048472 ランダム
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 ÅOUME-青梅-

 ÅOUME-青梅-

日本双子話「ショッピンウォー編」

日本双子話 ~ショッピングウォー編~上
前回までのあらすじ。
昔々、あるところに・・・両親を失い。それでも転校した先の学校では人気者になり。
危険な大会に強制参加させられ。それでもなんとか生き残った双子たちがいた。


そして・・・


あの大会から三年・・・


再び運命の歯車は動き出す。





「おっはよー!」
教室のドアが開く。元気良く入って来た少女、名を御陵・嫐(みささぎ・なぶり)。
彼女は御陵姉弟、双子の姉。
「あ、おはよ。姫、連休中なにか楽しいことあった?」
あれから三年。戦いの傷跡はきれいに消え、その記憶さえもが遠のき霞んだ平和な日常。
「もう、全然。なんかグダグダしてるうちに終わっちゃったって感じ?」
「ふーん。嬲くんは?」
戦士は乙女に。
「え?・・・あ、あいつのことは関係ないって。彼女と遊びに行ったみたいだけど・・
・。」
勇者は少年に。
「はは~ん、つまりうらやましいと。」
悠久の日々の中で。
「べ、別にそんなことはない・・・というか私は!」
「彼氏作ればいいのにー。姫、結構人気あるんだよ?」
すべては元道理・・・。
「あはははは、そうともさ!泉の姫君。君はこの世で僕が三番目に愛する女性なの
だからぁ!」
いや。
「・・・ありがとう、佐々木君。六番目から三番にしてくれて・・・。」
ささやかな変化はあったようです。

「例には及ばないさ!なにせ君は、僕が三番目に・・・。」
                         ガラララ

「何の話?」

「あ、おはよう。嬲君。清音ちゃん。」
「おはよー。」
「おはよう!我が同士にして、我が最愛の人よ!」
「彼女と連れ立って登校してるって状況に配慮した挨拶をしろ、お前は・・・。」
「つまり見てないところならいいのかい?」
「だからっ!!!」

「嬲・・・。」

「ん?なに?姉さん。」

「え、えっと・・・ううん、別になにも。」

「そう?変なの。」
この三年間。少年達は成長し、協調干渉し合って、のたのたのたのたすごして来ました。
ある者は恋に、またある者もやはり恋に。このだらだらとしたラブコメ話は
まぁ、気が向いたら取り上げることにして。

「あ、あの、皆さーん!注目っ・・・してくださーい。」
教卓に一人声を上げている女の子に視線を移すとしましょう。
彼女の名は平木尚梨(ひらきなおり)。このクラスの委員長です。
「おい、平木ぃ!まだHRの時間には早いぜ?」
昨夜のプロレス中継のモノマネで、独壇場を取っていた男子生徒からややブーイング気味な指摘が出ます。
「えっと、その、緊急の連絡なんです。全員席についてくださいっ。」
彼女はなんにでも一生懸命ながんばりやさん。名前に似合わず何でも背負い込んでしまう性格は合いも変わらず。この三年間も、クラス全員分の貧乏くじを独り占めに貪り食ってきました。
「別にそのまま話しゃあいだろ?」
しかし、彼女の近況にも少しばかり変化が。
「席に着きなさい・・・。尚梨さまが迷惑しておられます・・・。」
「ケイちゃん・・・。」
彼女の名前は、今瓦ケイ(いまがわらけい)このクラスの副委員長です。
実は名前だけは前作でも登場しているのですが気づいた人はいたでしょうか?
「はぁ?うぜーな!タメにさまとか付けてんじゃねーよ!きもちわりぃ!」
「貴様・・・。」
「い、いいよケイちゃんっ。私に説得させて?ね?」
彼女に頼もしいナイトが付いたのはつい最近なのですが、平木さん自身、ややもてあまし気味のご様子。
「説得には及びませんよ・・・。」
カツカツと男子生徒に歩み寄る副委員長。
「へっ、なんだよ?べつにいいだろ? 連絡は聞いてやるってんだから、何の・・・。」
「従わないのが一人なら・・・・あなたを黙らせてから話しを始めた方が、説得するよりよほど効率的というものです・・・・・。そうでしょ?」
「あぁ?なんだその言い・・・ゴキッ!!    ・・・・・・ドサッ  。」

