここ殺されれれれれれ。」
「ちょっと嬲、落ち着きなさいよ。ついこの間まで『姉さんがいれば百人力さ。勝利は見えたね。』とか言ってたじゃない・・・。」
「だだだだって、あああああああ明日だよ?死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ・・・・・。」
「はぁ・・・・我が弟ながら情けない・・・・。」
「ふふふ、何を話しているんだい?麗しの泉の姫。」
「あ、佐々木君。それがね、嬲が情けなくて困っているの。」
「ふふ、お困りとあらばお助けしよう。他ならぬ君の為だ。」
佐々木と呼ばれた少年は嬲の方へキザったらしく振り向きました。薔薇の代わりなのか、口にはトリカブトの花をくわえています。見たまんま危険な男のようです。
「嬲君、嫐さんを困らせるのはやめたまえ。」
「いいいいい今はそそそれどころじゃなななないんだよ。おお俺あああ明日し、しし死んじゃうかも知れないんだ。」
「そんなことは関係ない。嫐さんを困らせるのをやめたまえ。」
「おおお前こそかかか関係無いだろう?」
「そんなことはないさ。なにせ嫐さんは、ミっちゃんとケイちゃんとキョウコとナガヤマさんミズキさんの次に好きな女性だからね。」
「・・・わたし六番目なんだ。」
「順番なんて関係ないさ。」 
「じゃあ、付けんなよっ!」
「君は何におびえているんだい?」
「だだだだだから、明日死ぬかもっていいい言っただろっ!」
「そうか、かなしいね。」
「かなしいよっ!むっちゃかなしいよ!うぅ・・・・。」
「朝からずっとこんな感じなの。ね?情けないでしょ?佐々木君、なんとかして。」
「いや、僕は嬲君に同情するよ。」
「なんで?」
「嬲君は僕の一番好きな男性だからさ。」
「・・・・はは、うれしくねぇよ。」
「・・・わたしは六番目なのに。」

