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カテゴリ:本
8つの章からなる連作短編集で主人公は三島由紀夫を下敷きに書かれていて三島の本名の平岡で登場。平岡はあの事件では死なず、牢に27年間入れられた後に釈放されたという設定で書かれている。平岡は切腹でななくて、首に刀傷が二条残っているという仮定 最初に三島の『サド侯爵夫人』からのルネの台詞が掲げられている。
なぜ平岡が三島かといえば「南馬込に建てたヴィクトリア朝ふうのコロニアル様式とやらの大袈裟な家」とか、「詩を書く少年」とか「太陽と鉄」とかが出てくるので三島が下敷きと分かる。 松浦寿輝さんは芥川賞作家で詩人、評論家と肩書きが多い。詩人だけあって言葉の表現が綺麗でどのフレーズも行間に詩を感じる。 すでにこの世のひとでない人が生きていると仮定しての小説なので、時に大人のファンタジーになり空想の世界を楽しませてくれる。巻末でミステリー的な締めくくりがより読後感を強めてくれる。映像になったらこのシーンは面白いだろうなと、思うところが幾つもあり単に小説だけでない面白さがあった。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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