カツカツカツ・・・
教卓に付いた副委員長は、咳払いをひとつ。
「お手数ですが・・・今日の掃除当番はソレを片付けてから帰るように・・・。」
とだけ言って。
「さて、本題に入りましょう。尚梨さま・・・。」
本題に入った。いや、入れました。
「え、あ・・・・・・はい。 えー、まず一つ目の連絡です。うちの担任が今朝死亡ました。」
確かに緊急の内容です。というかもう手遅れなんですね。
「ふーん、意外と持たなかったね。」
「あーあ、テスト近いのにー。」
「ま、そのうち代わりが来るでしょ。」
「今度のはもう少し長生きしてほしいよなぁ・・・。」
思い思いにお悔やみ申し上げる生徒達。最近の子はドライだなー(もうスーパーマグナムに)。と。
つか、その言い方だとしょっちゅう担任死んでるみたいな。
「では二つ目の連絡を。うちのクラスは今年の『ショッピングウォー』に参加します。」
委員長は言いました。

その言葉に教室中がざわめきます。
「え、あれって一年生のみが参加する大会なんじゃあ?」
誰かが言ったそれに
「今年から学年からひとクラスずつ参加することになったのだそうです・・・。」
今度は副委員長が答えました。
「マジかよ。メンデー。」
「あれってほとんどなんでも有りなんでしょ?やだなぁー。」

「つか、なんでオレたちのクラスなわけ?」

先ほどの担任死亡に比べ、この話題への食いつきはクラスの七割近くにものぼっています。そして・・・。

「私達のクラスが参加することになった理由・・・それは・・・・・」
言葉に詰まる委員長が、図らずもクラス全員の耳を傾けるさせる形となりました。

「校長先生が・・・そうお決めになられたからです。」

「!!!?」
空気が変わります。
「こ、校長が・・・直々にか?」
「はい、校長先生は『みんなで楽しんできてください』と私達に命ぜられました・・・。」

「おい・・・マジかよ・・・。」
「校長といったらこの学校の長だろ?」
「スゲー・・・。」
これは、俗に言う、『小学生のころは、校長がすごい偉大な人に見える現象』でしょうか?
それにしても彼らの反応は・・・。
「どれだけ大きなものが陰で動いているんだ・・・。これは委員会・・・いや、児童会の関与すら示唆される事態だぞ。」
いささか。
「負けられないわね」
行き過ぎているような・・・。
「はい、私としては、これを最重要任務として位置づけたいかと・・・。どうでしょう?」

「異議なし。」
「異議なし。」
「異議なし。」
「異議なし。」
「異議なし。」
「異議なし。」
「異議なし。」
「異議なし。」
「異議なし。」
「異議なし。」
「異議なし。」
「異議なし。」
「異議なし。」
「異議なし。」
「異議なし。」
「異議なし。」
「異議なし。」
「異議なし。」

怖っ!!

「へ、久しぶりに祭りの予感だぜ。」
「もう、嬲ったら・・・。」
「しかし、嫐さんも嫌いじゃないのでしょう?」
「まぁ・・・そうだけど・・・。」

御陵姉弟の新たな戦い。

ショッピングウォーとは。

ついでに佐々木の恋の行方は。

待て!次回!


日本双子話~ショッピングウォー編~上の二
校長の命を受けて士気を上げた5年G組。
「それでは・・・・。」
カーテンは閉められ。暗がりの部屋の中で。
「これよりショッピングウォー制覇を目的とした作戦会議を始めます・・・・。」
作戦会議は始まりました。
「はじめに、今年のショッピングウォーのルールを説明しましょう・・・。スライドをご覧ください・・・・。」
ガシャァアアッ    カラカラカラ・・・・

「随分ボロ臭いスライドですね。」
尚梨は興味深げにそれを覗き込みます。

「はい・・・父の形見ですから・・・・。」

「え?・・・あっ、ご、ごめんなさいっ!!そんな、知らなくてっ・・・わたしボ、ボロ臭いとかっ・・・。」

クス・・・
「冗談ですよ・・・。」
「・・・・え?っもう!ケイちゃんいじわるですぅ。」

真っ赤になって上目使いに睨みつける委員長、平木尚梨。かわいい・・・。

「ほれ、百合漫才はいいからサクサク続けろ。」
野次に押し進められ副委員長が説明を続けます。スライドには地図といくつかの点が示されました。
「皆さんもご存知のとおり、ショッピングウォーとは、一年生を対象として毎年行われている、お買い物レースです・・・・。」
カツ・・・ッ
「校舎をスタートし・・・。」
ツイー・・・・ッ
「商店街を回って目的の品物を買い集め・・・・。」
ツイー・・・・ッ
「スタートに戻る・・・。基本のルールは変わりません・・・。」