そんなこんなで日は落ちた。
「はぁ・・・・死ぬ。」
すっかり絶望の底にいる弟。
「ふふ、それでもだいぶ落ち着いたね。」
余裕の姉。
「さて、そろそろかな。」
嫐がコタツから立ち上がります。
「何が・・・?」
「ちょっと手伝ってよ。」
「だから何を・・・?」
答えずに部屋を出ていく嫐。仕方なく嬲もその後をついていきます。
「うげっ!な、何コレ。」
たどりついた部屋、そこにはロールプレイングゲームなんかでよく見る感じの魔法陣が展開され、その周りを囲むように鏡が伏せてありました。
「・・・姉さんってこういう趣味が合ったの?」
「趣味?なんで?あ、まださわったらダメ。私が合図したら鏡を立てて。」
「・・・・?」
「いいからっ。」
「・・・・うん。わかったよ。」
とは言ったものの、嬲はこれから何が始まるのか、まったくわかりません。当の嫐はといえば、何やらしきりに時計を気にしています。
「あ、来るよっ!・・・・3・2・1! 今っ!上げてっ!」
ガタンっ!
嫐、嬲がそれぞれ鏡を持ち上げます。鏡が鏡を映し、その鏡の中の鏡がまた鏡を映し、合わせ鏡は無限に続く空間を創りました。足元の魔法陣は淡い光を讃え、どこからともなく風が吹き込んで渦を巻きます。
「ななななにこれ!?ねぇ、これなに!?」
フッ・・・
突然部屋の明かりが消え、一瞬にして辺りが闇に包まれました。
「え?えっ?」
落ち着く暇もなく
ピシャーンッ!
雷鳴のごとき轟音が頭を射ぬきます。
「っ!!」
耳の痛みと衝撃に思わず目を閉じました。
しかし・・・
「・・・・。」
「・・・・・・。」
「・・・・・・・・・あれ?」
目を開きます。部屋は何事もなかったように静かです。電気もついています。
「え、これはいったい・・・。」
 ガラガラガラ・・・
何かが崩れるような音。さっきいた部屋の方です。駆けつけた二人が見た光景・・・。
「えっと・・・・?」
少女です。コタツを破壊して少女が倒れています。相変わらず、嬲には状況が見えません。
「・・・女の子か。子どもの悪戯じゃ、まぁ、こんなところだろうけど。」
「あの、姉さんはさっきから何を?」
「ちょっと、あんたっ。起きなさいっ。」
「無視かっ!」
「うぅん・・・・・・・・はっ、す、すみませんっ。じ、自分は初召喚でありまして、その、あまり術式がよろしくなかったせいか気絶してしまって・・・あ、いえ、けしてあなたが下手だったとかそういうことを言いたいのではなく。」
「あんた何級?」
「はいっ!準二級でありますっ!」
「そ。じゃあ仮免は持ってるんだね。」
「はいっ!」
「・・・あの、俺にも分かるように説明を・・・。」
「うん、わかった。嬲、今日は何日?何曜日?」
「13日の金曜日。」
「さっきやったことは?」
「魔法陣の上で鏡を向かい合わせて・・・。」
「うん、合わせ鏡。」
「・・・・・?」
「聞いたこと無い?13日の金曜日に合わせ鏡すると悪魔が出てくるっていうの。」
「ん?ああっ!あれね!なるほどこれは・・・って納得するかっ!!つーか、この子悪魔なの!?」
「はいっ!準二級でありますっ!」
「・・・・・。」
「あんたがオカルトとか信じないのは知ってる。でもこの大会、相手はばんばんそういうの使ってくるよ。目には目を、オカルトにはオカルトをってね。」
「あの、あなた方は自分と契約なさるおつもりで?」
「ええ、そのつもり。」
「悪魔と契約・・・。」
「死ぬよかましでしょ?」
「・・・・まぁ、うん。」
「よし決定。悪魔ちゃん名前はなんて言うの?」
「自分は『カルナ』といいますっ!」
それを聞くと、嫐は咳払いを一つ,改まった態度を取りました。
「では言霊の契りを行ないます・・・・・『カルナ』、汝は我『御陵・嫐』及び『御陵・嬲』と契りを交わし、主の野望のために力を尽くすと誓いますか?」
「はい、手をお貸ししましょう 悪魔で良ければ・・・。」
返答を述べ、嫐と嬲両名の手に口付けた。
「痛っ。」
  ぺろっ
「・・・・・失礼しました。契約は成立であります。」
「さぁ、もう後戻りはできないよ。悪魔に血の味を覚えられたからね。」
「あーあ。なんかもう恐いもんねぇよ、いろんな意味で。」
悪魔と契約を交わした双子、いったい今後どうなってしまうのか?カルナの力とは?つーかここまで危険視されるK・O・Fとは?

つづく(もうとことん行こう)




日本双子話2-5
朝です。新しい朝が来ました。絶望の朝です。そんな嬲君の目覚めは、
「ふむぅ・・・。おにいさまぁ・・・。」
悪魔と共に・・・。
「・・・・っ!? ふえぁっ!!!かかかカルナちゃんっ!?なんで俺の布団で寝てるのっ!?」
「・・・・・っ!? ひゃぁんっ!!!すす、すみませんっ!!え、えっと、自分の小さい頃からの癖でありまして!! その・・・もう直ったと思ったんですけど・・・。」
真っ赤になって跳び退るカルナちゃん。キュートですね。
「嬲、いつまでもラブコメってると遅刻するよ?」
「ね、姉さん!!」
「ほれ、カルナちゃんも準備。」
「はい!」
「なぁ、姉さん。俺今日で人生終わりかも知れないんだよ?それでも学校へ行くべきなの?」
「それはそうでしょ?小学生に有給はないのっ。」
「さいで。」