「じゃあ、なにが変わったんだよ。」
「今回の大会が学年対抗になったということは先ほどお話しましたが、それに伴っていくつか規定が厳しくなっています・・・・。これについては、ルールブックの前文に詳細が書いてありますので各自良く目を通しておくように・・・。」
ルールブックが配布され、前から回ってきたルールブックを受け取る嬲。
「ん?これはなんだ?」
冊子といっしょに回ってきた一本の筒箱。
「さん・・・か・・・しょう?」
独特な字体ですが印刷はそう読ます。
「おい、早く回せよ。」
「あ、わりぃ・・・。」

前文。
 はぁーい!良い子のみなさーん!そして悪い子のみなさーん!二階席のみんな(?)も元気かなぁー?

ショッピングウォー!はーじまーるよーっ!!

今回は小学年、中学年、高学年のみんなが参加できる大会なのーっ!!
でだ。それに当たって何でも有り的だったルールを一部改変しようと思うぞ♪
まず、銃火器、刀剣、闘犬、東建の使用を禁止します(詳細は二章に記載)
と、いうわけで!武器に使って良いものは、その『参加賞の中に入ってるもの』と己の身体のみっ!!
見苦しく惨たらしく、殴り合い踏みにじりあってくださいね?
その他のルールは昨年と同じ(詳細は一章に記載)
例年道理、豪華副賞を用意してます!がんばろーうっ!!



「この文体・・・どっかで見たような・・・?」

「豪華副賞だってさ!なんだろうな?」
「それよりこの参加賞が気になるんだが・・・。」

教室がザワつき出したのを見計らって、副委員長。
「ルールの確認が終わったようなので、我がクラスの作戦について提案しましょう・・・。
私たちのクラスには、幸い能力の高い生徒が充実しています・・・。したがって、集団行動を強制して油断や口論の種を作るより、二人組程度のタッグを組み。各自で品物を獲得、帰還という形をとるべきだと考えます・・・が、いかがか・・・?」
しばしの沈黙。
「俺からもひとついいか?」
後ろのほうの男子生徒が挙手しました。
「どうぞ・・・。情報屋の人。」
「・・・いい加減名前覚えてくれよ。俺も転校してきてここの生徒なんだからさ。俺の名前は。」
「それは結構・・・。提案の内容を優先しなさい・・・。」
「ちっ・・・。 あーまぁ、なんだ、お前らの中にもいろいろやり方があると思う。実力で敵をぶっ倒したい奴、ゴール寸前で横取りを考える奴、情報戦でサポートに回る奴。
ここはタダそれぞれが正当法に品物を狙うのでなく。敵の排除足止め役、品物獲得要員、補給サポート役と、分業してかかった方がうまく行くと思うんだ。その上で業種ごとにペアで行動させ、ゲームの展開を見て、追加投入しながら作戦を遂行する。どうだ?」

「悪くはありません・・・。作戦の指揮は私が取りましょう・・・。しかし、それを成功させるには、高度な情報の収集、及び管理が必要不可欠のはずです・・・。」

「その点は俺に任せてくれ。情報の扱いは専門分野だからな。」
副委員長は少し考えるような仕草をして。
「あなたが裏切る場合も考えられます・・・。もとは外部の人間ですから・・・。」
「・・・信用してくれよ。」
沈黙が戻りました。
「どうでしょう・・・?委員長・・・・。」

「情報屋さん。わたしの目を見てください。」
「?」
「そのまま。」
「・・・・・・・。」
「・・・・・・・。」
「・・・・・。」
「・・・・・。」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・。」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・。」
二人が見つめあい始めてから約14秒。尚梨は情報屋の向けて、にっこりと微笑みました。
「大丈夫です。この人は悪い人じゃありませんっ。」
「い、委員長・・・?」
「フッ・・・自分で言うのもなんだが、そんなんでいいのか?いいんちょさんよ。」
「いいんです。わたしはあなたを信用します。クラスのために、がんばってくださいねっ。」
「お、おう・・・ありがと・・・。」
尚梨は情報屋のフラグを立てた。
(はは、裏切るに裏切れなくなっちまった、か・・・。)

「・・・・・・・・では、大会までにペアを組んでおいて下さい。詳しい指示は追って・・・・。」
教室をあとにしようとする副委員長に。
「副委員長ジェラシー?」
嬲は。
「嬲さん・・・。あとで校舎裏に・・・。」
余計なことを言いました。

「やべ・・・コクられる・・・。」

(あ、勘違いしてる・・・・。)

「というか、嬲くんのステディーとしての私の立場が・・・。っていうかこれが今編初台詞っ!?彼女として前回から登場してたのにっ!?なによ、この扱いっ!?」

「がんばれ、清音。」
「がんばってください、清音さんっ。」

「余計に自覚しちゃうから応援しないでよ・・・・。」

作戦は動き出した。

果たして清音の活躍の場はあるのか?

次回に期待。

日本双子話~ショッピングウォー編~上の三
一時間目始業のチャイムが鳴りました。
ここからは学級活動の・・・いわゆる学活の時間というやつです。
「分業作戦ねぇ・・・・。」
学級活動。本質的には、担任教師の帳尻合わせ的なタイムスチェデュール。
「で、ペアでの行動か・・・・。」
しかしながら、このクラスの担任は、今朝から諸事情により人生を早退しているのでした。
「嬲、今回の大会も、もちろん私と・・・・。」
と嫐がそう言いかけたとき。
「あたしと組むわよね?」
横から割り込んだのは、相川・清音(あいかわ・きよね)。
三年前のクリスマス、手編みのマフラー持参で嬲に告白し、見事撃沈するも。粘りに粘って三年越しの恋を成就させた、ひと呼んで『執念のせせらぎ』。
彼女は嬲へのアプローチメモリアルをブログに綴っており、後にそれを目にした映画脚本家が、その『鳥を捕まえるために青菜の種を撒くようなメソッド』からヒントを得て、日本史上に名だたる超大作を生み出したりするのだが、それはまた別の話。
「ん、俺と?まぁ、そうだな・・・うん、わかった。なぁ、いいだろ?姉さん。」
「・・・・・・・。」
「姉さん?」
「え?・・・・う、うん。そうだね。えっと・・・清音、嬲をよろしく。」
「ふふぅ♪任されたぁ~♪」
ニコニコ顔で嬲の腕を取る清音。
「よーし!がんばるぞーっ♪」
「ったく、なーんも考えてなさそうな掛け声だなぁ。ま、俺もだけど・・・。」
「きゃははっ、似たもの同士かもね、あたしたち♪」
「え・・・それはリアルに勘弁だな・・・。」
笑い合う(?)二人を眺めながら、嫐は考えていました。
(・・・・私は・・・誰と組めばいいんだろ・・・・。)
双子はいつもいっしょでした。それこそ漏らさなかった時のトイレ以外はほとんど一緒に過ごしてきたのです。二人の間が離れたように感じたのはこれが初めてでした。