いつもの登校、朝の会、授業、休み時間。コレが最後になるかもと思うと、その全てがなにか尊く感じます。そうでなくとも、物珍しそうにしている者が1名。
「わぁ、これが人間界の学校ですかぁ?自分は初めてでありますっ。感動でありますっ!」
「あぁ、嬲君。この子は誰だい?」
「おぉ、佐々木よ。この子は・・・悪魔なんだ。」
「あぁ、君という人は、この天使様が悪魔に見えるのかい?」
「おぉ、お前には女なら誰でも天使に見えるのではないのかな?」
「あぁ、女の子は誰だって天使さ。」
「おぉ、そうか・・・そうか。」

あぁ、こんな感じにいつの間にか放課後、てかそろそろ日没です。
「・・・・西から昇った太陽が♪東にしーずーむー♪」
「嬲さん、それ人間界の歌ですか?」
「・・・・忘れた。」
「おいおい、今更落ち込むでない、弟よ。きれいな夕日であるぞ。血みたいで。」
「あなたは本当に私の双子の姉なのか?ちったぁ弟を心配するとかっ!!」
「あ、日が沈みましたっ!」
「ぎやああああああ!!!!」
太陽と月がバトンタッチしたように、冷たい光が少年達を包みます。そして・・・。
  ザ・・・
「・・・・・。」
一人の和装の男が現われました。
「だだだっだだだだだだだっだ誰だっっ!!」
「・・・・・。」
「いいい行けぇっ!!カルナぁっ!!奴を殺せぇえ!!!」
「すみませんがそれはできないのであります。」
「・・・・・。」
「・・・・・なんで?」
「自分は準二級でありますから、人間界での殺害行為は認められていないのです。せめて悪魔一級か、死神三級以上を持っていないと・・・。」
「へぇー、そうなんだぁ・・・・・・いいから殺せぇっ!!!主人命令だぁ!!」
「えぇーっ!!そんなことしたら仮免許剥奪なのでありますよっ!?」
「んなこと知るかぁっ!!俺が死ななきゃ何でもいいっ!!」
「・・・・・。」
「あんたも何とか言ってくれっ!」
「・・・・拙者は・・・うぬを殺す。」
「ほらなぁ、あいつも殺せって・・・・・って俺ぇっ!?」
「べつに流れ的にはそれであってるんでしょ? で、あなたは何者なの?」
「・・・・拙者は『辻狩り』。」
「辻・・・狩り?辻斬りじゃなくてか?」
「・・・辻狩りは辻斬りを狩る辻斬り。」
「ややこしいな。」
「つまり、辻斬り版クロサギみたいなものってこと?」
「・・・・佐用。」
「じゃあ、関係ないや。俺、誰も殺さないもん。」
「・・・先刻、拙者を殺せと申していた。」
「うん、言ってたね。」
「言ってました。」
「ちょ、ちょっと、君たち!?」
「・・・・殺意ありき者は辻斬りも同じ。故に・・・・・狩る。」
「あははぁ・・・・ま、まじで?」
ついに第一の刺客登場!!もう死ぬな。成仏、嬲!!

つづく(もうちょっとで終わるから我慢しよう)