嫐は不安になりました。

(ほんの、少しだけ・・・そう、ほんの少しだけだよ・・・)
心の奥底から湧いた不安に、表面上の訂正を加えてみた嫐の呟き。それは誰にも気づかれることなく・・・。
「ほんの少し?無理をなさるな嫐姫。」
いや・・・・。
「僕で良ければ、是非、君と。どうだい?」
乙女のため息をすすって千年を生き兼ねないこの男には、どうやら聞こえていたようです。
「佐々木君・・・。」
嫐は、思いがけない彼の言葉に、つい・・・。
「そのインクレディブルな地獄耳はちょっと・・・・キモい。」
思ったままを口にしていました。
「がーーーん・・・・。って口で言ってしまうほどショーックっ!!」
「あ・・・ごめんなさい。」
「な、なーにいいさ。所詮君は三番目の女だ。僕は気にしていない。」
「はは、そ、そうだったね。・・・・でも、ありがとう。気を使ってくれたのは嬉しかった。」
「そうか。まぁ、君は君でがんばってくれたまえよ。」
「うん・・・・そうする。」
佐々木はフラフラと教室を出て行きました。おそらくは副委員長のあとを追ったのでしょう。懲りない男です。
ペアを誰にするかで沸いていた教室が、『もう一つの気になり所』に関心を移しかけていたのも、ちょうどそのころでした。
「この参加賞ってなんだろうな・・・?これで戦えって・・・。」
ルールブックとともに配られた筒箱。
「例年の無法大会ぶりを考えると・・・・危険物か。」
「たしかに・・・開けたらドカン!とか・・・。おい、嬲。ちょっとあけてみろよ。」
かませ犬的ポジションがすっかり板についた御陵・嬲。御歳10歳。
「えー、やだよー。なんで俺が?」
「大丈夫よ、嬲くん。一人では逝かせないわ。」
(いや、大丈夫になる要素が皆無だぞ?それは。)
ともかくクラス全員の視線が嬲&清音に注がれました。
「嗚呼ぁ・・・心地良いわ。今のあたしたちは、差し詰め『もののけ姫クライマックスのサンとアシタカ』ね・・・。」
「ちょっと待て!ともに生きるのは構わないが、ともに死ぬのはごめんだぞ!?」
「行こう!獅子神の泉へ!」
「シーンが違うっ!!・・・みんな!こいつはダメだ、置いていこう!」
『ダメ!ここで見捨てたら祟り神になっちゃうっ!!』
「って、あんたらの方がよっぽど無責任だよっ!!?」
清音の手に力が入る。
グ、ググ、グ・・・
「倒れるぞ~っ!!」

「いや、わけわかんねーよっ!!その台詞っ!!つ、つか、やめろぉおぉおお!!!!!!」

すぽんっ・・・・

「あ・・・。」

そこで少年少女が見たものは、デーダラボッチでも、花咲か爺でも、モロでも、美和彰浩でもなく。

ころころ・・・・からん・・・

「ぼ、ボールペン・・・・?」
「・・・・こりゃ砂金の塊だっ!!」
「いや・・・それは無い。もののけネタはもういい。」

「な、なんだ。普通の参加賞かよ。」
生徒たちから安堵の声が漏れます。
「つーことは、俺のもどーせボールペ・・・ん?」

ずぽ・・・・

「折りたたみ傘?」
紺色の折り畳み傘です。柄に付いたボタンを押すと。
カシンカシンカチ・・・バッ
「アタッチメントタイプ。」
『おおおおおおっ!』
ちょっとだけ周りを感動させました。
「いいなぁ。嬲君のそれはきっと当たりね。ねぇ、情報屋君もあけてみたら?」
「ん?だから俺の名前は・・・。」
「わ、わたしも気になります!あけてみてください。」
「え?いいんちょさんが、そう言うなら・・・・。」

ガサ・・・・・

「洗濯ばさみセット。」
クニョ・・・
「あ、開いた状態で止まるタイプだ・・・。」
『おおおおおっ!片手で作業ができるぞ!!』
「うむ、バリアフリーだな。」

「よし!みんなも開けようぜ?」
『おーっ!』
ぽんぽん・・・ すぽぽーん・・・ぽん・・・すぽん・・・
筒箱の蓋を引く抜くおバカなテンポが教室中にこだまします。
その度に巻き起こる歓声と落胆のため息。こうなって来ると次に予想させるのが。
「あ、いいなぁ。それ私のと交換しない?」
「ん?いいよ。」
交換大会の開幕です。しかしそれは・・・・。

ドズンッ・・・

「!?」
「!?」
「っ!?」
爆発音とともに閉幕を迎えるのでした。

「今・・・何が?」
残されたのは、耳鳴りと硝煙の香り。そして・・・
「おい、この二人・・・。誰かっ!!保険医をっ!!」
「残念だけど・・・・・。」
嬲を制したのは嫐でした。
「その必要は無いみたい。・・・・この子たち、もう死んでる。」
「姉さん・・・。」
「みんな!その場を動かないで!」
嫐が叫ぶまでもなく、ほとんどの生徒はその場に硬直していました。
「いい、みんな聞いて・・・。」

「この大会、例年よりずっと危険かもしれない・・・。」


開幕を待たずとしてその片鱗を見せたショッピングウォーの脅威。

果たして嬲たちは無事大会を制することができるのか

次回につづく。



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