日本双子話2-6
雲一つ無い空、静かに浮かぶ月。拓けた空き地に四本の陰が並びます。
「あの・・・自分は何をお手伝いすれば・・・。」
一つは悪魔の。
「とりあえず相手は一人だし、嬲に任せてみましょ。それを考慮して私たちが作戦を・・・。」
一つは少女の。
「えぇっ!?俺噛ませ犬っ!?」
一つは少年の。
「・・・・では、参る。」
一つは辻狩りの物でした。
「えっ?えーっ!?ちょ、ちょっとたんまぁあああっ!!!!!!」
  ヒュオッ・・・ ガキィイーンッ
「む、受けたか・・・・存外できる。」
「てかホント二人とも手伝ってよっ!(涙)」
  ビュッ ヒュンッ
「あ、あんたも会話の脈絡無視して攻撃しないっ!」
「・・・・と、言いつつも交わすか。」
「交わすよっ!死ぬもんっ!!」
その殺りとり(?)の間に、少女は悪魔に耳打ちします。
(あなた人は殺せないんだよね?)
(はい、準2級でありますから。)
(そうかぁ・・・。じゃあ、今回の戦闘においてあなたの役割は盾かな。)
(はい?)
(つまり、攻撃はわたしたち二人でやるから、あなたはわたしたちを敵の攻撃から守って。)
(二人を、一編にですか?)
(ええ。 あなた飛行成績は?)
(え、えっと、区大会7位です。)
(十分。)
フュンッ フュフィッ キィンッ ザッ・・・シュランッ ガガガキィインッ
「加勢はまだですかぁっ!?おっとっ!わっ!ひゃっ!」
「・・・・ちょこざいな。」
 キュンッ
辻狩りは嬲から4メートルほど距離を取り、再び上段に構え直します。
「・・・六条流 辻狩剣術・・・奥義・・・。」
「お、奥義っ!?や、辞めようよ?そういうのっ。ね?ウソでも恐いからぁあっ!!」
「・・・辻風払いっ!!!」
「ききき、き来たぁぁあああ!!!!!」
チ、チュンッ・・・    ザシュ・・・・
「ふ、手応え・・・有り。」
   びちゃ・・・ しちゃ・・・

「・・・・・・くぅ、やっぱり・・・けっこう痛いですね・・・。」
「・・・・っ!?」
鮮血が滴り、苦痛に身体を縮める悪魔の少女。
「カルナ・・・ちゃん? な、なんで・・・。」
「安心してください・・・。悪魔は人間界では死にませんから・・・。」
「いや・・・でもっ。」
  スタタタタタターンッ     キキキキキィイーン・・・
「嬲もボーっとしてないで闘いなさい。」
小型のマシンガンを乱射しつつ、嫐が嬲呼びかけます。
「う、うんっ。」
「・・・・あやかしに、こじゃりか・・・。本来ならば拙者が刃を向ける相手ではない・・・が、我が敵は『殺意』そのもの。邪魔立てすると申すのなら・・・狩るより仕方なし。」
 ヒュオンッ ヂュシャッ ターンッ ターンッ スタタタタタタタッ
斬撃と射撃の嵐のごとき交錯。折り重なる殺意に舞い上がる紅。相手の陣地に死線を引き合うデスゲームの結末は約二時間後にも及びました。そして・・・。
「・・・・がっ・・・・。」
 ザッ ザッ・・・ ドサ・・・ッ
「はぁ・・・はぁ・・・はぁ・・・。」

「・・・・・・・不覚だ。・・・拙者が、童とあやかし風情に・・・殺られるとは・・・。」
「はぁ・・・はぁ・・・三人を相手にしといて・・・よく言うよな。」
「・・・わたしもう残弾ゼロ。」
「自分にいたっては両腕ありませんし・・・。」
「フッ・・・我が辻狩り道・・・・ここに尽きるか・・・・・・無念じゃ・・・・。」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」
「・・・・・・・勝ったん・・・だね。」
「うん・・・。」
「よかったんだよね・・・。仕方なかったもん・・・。」
「うん・・・。」
一人の侍が死にました。自分の道を追う途中、信念かなわず死にました。双子は恨ましいほど丸い月を背に、手を合わせました。
「嬲さん・・・悪魔の自分も彼の冥福を祈って良いものでしょうか?」
「・・・うん。 そうしてやりなよ。」
「はい・・・・・・・あっ・・・。」
「どうしたの?」
「自分、腕が・・・。」
「・・・・・・・・・・。」

一つ死闘を乗り越えた三人。だが、まだ戦いは始まったばかりだ。早くも暗い一面を見せ始めたK・O・F。双子は戦いの果てに何を手に入れるのか。というかカルナちゃんの腕は大丈夫なのか。
次回、その全てが明される。

つづく(次回は最終回・・・・たぶん)


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